東京大学経済学部金融学科3年倉田健一です。
東大経済学部には他に「経営学科」と「経済学科」があって、この2つの学科はどこにでもあるけれど、「金融学科」は珍しい。
武蔵大学と中央大学にしかない。
東大の「金融学科」では金融論や投資理論、デリバティブなどを学ことができる。
概ね2ヶ月で一冊の教科書の内容を説明され、覚えて試験に臨む。もちろん授業だけでは理解できない部分があり、覚えることは困難なので試験前に必死に勉強する。
その合間に仕事をして、日々を過ごしている。
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▶「殴ってもいいよね?」その理由に啞然
仲間を殴ろうとするメンバー。飽きれた怒りの理由
「殴ってもいいよね?それくらい許されるよね」
ぼくがいつも通りソプラノリコーダーを一人で奏でていると、練習部屋の隅から穏やかでない発言が聞こえた。
この日、ぼくがやってきてから、五月祭でリコーダー公演を行うメンバーの一部が練習もせず不満を執拗に言い続けていた。
そんな話は微塵も聞きたくないが、狭い部屋である。音階に集中していても時たま耳に入る。
どうやら、練習部屋の使用回数に不均衡があって、それを自分たちの班に譲らないことに憤慨しているようだ。憤るのが一人ならそのうち収まるだろうが、二人なので会話が続いている。1時間以上ほとんど同じことしか言っていないが、怒りは収まらない。
ちなみに、2週間前に練習部屋に来た時も、二人で憤慨していた。
そんなに不公平だと思うのなら、班ごとの練習回数を示して、交渉すればいい。なぜそうしないのだろうか。答えは「暗いから」である。
普段仲良さそうにしていても、部屋を譲ってもらう交渉すらできない。本人のいない、かつ、ほかの構成員が大勢いる場所で自分たちの不平を唱えることしかできない。著しく不健康である。
そんなことを記事に書いて、「じゃあ直接注意せず、ここに書いているさんきゅう倉田はどうなのだ」と思うかもしれない。素晴らしい指摘だが、ぼくは彼らとほとんど話したことがない。注意して、不当な待遇を受けるリスクを取ることができない。
一方、彼らは表面上仲良しである。仲が良い人間の悪口を陰でこそこそ執拗に述べ、改善を促すべく直接意見を言わないのは愚の骨頂である。愚かというか、暗い。
ぼくのような明るさだけで仕事を得ている人間には淀んで見える。
「殴ってもいいかな?殴ってもいいよね。それくらい許されるよね」
この女性は著しい早口で何を言っているのだろうか。部屋の使用回数程度が、他人を殴ることへの免罪符になると考えているのだろうか。冗談を言っているつもりなら、冗談の後の周囲の様子を見てはどうだろうか。
彼女たちと仲の良いぼくの同級生に話をすることにした。
▶「直接言うべきじゃない?」と進言したら
「あのまま放置していいの?友達なら直接言うべきだよ、って先輩として注意してあげたら?」
「言えないですよ」
普段、仲良さそうにしていても、注意はできないらしい。暗い。暗いぞ、リコーダーサークル。
「大学までリコーダーをやる人間は暗くて当然である」そんな偏見が芽生えてしまいそうだ。
東大生でも精神が未熟だと一定の不合理を抱えてしまう。それを社会に出る前に体内から排出することもサークルの役割ではないだろうか。
■編集部より
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