SUPER EIGHT安田章大「命を落としかけた」経験から家族への思いに変化 のんと“言葉を超えて”築いた兄妹の絆【「平行と垂直」インタビュー】 | NewsCafe

SUPER EIGHT安田章大「命を落としかけた」経験から家族への思いに変化 のんと“言葉を超えて”築いた兄妹の絆【「平行と垂直」インタビュー】

芸能 モデルプレス/ent/wide/show3
モデルプレスのインタビューに応じた安田章大&のん(C)モデルプレス
【モデルプレス=2026/08/21】8月28日公開の映画『平行と垂直』でW主演を務めるSUPER EIGHTの安田章大(やすだ・しょうた/41)と俳優・のん(33)にモデルプレスがインタビュー。安田が企画から参加した本作の誕生秘話や、自閉スペクトラム症(ASD)の兄とその妹という繊細な役柄への向き合い方、そして言葉を超えて育んだ兄妹役の関係性、作品を通して改めて感じた家族への思いを語ってもらった。

【写真】STARTOアイドル、ASD抱える兄を熱演

◆安田章大&のんW主演「平行と垂直」

本作は、自閉スペクトラム症(ASD)の兄・大貴(だいき/安田)と、カウンセラーとして兄を支えながら生きてきた妹・希(のぞみ/のん)の絆を描くオリジナルストーリー。希の結婚をきっかけに、それぞれが自分たちの過去と未来に向き合っていく姿を映し出す。

安田が、劇団ふくふくやを主宰する山野海氏によるオリジナル脚本に感銘を受け、「映画化したい」と持ちかけたことから企画が始動。小林聖太郎監督のもと、ASDの専門家の監修を受けながら約2年かけて脚本を完成させた。安田は教育機関で当事者と交流を重ね、のんも障がいのあるきょうだいを持つカウンセラーへの取材を行うなど、それぞれ真摯に役作りに向き合った。音楽は作曲家・富貴晴美氏が担当し、温かな旋律で兄妹の物語を彩る。

◆安田章大、構想10年の映画「平行と垂直」誕生秘話 山野海氏との運命的な出会い

― 山野海さんの脚本とはどのような経緯で出会ったのでしょうか?

安田:2年ほど前、即興劇のバラエティー番組で山野海さんが演出助手として来られていました。他のメンバーも一緒のお仕事だったんですが、その中で海さんが“気になった人”として僕の名前を挙げてくださって、お話する機会があったんです。

そのときに「なぜお芝居であんなに間を取れるんですか?怖くないんですか?」と聞かれて、「怖くないです。生き物ってだいたいそんな感じで生きていますから」と答えました。僕が「言葉はすぐ嘘をつく」「人間は退化したから言葉を覚えたんでしょうね」「目の奥を見たら本音は見える」というような話をしたら、海さんも「わかる!」と共鳴してくださった。そうしたら「10年くらい前から構想があるけど、安田くんに演じてほしいと思った」と言ってくださったので、「じゃあやりましょう!」と返したんです。

その翌日に電話をしたら、「本当にかかってくるとは思わなかった。社交辞令だと思った」と言われて、「僕は社交辞令が一番嫌いやから(笑)」とお伝えして、脚本を書いていただくことになりました。

それから約1ヵ月で第1稿を書き上げてくださったんですが、「どこに持っていこうか」と2人で悩んだ結果、佐藤現プロデューサーに電話をしました。「送るから読んでみてほしいです。良くなかったらやめてください」とお願いして読んでもらいました。オリジナル作品でテーマも重たく、実現は簡単ではありませんでしたが、多くの方のお力を借りて映画化までたどり着くことができました。

― 映画化まで進めようと思った決め手は何だったのでしょうか?

安田:人間って、言葉だけじゃなくてジェスチャーや姿勢、目の奥にあるもの、空気感など、いろんな方法でコミュニケーションを取っていますよね。僕はそういうものを信じてずっと生きてきました。

それに、障がいがある・ないというのは診断名だけで決められるものじゃないと思うんです。人はみんな横一列につながっていて、伝え方や速度が違うだけ。それなら相手を待てばいいし、それぞれの届け方があるんだと常々考えていたので、そういうことを、作品を通して届けたいと思ったんです。

◆のん「目から鱗だった」脚本に感動 きょうだい児を描いた物語に共感

― のんさんは、脚本を読んだときどのような印象を受けましたか?

のん:すごく素敵な物語で、心がじんわりして感動しました。安田さんと山野さんが始めた大切なプロジェクトだと聞いていたので、その作品に参加できることが本当にうれしくて、気持ちが熱くなりました。

― この作品で特に心に響いた部分を教えてください。

のん:言葉だけではわからない2人なのに、通じ合う瞬間があるところです。特に、ラストシーンにはグッときました。

それから、ASDについて学ぼうと思ったことはありましたが、きょうだい児がおかれている立場や環境については深く考えたことがなくて、目から鱗でした。そんな兄妹2人を描いているところがすごく素敵だなと思いました。

◆安田章大「大貴は誰とでも違う。大貴は大貴」役を“作らない”ために意識したこと

― ASDについて専門家から学んだり、実際にさくらんぼ教室を訪れたりと、さまざまな準備をされたと思います。役作りにおいて、そこからどのような気づきがありましたか?

安田:監修でたくさんの方が入ってくださって、ASDについて知り、勉強していったということももちろんあります。さくらんぼ教室にも行って、下は4歳の子から、上は30歳を超えて働いている方まで、10人以上の方とコミュニケーションを取ってお話しました。皆さんとてもユーモアがあって、前向きに話しかけに来てくださって、自分のことを理解してほしい人は「ねえねえ、私こうで」「僕こうで」と話してくれるし、ちょっとシャイな人は「ここで頑張って働いています」と説明してくれて、それぞれがそれぞれの形で、自分なりの会話をしてくれたんです。

そこで、自分の中で一つ答えが出たんです。「大貴は誰とでも違うし、大貴は大貴という存在」なんだと思いました。別に何かを真似する必要はない。じゃあ、大貴はどうするのかとなったときに、のんちゃんが演じてくれた希との間には、過去があって、現在があって、この先も続いていくであろう未来がある。その中で「きっとこうやって生きてきたんだろうな」と、台本に書かれていることやト書きをしっかり咀嚼していきました。そうやって希と触れ合っていく中で、大貴が自然と形になっていったんです。

役を「作る」ということをしてしまうと、その瞬間だけ大貴として存在しているようなものになって、異質になると思うんです。だから、「今までの歴史が僕たちにはあったんだ」ということを、ちゃんと体に染み込ませたり、心で感じられていたら、自然と大貴が見えてきた。あとは本当に、この兄妹として存在してくれた、希との阿吽の呼吸のようなものがあって、そこから積み上がっていったものが大きかったです。

◆安田章大、体全体で大貴の心理を表現「目に頼ると嘘だなと思った」

― 言葉にしなくても伝わるお2人の関係性が印象的でした。大貴の感情を表現する上で、意識したことはありますか?

安田:キャッチボールをすることですね。希は言葉で伝えてくれるので、それに対して、大貴がどれくらい理解しているのか、逆にどこまで理解できていないのか。読解として理解できていないのか、感情として理解できていないのか。そこは一人ひとり違うんです。いろんな方のお話を聞いていると、ある家族では「感情まで理解してくれている」と感じることもあれば、別の家族では「感情は全然理解できていない」ということもある。それぞれ感じ方が違ったんです。

だから僕は、ASDだからどうこうというより、大貴として考えました。大貴がすべてを理解しきれなくても、希と喧嘩してしまったら、少し反省したり、悔やんだりすると思う。そこまで言葉にできなかったとしても、「なんかモヤッとする」「気持ちよくない」という感情はあるんじゃないかと。そういう大貴の感情をちゃんと持って演じていました。2人で揉めてしまったシーンでも、大貴なりに感情を持っていて、何かに気づいている。そのことをずっと頭の中に置いて演じていた感じです。

表情や動きについては、特に目の動きも表現の一つとしてありました。でも、目に頼ると嘘だなと思ったんです。目は、人がたまたまキャッチしやすい一つのポイントにすぎない。大貴という一人の人間として考えたら、もっといろんなものがあると思ったんです。だから、姿勢や手の置きどころ、体の硬さ、空気感など、体全体で表現することを意識しました。首がこうなっているときに手がこう動く、といった一つひとつの要素が重なって、その人の心理が表れる。そういう感覚で大貴を演じていました。

◆のん、関西弁で怒る芝居に苦心「ガラが悪いと思われちゃう」

― のんさんは、関西弁で感情をぶつけるシーンも印象的でした。演技で意識したことはありますか?

のん:関西弁で怒ると、関東の方には「ガラが悪い」と受け取られてしまうこともあると思うんです。だから、そうならないように気をつけました。怒りややりきれない思いはちゃんと伝えたい。でも、関西の方が観ても自然に感じてもらいたいと思ったので、言葉が強くなっても、ガラが悪くならないように意識していました。

安田:でも、だからなのかな?僕がクランクインして、のんちゃんと初めて一緒に撮影したとき、単純に「なんで怒るん?」と思えたんですよね。希としても、いろんな感情が渦巻いているじゃないですか。尖った部分もあるけど、そこには心配する気持ちや寄り添う気持ちもあって、いろんな思いが混ざっている。だから、ガラが悪くならなかったんだと思います。

「なんでなん?」という気持ちも、思いがあるからこそ出てくる。それがちゃんと伝わっていたんだと思います。今、のんちゃんの話を聞いていて、もしかしたら、そこも意識していた部分なのかなと思いました。

◆安田章大&のん、兄妹の関係性は「世の中にたくさんいる家族の一つ」

― 支え合う大貴と希の姿が印象的でした。お2人から見て、この兄妹の関係性をどのように感じましたか?

安田:ASDだからとか、ASDじゃないからということを一度置いて考えても、「こういう兄妹って世の中にたくさんいるな」と感じました。定型発達同士の2人でも、もっといがみ合っている家族はいますし、言葉ではお互いに話しているのに、心の対話ができていない人もたくさん見てきました。

だから、この兄妹にもあまり違和感がなかったんです。「ここにもいた、ここにもいた」というような、世の中にたくさんいる家族の一つとして感じていました。

のん:希は、お母さんを早くに亡くして、お父さんも頼りにできなかったからこそ、「大貴のことを一番わかっているのは自分」という自負があるんじゃないかなと思いました。一方で、心のどこかでは大貴のことを「お荷物」と感じてしまう部分もある。でも、それ以上に「自分が一番わかっている」という思いが強いんですよね。

だからこそ、2人のつながりはすごく強いんだと思います。希は普段、「大貴を気にかけているのは自分」と思っているけれど、実は大貴に支えてもらっている部分もたくさんある。お互いに支え合っている兄妹なんだと思います。

◆安田章大&のん、川沿いのシーンで実感した“言葉を超えたつながり”

― お2人が印象に残っている撮影シーンを教えてください。

安田:川沿いのシーンは、一緒にやっていてすごく楽しかったですね。もちろん、楽しいシーンでも笑えるシーンでもなくて、センシティブな場面なんですけど、ちゃんと役としてつながっている実感がすごくありました。

人と人が、言葉がなくてもコミュニケーションを積み重ねていけば、いいものを作っていける。そういうことを実感する瞬間に近い感覚があって、希と大貴、そのベースにのんちゃんがいて、そこに安田という人間がいて、2人で一緒に紡いでいく時間がすごく充実していたし、多幸感がありました。「やったー!」みたいな(笑)。

僕は正直、最初から勝手にのんちゃんを信頼していたんです。だから、撮影を重ねる中で自然と信頼が積み重なっていって、大貴として存在できるようになったんだと思います。すごく安心感がありましたね。

のん:私も川沿いのシーン、大好きです。演じていて楽しかったですし、セリフのやり取りがあるシーンももちろん印象に残っています。でも、セリフがないからこそ、言葉にしなくても通じ合っている感じが一番あって、すごく気持ちが熱くなりました。

◆安田章大&のん、自然なやり取りの中で育った兄妹の空気

― 現場では、どのように兄妹としての関係性を築いていったのでしょうか?

安田:2人で「こうしよう、ああしよう」と話し合って、兄妹の関係性を作っていったわけではないんです。そこまで具体的に話した記憶もありません。川沿いのシーンや、「もう、お兄ちゃん邪魔せんといてよ」と感情が大きくぶつかるシーンでも、のんちゃんが出してくれたものを受け取って、それに対して自分がまた返していく。その繰り返しだったように思います。

のんちゃんが出してくれた空気や感情に応じていく中で、少しずつ大貴が育っていったんですよね。大貴という役を、現場で一緒に作っていったという感覚です。これまでの兄妹の生活や関係性も、のんちゃんとのやり取りがあったからこそ、自分の中から自然と出てきたんだと思います。

◆安田章大&のん、作品を通して改めて感じた家族への感謝

― この作品を通して、家族への考え方や接し方に変化はありましたか?

安田:僕は病気をして、命を2回ほど落としかけた経験があるので、もともと家族には感情をちゃんと届けるように生きてきたんですよね。子どもの頃から家族とはすごく仲が良かったですし、特に意識して心がけているというより、それが自然なことだったんです。

ただ、病気を経験してからは、親が亡くなることや、自分が亡くなることについても、より現実的に考えるようになりました。だから、家族が亡くなることについても、「もしそうなったらどうする?」みたいな話を、普通にするようになりました。「亡くなったら面倒見るから」とか、そういうことも自然に話すんです。この作品を経て、家族とそういう話を以前より積極的にするようになった感じはしますね。

のん:私は、家族への感謝の気持ちがすごく積もった感じがします。家族は無条件に私を肯定してくれる存在で、「私が楽しいことが一番楽しい」と言ってくれる両親なので、本当にありがたいなと思います。

実家にいた頃は、そこまでありがたみを感じていなかったんですけど、離れて暮らすようになってから、そのありがたさをどんどん実感するようになりました。自分が両親に育ててもらっていた頃の年齢になってみると、「こんなに手のかかるわがままな子どもを育てながら、家事も仕事もしていたんだ」と改めて偉大さを実感して、すごく感謝しています。

― 素敵なお話をありがとうございました。

◆取材後記

取材中、2人が何度も口にしていたのが「信頼」と「通じ合う」という言葉だった。役を作り込むだけではなく、相手から受け取ったものを返し合うことで、自然と大貴と希の関係性を育てていったという2人。穏やかな会話の中にも、互いを信頼していることが伝わってくる瞬間が何度もあった。

「支える側」と「支えられる側」という単純な関係ではなく、ときにぶつかりながら、それでも互いの存在に支えられて生きていく大貴と希。2人の言葉を聞いた後に作品を振り返ると、劇中で交わされる視線や仕草、言葉の一つひとつがより深く感じられるはずだ。安田章大とのんが、言葉を超えて紡いだ兄妹の物語に注目したい。

(modelpress編集部)

◆安田章大(やすだ・しょうた)プロフィール

1984年9月11日生まれ、兵庫県出身。SUPER EIGHTのメンバーとして活動中。グループではギターを担当し、作詞・作曲も手がける。ソロでは俳優としても幅広く活動。近年は、舞台『少女都市からの呼び声』(2023)、『あのよこのよ』(2024)、『愛の乞食』『アリババ』(2025)、『ポルノスター』(2026)などに出演。2026年には、フランス映画を日本で初めて舞台化した『髪結いの亭主』で主演を務める。

◆のんプロフィール

1993年7月13日生まれ、兵庫県出身。俳優・アーティストとして幅広く活動。映画『この世界の片隅に』(2016)では主人公・すずの声を担当し、『さかなのこ』(2022)では主演を務めた。近年は、映画『私にふさわしいホテル』(2024)、『新幹線大爆破』(2025)などに出演。現在放送中のフジテレビ系ドラマ『Tokyo middle 30』(毎週水曜よる10時~)に出演中。

【Not Sponsored 記事】
《モデルプレス》

特集

page top