小学生児童の歩行中の死亡・重傷事故者数は過去5年間の合計で10月がもっとも多いことが、2025年9月11日に警察庁交通局が公表した「秋の全国交通安全運動」に関する資料で明らかになった。新学期にも慣れ、日没が早まるこの時期は特に注意が必要として、歩行者の安全な道路横断などを呼びかけている。 警察庁のデータによると、交通事故全体の死者数は秋から年末にかけて増加する傾向にあり、春から夏は「自動車乗車中」の割合が高いのに対し、10月以降は「歩行中」が最多となっている。10月以降は特に夜間の事故が増加する傾向にあり、2024年の月別交通事故死者数は、12月がもっとも多い287人。ついで、11月が248人、10月が252人と、10月以降の歩行中事故の多さが目立つ。 小学生児童の歩行中の死亡・重傷事故の状況をみると、2020年からの5年間でもっとも死亡・重傷事故が多いのは10月で214人。ついで、6月が181人、12月が175人、9月が163人。5年間の合計では1,830人が事故にあっている。事故原因としては、児童に法令違反がないものが多い一方で、飛び出しや横断違反など、道路横断時の行動に起因する事故が半数近くあることも判明した。 警察庁では、こうした状況を踏まえ、9月21日から30日まで「秋の全国交通安全運動」を実施する。今年度の重点は、歩行者の安全な横断方法の徹底や反射材・明るく目立つ服の着用促進、夕暮れ時の早めのライト点灯など。飲酒運転やながらスマホの根絶、自転車や特定小型原動機付自転車に関するルール順守も盛り込まれている。小学生児童の事故は、身近な通学路や住宅地での発生が想定されることから、地域や家庭での安全教育を強化するよう呼びかけている。