東京都世田谷区は2025年2月7日、2025年度の当初予算案を発表した。区長記者会見で示された予算案の総額は3,996億1,700万円で、教育改革と地域活性化を柱とする「学習する都市推進予算」と名付けられた。教育分野では、教員の配置強化や新しい学びの場の創出が計画されており、地域活性化に向けては新施設「ホームワークビレッジ」の開設が予定されている。 今回の予算案の背景には、地域全体での学習環境の整備と市民の主体的な参画を促進する狙いがある。特に教育分野では、教員の配置を強化し、教育の質を向上させることが目指されている。具体的には、教員の働き方改革を進め、教員の負担を軽減するためのアンケート調査を実施し、その結果を基にした施策が盛り込まれている。 教育改革の一環として、世田谷区は「学びの多様化学校」の開設を計画している。この学校は、従来の不登校特例校の枠組みを見直し、新たな学びの場としての役割を果たすことを目指している。2026年4月に旧北沢小学校の跡地に開設される予定で、基礎的な学習内容の定着を図りつつ、芸術や文化、科学を中心に子供たちの自発的な関心を引き出す教育が行われる。 また、インクルーシブ教育の推進も重要な柱となっている。インクルーシブ教育支援チームが小中学校を訪問し、助言や指導を行うほか、小学校1年生の学級担任を補助するエデュケーション・アシスタントの配置が進められる。これにより、配慮を要する児童生徒への支援が拡充される見込みだ。 地域活性化に向けては、旧池尻中学校跡地に「ホームワークビレッジ」が開設される。この施設は、地域経済の持続的な発展を目指し、新しい産業のインキュベーションを支援する場として機能する予定だ。地域特性を生かした賑わいの場として、食事や接客のための多様な働き方を支援する拠点となる。 世田谷区の2025年度予算案は、教育改革と地域活性化を通じて、地域全体の発展を目指す内容となっている。教育の質の向上や新たな学びの場の創出、地域経済の活性化に向けた取り組みが、今後どのように展開されるかが注目される。