類設計室は2026年5月18日、4月19日に東京都中央区立図書館で実施した対面イベント「中高生 建築コンペ挑戦プロジェクト」について発表した。同社が設計した「本の森ちゅうおう」を舞台に、未来の建築家を目指す若者たちが実地見学やスケッチを通じてプロの視点を学んだ。 同プロジェクトは、類設計室が長年培ってきた建築設計の知見と、a.schoolがもつ探究学習のノウハウを融合させ、「自ら問いを立て、仲間と協働して答えを創造する力」を育むことを目的としたもの。類設計室はこれまで「こども建築塾」を通じて、子供たちが「本物」の仕事に触れる場を提供してきた。一方、a.schoolは子供ひとりひとりの「好き」を起点としたプロジェクト型の学びを実践している。両社は協働により、子供たちの主体性を最大限引き出す学びの場を創造できると考え、同プロジェクトを開始した。 今回の交流会は、類設計室が建築設計を担当した「本の森ちゅうおう」の多目的ホールで開催され、コンペの受賞者やエントリーした生徒、「こども建築塾」の塾生など約30名がオンライン参加者を含めて集った。参加した生徒からは「同世代の建築を志す人と会えて刺激になった(中3)」「オンラインでしか会ったことのない仲間たちと、設計への想いや志を交わすことができてとてもうれしかった(高3)」など、対面での交流を喜ぶ声や、実際の建築物を体感し刺激を受けたという声が多く寄せられたという。 イベントでは、館内見学や設計担当者への質疑応答が行われた。「都心のオアシスになる図書館をつくりたい」という願いをもとに建設された「本の森ちゅうおう」について、見学した生徒たちからは「階段がいろいろなところにあるから冒険してみるようだ」「本棚の高さが高すぎず、奥まで見渡すことができる」といった感想があがった。 建築設計を担当した同社の一級建築士、山根教彦氏は「お客さんから『都心の中で都心のオアシスとなるような図書館をつくりたい』と話しました。その言葉からあらためて『森』を感じることができる建物について捉え直し設計にしていった」と述べた。同じく担当した一級建築士の佐藤賢志氏も「関わる人すべてが幸せになれるような建築をしていきたい」という建築士としての志を語った。その後、参加者は「本の森ちゅうおう」を題材にしたスケッチワークに挑戦した。 「こども建築塾」では、模型作りや同社が手掛けた物件の見学、スケッチ講座などバラエティに富んだカリキュラムを実施。2023年の開講から3年が経過し、大阪では約3,700名が参加、満足度90%以上を維持。東京でもこれまでの参加者数は300名を超え、2025年の本格開講後は満足度97%を記録しているという。 日本建築士会連合会の資料によると、2023年4月時点の一級建築士の数は37万8,337人で、2019年以降は横ばいで推移している。また、国土交通省のデータでは、建築事務所に所属する一級建築士のうち50代以上が約70%を占め、20代~30代は11%にとどまる。 日本では2030年にIT人材が最大79万人不足するという試算もあり、国と文部科学省は理工農系の人材育成のため大学・大学院を拡充する支援事業を展開している。これにより建築を学ぶことへの注目度も高まっている。同塾では、デジタルだけでなく「見て」「触って」「作る」というリアルな体験を重視し、模型作りや、かんな削り、ツリーハウスの設計など、体験を重視したカリキュラムを用意し、デジタルとリアルの両方に精通した人材の育成を目指す。 類設計室は50年にわたり教育事業「類塾プラス」を運営してきた。「こども建築塾」のカリキュラムには第一線で活躍するプロの建築士による実演や、同社の設計室で行うインターンも組み入れ、プロの現場や実際の仕事の場を体感できる「新しい学び」を提案する。