閉経の前後5年を一般に更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は一般的には50歳といわれていますが、新しい研究での平均値は52.1歳とされています。となると、47~57歳の世代は更年期に当たる人が多くなります。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
※写真はイメージです
【100人の更年期】
◆のぞみんさん 53歳
東京都在住。港区生まれ、港区育ち。35歳でシングルマザーになり、トリプルワークをして息子を育てる。長男は私立大学2年で現在はひとり暮らし
子育てが終わってほっとした途端に、更年期症状が現れ始めて
現在53歳ののぞみんさんは、51歳を迎えた頃から更年期の症状を感じ始めました。
これまでに3度の結婚を経験し、35歳のときに3人目の夫と離婚。「子どものためにも、私がしっかりしなくちゃ」と心に決め、離婚後は証券会社の役員秘書として働き始めます。さらに、その仕事が終わった後は夜の時間帯にカード会社のコールセンター、土日はNTTのコールセンターと、3つの仕事を掛け持ち。「馬車馬のように働いた」と振り返ります。最初は派遣社員でしたが、努力の末に直接雇用の契約社員となり、収入も安定。立派に子どもを育て上げました。
これまで子どものことを第一に生きてきたのぞみんさんにとって、息子さんが大学に合格したことは「人生でいちばんうれしかった」出来事でした。しかし、その安堵感からか、張り詰めていた気持ちがふっと緩んだのかもしれません。
「2年前、息子が私立大学に合格して、やっと安心したんでしょうね。その頃から一気に症状が出始めたんです」
最初は「ちょっと体力が落ちてきたかな」と思う程度でしたが、その後、ホットフラッシュ、疲労感、そしてうつ症状……と、更年期特有の症状が次々にのぞみんさんを襲いました。
「これ以上は無理。仕事を続けられない」と休職することに
最初に現れたのは、首から上がカーッと熱くなる感覚でした。さらに、疲労感は一日の始まりである朝、目覚めた瞬間から押し寄せてきて、何をする気も起きません。
「普通ならまず洗濯して、朝食を作って……と考えるはずなのに、やらなきゃいけないことが一切浮かばなくなってしまったんです。日によって症状は違いますが、気分がぐっと落ち込む日は、朝から何もできず、一日中寝ていました」
いつ体調が悪くなるか予測できないため、常に自分の体調におびえる毎日。自分が自分でなくなってしまったような感覚さえありました。
「辛くて、辛くて……。私、一体どうしちゃったんだろう」
ホットフラッシュが出始めた51歳当時、メンタル面でも追い詰められていたのぞみんさん。気づけば頬を涙が伝っていました。
「こんな状態では、もう仕事を続けられない」。そう判断し、51歳で休職することになりました。
サウナと水風呂のセットでリズムを整えることに挑戦
仕事を休職してから2年。ようやく体調もメンタルも、復活の兆しが見えてきました。
「いまやっと楽になってきて、自分のペースを取り戻しつつあります」
そう話すのぞみんさんが最近取り入れている習慣が、「毎日サウナに行くこと」です。
自宅から自転車で5分ほどの場所にある日帰り入浴施設でサウナに入り、キンキンに冷えた水風呂にざぶん。これがすっかり日課になりました。
「頭まで水風呂に浸かると、ホットフラッシュによるのぼせが楽になるんです。朝・夕の1日2回サウナに通うことで、体のリズムがだいぶ整いました」
サウナ浴は、温熱効果による血行促進や、温度刺激による自律神経のバランス調整が期待できるといわれています。のぞみんさんも、この習慣によって心と体のリズムが次第に整っていきました。
サウナ通いで少しずつ元気を取り戻し、「マイペースで心地よいことをするのがいちばん」だと実感しているのぞみんさん。
▶▶53歳、更年期と付き合いながらTikTokデビュー。自分の世界を発信して見つけた“新しい楽しみ”
更年期のアップダウンに翻弄されながらも、少しずつ自分のペースを取り戻してきたのぞみんさん。後編では、TikTokなどのSNSや食生活への取り組みなど、心と体を整えるために始めた“仕切り直しの毎日”をご紹介します。