国立天文台とアリゾナ大学スチュワード天文台の研究者を中心とする国際研究チーム2025年1月15日、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いて、太陽系外惑星「GJ 1214 b」の大気に大量の二酸化炭素を検出したと発表した。GJ 1214 bは、地球と海王星の中間サイズの系外惑星であり、その大気の成分が地球のような水蒸気や海王星のような水素やヘリウムではなく、二酸化炭素であることが明らかになった。 この発見は、惑星や惑星系の形成過程を理解するための新たな知見を提供するものである。現在までに5,000以上の系外惑星が確認されており、その中には地球より大きく、海王星より小さい惑星も多く含まれている。これらの惑星は、岩石質のコアの周りに水素に富む外層部を持つのか、氷でできたコアの周りに水蒸気で構成された外層部を持つのか、天文学者たちの間で議論が続けられてきた。 GJ 1214 bの観測は、主星の前を惑星が横切る際に主星の光が惑星の大気を通過することで、どの波長の光が影響を受けるかを調べる方法で行われた。この方法により、惑星の大気に関する情報を得ることができる。観測データには多くの不定性があったため、理論シミュレーションによって数多くのモデルを計算し、観測と比較した。その結果、観測に適合するモデルの二酸化炭素の量は、太陽系で二酸化炭素をもっとも多く含む金星に匹敵することが明らかになった。 理論シミュレーションを主導した国立天文台の大野和正特任助教は、「観測で検出された二酸化炭素の信号は微弱で、それが本物であることを確認するためには慎重な統計解析が必要でした。加えて、検出された二酸化炭素の信号から雲の下の大気組成を探るには、理論シミュレーションによる徹底した物理・化学的考察が必要でした」と述べている。 今回の研究で検出された信号は非常に弱いものであったが、研究チームはこの発見を確認し、今後さらに多くの似たサイズの系外惑星を観測することを計画している。この研究は、系外惑星の大気に関する理解を深めるだけでなく、惑星形成のメカニズムを解明する手がかりとなる可能性がある。今後の観測と研究が、さらなる発見につながることが期待される。