
元国税職員さんきゅう倉田です。
学歴を過剰に気に留める人間を「学歴厨」と言います。それはそれは恥ずかしい呼称で、一度言われたら1週間は立ち直れません。
受験を頑張った大学生の中には一定数見られるので珍しくない一方で、大人の学歴厨は滅多に出会うことがなく、希少とされています。
先日会った男性のご令嬢は地方国立大学の数学科に入学したそうだ。
男「娘も国立大学なんですよ。一般入試で数学科に入ったんです」
筆者「国立?!すごいですね」
男「でも、入ってみたら学科の半分が推薦入学なんですよ」
男性は筆者の反応を待っているようだった。ここで思うのは、筆者はかなり優しい。赤の他人が言って欲しいであろう言葉をかけ続ける。
筆者「・・・・一般入試と推薦では学力が大きく異なるから、娘さんにとっては学生から得られる学びが少ないですよね」
男性は嬉しそうに、そうなんですよと言って、持っていたビールグラスを筆者のグラスに当てて軽やかな音を鳴らし、去っていった。最愛の恋人を失ったために、悪魔に心を売って協会から禁じられている古代魔法を使用した魔法使いの気持ちが分かったような気がした。
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学歴厨というのは国をまたぐらしい。
筆者は数年前に韓国人社長が経営する会社でプロジェクトマネージャーをやっていた。社長は口には出さないが学歴に対して過度な信頼を持っていた。確かに、記憶力や論理的思考力のシグナルとして学歴が機能するという点で正しい。
さて、早稲田の政治経済学部といえば、早稲田大学の看板学部である。東大文系受験者の多くが併願していて、東大落ちがゴロゴロいる。私立専願3科目を勉強していた人と東大落ちで5科目を勉強していた人では学力に差があり、後者が大勢いるのが政経なのである。
韓国人社長は政経出身だ。政経の入試難度を十分知っている。だから、二人っきりのミーティングで「我々と〜さんは言語化の能力が違いますよ」などと言ってくる。我々とは社長と筆者のことで、〜さんは社内の他のメンバーである。
筆者はこの会社に在籍している間、社内の人々の能力と学歴に相関があるとは思ったことはなかった。言語化の能力も論理的思考力も創造力もみな同じである。
社長は「我々は〜」と言っていたが、筆者は社長が他の社員より能力が高いと思ったことがない。社長の言葉からは、「学歴の高い人は低い人と能力が異なる」という信念を感じた。
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その後、社長は早稲田政経卒の中国人や慶應大学在学中の中国人を雇った。学歴に対する信頼があるのだろう。
東大に入って知ったが外国人留学生や海外の高校を卒業した日本人の帰国生は、受験方法が一般入試と大きく異なる。例えば、留学生なら日本の国立大学を複数受けられるうえ、試験問題も簡単である。帰国生も東大文系なら小論文と英語だけで受験できる。
だから、早稲田の政経に留学生として入学するのはそんなに難しくない。もちろん、難しい、難しくないはその受験生に依るのだが、「他の人間と自分は異なる」と考えていいほど賢くない。もしかすると、社長は賢いかもしれないが、筆者と一括りにして、他者との間に線を引く姿勢は、学歴厨の様相を呈していて、それは社員の能力を過小評価し、自らの能力を過大評価することに繋がっているように思えた。
■編集部より
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