2024年12月24日、東京都総務局は「人権に関する都民の意識調査」の結果を発表した。この調査は、東京都が人権施策を推進するための基礎資料として実施されたもので、都内在住の満18歳以上の男女5,000人を対象に、インターネットモニターを通じて行われた。調査期間は2024年7月24日から8月7日まで。 調査の目的は、東京都民の人権に対する意識や関心を把握し、今後の施策に生かすことである。東京都は「東京都人権施策推進指針」や「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」に基づき、総合的な人権施策を進めている。 調査結果によると、「日本の社会における人権の尊重」について、今の日本は人権が尊重されていると「思う」と回答した人は63.9%だった。「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」と回答した人では、理由として、「報道を通じ、社会で人権侵害や誹謗中傷が増えたと感じるから」が30.3%、「自分中心で他人のことを考えない人が増えたと感じるから」が29.3%、「多様性が尊重されていないと感じるから」が15.2%であった。 人権に対する意識・関心については、「インターネットによる人権侵害の問題」に関心があると答えた人が42.5%でもっとも多く、「プライバシーや個人情報の流出・漏えいの問題」37.1%、「子供の人権」35.8%と続いた。 また、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」が制定されていることを知っている人は15.4%にとどまった。性的マイノリティの人権に関しては、「東京都パートナーシップ宣誓制度」を知っている人が52.4%であった。 ヘイトスピーチについて、「テレビ・ラジオ、新聞などのニュース報道で見聞きした」人が44.0%、「インターネット上の書き込みを直接見た」人が16.6%。同和問題に関しては、「学校の授業で教わった」が16.4%、「テレビ・ラジオ・新聞・本などで知った」が12.4%、「家族から聞いた」が9.5%であった。 犯罪被害者やその家族の人権については、犯罪被害者およびその家族が生命を奪われる、身体を傷付けられるなどの直接的な被害のほかにもさまざまな問題を抱えていることを「知っている」と答えた人が56.9%。二次的被害を防止するために行うと良いと思う取組みとして「窓口となる行政機関職員への研修など」が36.6%、「民間企業等に対する周知・啓発」が31.0%、「犯罪被害者等の支援団体職員への研修など」が29.0%と多かった。 インターネットによる人権侵害で特に問題があることとして、「誹謗中傷する表現の掲載」が49.0%、「他人のプライバシーの無断掲載」が42.8%、「知らぬ間に自分のことが掲載される」が27.0%であった。解決のために有効なこととして、「違法な情報発信者の取締りを強化する」が49.0%、「プロバイダなどに対して、違法な情報を削除するよう国の人権擁護機関を通じて要請する」が43.6%、「プロバイダなどに対して、正しい理解を深めるための教育・啓発活動を推進する」が26.6%だった。 人権啓発・教育の推進のために力を入れるべきこととして、「学校で現代の社会における人権問題を教えるなど人権教育を進める」が40.0%、「テレビや新聞、インターネットなどを利用して人権の大切さをPRする」が30.9%、「幼児の時から思いやりの心を育てるために家庭や地域における人権教育を支援する」が26.5%であった。 人権を尊重する社会を実現するために充実すべきこととして、「都民ひとりひとりの人権意識の向上」が32.2%、「人権を侵害された時の救済・支援制度」が31.4%、「犯罪の取締り」が31.0%の順で多かった。 「人権に関する都民の意識調査」は、概要・本文共に東京都のWebサイトから確認できる。