
「せっかくの休日なのに何もできなかった…」「またダラダラして終わってしまった」。そんなふうに自分を責めてしまう人も多いのではないでしょうか。精神科医のTomy先生は、「休む=サボり」という思い込みや、休みの日まで頑張ろうとしてしまう「休み下手」が、脳や心を疲れさせてしまうと語ります。
本記事では、Tomy先生の著書から、罪悪感を手放し、心と体をしっかり休ませるための「休む技術」をご紹介します。
※本記事は書籍『うつ未満 。 「大丈夫」と言えない日の相談室』(精神科医Tomy)から一部抜粋・編集したものです
※イラスト:カツヤマケイコ

▶現実の休日は…



正しい休み方、知ってる?
「慢性的に意欲がわかない」
「やる気がしない」
「倦怠感がずっとある」
自分が「うつ未満」だと考えている人は、こういったことをよく訴えるわ。この理由の一つに「休み下手」があると思うのよ。常に何かに追われているように、物事に取り組み、日頃からグッタリしてしまう。
その疲れは、休むことで回復させる必要があるのに、「休み下手」で回復できない。下手すると、休みにさらに疲れをため込んでしまう人もいる。
たとえば、休日なのに無気力でゴロゴロしてしまい、夕方になると「今日も何もできなかった」と自己嫌悪に陥る。これでは、心身のバッテリーが充電されないまま、ますます意欲が低下してしまうわ。
「休む=サボり」という呪い
では、なぜ「休み下手」な人が存在するのかしら?その理由は複数あるわ。まずは、価値観の問題。
一部の人は休むことが「悪いこと」だとすら感じている。特に自分だけ休むことは最悪。もちろん休みが必要なことは頭ではわかっているわ。
でもそれは、上手く働くための「必要悪」だと思っている。いたしかたのない「悪」だから、おちおち休むことができない。ましてや楽しむなんて論外。だから休みの日も、ちゃんと休めていない。
仕事中心の文化や育った環境で、「休む=怠けている」と刷り込まれている人も多いのよね。
そして「完璧主義者」もちゃんと休めないことが多い。彼らは「理想の休み方は何か」を探し、勉強し、実行しようとする。
せっかくの休みなのに、まるで仕事のごとくスケジュールを詰め込み、休みをバッチリこなさなければいけないかのように考えている。それは正直、休みではなくて別の仕事よね。
さらに、それが思うように出来ない場合、「ろくな過ごし方ができなかった」と自分を責めるオマケまでついてくる。一体なんということかしらね。
好きに過ごしていいはずの「休み」ですら、自分を責める道具にしてしまうんだから。完璧主義は、仕事だけでなく休みにも高い基準を課してしまい、結果的に燃え尽きる。
また単純に、「休む」ことの意味がよくわかっていない人もいる。こういう人は「休む」がわからない。わからないから、どうしていいのかわからない。当然上手く回復できない。
休みを「生産的な時間」にしようとして、趣味や旅行を詰め込みすぎたり、逆に何もせず罪悪感を抱いたりするパターンね。
こういう人は、休む技術を身に着けるだけで、「ウツ」から回復できる可能性があるわ。
休みとは「自分軸」を取り戻す時間
まずは、「休む=悪」から、自分の気持ちを解放してあげることが大切よね。
アテクシなんかは、正直「ずっと何もしないと疲れるから、適度に働く。それ以外は全部休み」ぐらいに考えているわ。休んでいる状態がデフォルトぐらいに思っている。
「しなければいけない」が存在しない状態が「休み」なのよね。つまり「気まま」でいる状態が休みなのよ。
もし何かやりたいことがあるのならやればいいし、何もしたくなければしなければいい。自分の心、本音を聞いて、それに従う。それが休みの本質なのよね。
そのためには「今の自分の気持ち」をちゃんと観察する。つまり、「休む技術」というのは極めて「自分軸」な行為なのよ。
ちなみに自分軸という言葉には、ちゃんとした定義があるわけじゃない。アテクシは「自分が納得した行動を選ぶこと」だと思っているわ。仕事をしているときは、いつも自分軸というわけにはいかない。
「しなければいけない」ことが日々わんさか湧いてきて、その対応をしているだけで疲れ切っちゃう。そして、だんだん何のために生きているのかわからなくなる人もいる。
だからこそ、自分軸に戻る時間が必要。それが休みなんだと思うのよ。
▶「脳疲労」のリスクとおすすめの休息方法
まずは「脳」をお休みさせてみて
そして、「休む」ことに、もう一つ大切なポイントがある。それは脳を使わないこと。
常日頃、アテクシたちの脳は働いている。脳が働くときには、神経細胞の間で「神経伝達物質」がたくさんやりとりされている。
脳を酷使する状態が続く、いわゆる「脳疲労」の状態になると、神経伝達物質のバランスが崩れてしまう。
特にセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンが不足すると、気分が落ち込み、意欲が低下するのよ。
すると、脳の機能が低下して、「ウツ」どころか真の「うつ病」につながる可能性も出てくるのよ。だから休むときには、脳疲労を軽減する必要がある。
それは、決断や考え事を極力減らすこと。マイペースに過ごすこと。旅行やイベントなども良いけれど、そこで脳のエネルギーを使い過ぎないこと。
休む技術を得るだけで、アナタの「ウツ」への切り札になるかもしれない。
大事なのは、試行錯誤しながら、自分に合った方法を見つけること。そして、休みを「義務」にしないこと。最後に、おすすめの方法をいくつか挙げるわ。
・自然に触れる:公園を散歩したり、緑を見るだけでストレスが減る。
・入浴やサウナ:温泉や自宅のお風呂でリラックス。副交感神経が優位になって、心身がほぐれる。
・読書や映画:没頭できるものを選んで、日常から逃避する。
・短い仮眠
・何もしない時間を意図的に作る
ここまでの記事では、心と身体をケアするために大切な「正しい休み方」についてご紹介しました。つづく関連記事では、気力や意欲が湧かない「うつ未満」の正体と、そのモヤモヤとの向き合い方について詳しくお伝えします。
つづき>>現代人に急増⁉ 気づかないうちに陥る人も…精神科医が提唱、「うつ病」ではない「うつ未満」ってどんな状態?
■著者略歴: 精神科医Tomy
1978年生まれ。東海中学・東海高校を経て、名古屋大学医学部卒業。医師免許取得後、名古屋大学精神科医局に入局する。日本精神神経学会認定専門医。精神保健指定医。39万フォロワー突破のX(旧・Twitter)が人気で、テレビ・ラジオなどマスコミ出演多数。著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)に始まる「1秒シリーズ」は、36万部突破のベストセラーとなった。『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』(ダイヤモンド社)の小説シリーズも反響を呼ぶ。『精神科医Tomyの気にしない力』(だいわ文庫)、『精神科医Tomyが教える50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。




