
「スマートウォッチを使うといろいろなことがわかるらしいけれど、私の生活のいったい何に役立つの?」。
睡眠データは比較的わかりやすいのですが、その他のバイタルデータは何をどう見ればいいのか、あまり解説も見当たらないためほぼ不明なのではないでしょうか。
この疑問に答えをくれるのが島村麗乃さん。ご自身のプロサッカー選手としての経験を基に、運動・栄養・睡眠を統合した独自メソッド「ウェルネス・トリプル・アプローチ」を確立、日本初の睡眠休息専門資格「アスリートスリープリカバリートレーナー(JATA-ASRT)」を創設しました。
Appleが開催した睡眠セミナー「Apple Watch Sleep Experience」で、Apple Watch でわかる健康管理について教えていただきました。
スマートウォッチで常時確認すべきは、何をおいても「HRV」(心拍変動)

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まず、誰もが重点的に見てほしいのが「HRV(心拍変動)」です、と島村さん。Apple Watchをお持ちの場合は、ヘルスケアアプリを開いてください。表示されていない場合は、画面右下の拡張ボタン(虫眼鏡マーク)から「すべてのデータを表示」を選び、心拍計の項目内から探してみてください。

心拍変動の測定例、曜日ごと
簡単に覚えてほしいのが、HRVの数値は「高いほどいい」ということ。意識して生活を整えていくと、この数値は上がってきます。オトナサローネ編集部にはご主人のHRVが低いことに気づき、寝る前のカフェインと、寝室へのスマホ持ち込みの2つをやめることに決めたところ、3週間ほどで無事回復したという担当者も。

心拍変動の測定例、曜日ごと
このHRVとは「心臓のドクンからドクンまでの間隔」のことです。 体が疲労していると、体は心臓をどんどん動かして回復させようとするため、ドクンからドクンの距離が短くなります。また、身体的な疲労だけでなく、精神的な不安やストレスがある場合もこの距離は短くなります。つまり、「数値が低い(距離が短い)= 疲れている状態」であり、「数値が高い(距離が長い)= 調子が良い状態」だと判断できるのです。
これを長期的に記録・確認していくと、「エラーを起こしやすい時期」、「疲労が溜まっている時期」が目に見えて分かるようになります。アスリートならば「けがをしやすい時期」と一致することが多いのだそう。
「私の場合、例えば、タイムトライアルなどで無理をした後に数値をチェックすると、ガクッと下がっていたりします。自分の平均値と比べて数値が低い時は、『今日はトレーニング強度を落とそう』『睡眠時間を意識してしっかり栄養を摂ろう』といったコンディション調整に活かすのがおすすめです」(島村さん)
アスリートの場合はこのように、日頃のトレーニングや大会出場の際、HRVでのコンディションチェックを役立てるのがいまや常識なのだそう。もちろん私たちも「風邪の潜伏期にHRVが下がる」というように、この調子の悪さが気のせいなのか、それとも客観的にも悪いのかを知ることができます。
常にメンタルも身体も「調子がよい」という日が少ない更年期は、客観的な数値を見ることで「気のせいではなく休むべきタイミングだった」とわかります。自分の状態に対する納得が上がり、余計な落ち込みを防ぐ有効な指標がHRVといえます。
コンディションを映す「安静時心拍数」も併せて確認してほしい

もう一つ重要な指標が「安静時心拍数」です。寝ている間の心拍数で、長期間で見るのが重要。

安静時心拍数の測定例
安静時心拍数は、HRVとは逆に、数値が小さい方が調子がよいとされています。これも長期間で見ると、調子が上がっているのか下がっているのか、そろそろ怪我をしやすい時期なのか、といったことがわかります。
「私の場合は夏場に向けて数値が向上します。これは、6月に入ると夜中にエアコンを入れて室温を一定に保つからと判明しています。なお、エアコンは朝までずっとつけておくべきというのが睡眠界での常識ですので、タイマーでオフにせず朝までオンにしてください」(島村さん)
また、「慢性急性負荷比」という考え方があります。アスリートにとっては、直近1週間のトレーニング強度が、それ以前の3週間の強度と比べて2倍程度になると、怪我をしやすくなると言われています。こうした指標も併せて見ながらトレーニングをすることで、怪我をしやすい時期や風邪をひきやすい時期を把握するそうです。お子さんが部活などでスポーツを続けている場合は、こうしたコンディション把握も教えてあげるといいかもしれません。
「心拍数が上がると体調不良の兆候がわかる、というエピソードとして、前々回のサッカーワールドカップで日本代表選手はリング型のデバイスをつけていましたが、ある選手だけ心拍数が高く出たため検査をしたところ、新型コロナウイルスへの感染が判明したそうです。このように、HRVと安静時心拍数を見ることで、体調不良の兆候にかなり早い段階で気づくことができます」(島村さん)
なお、睡眠中に「心拍数の異常値(低すぎる・高すぎる通知)」が出ることがあります。高すぎる場合はお酒を飲んだ後などにわかりやすく出ますが、普段からトレーニングをしている人は、寝ている間の心拍数が37〜38前後まで下がって低心拍のアラートが出ることがあるそうです。これは心肺機能が高いために出るポジティブな現象ですので、そこまで神経質に心配する必要はないとのこと。

お話/一般社団法人ジャパンアスリートトレーナー協会 主宰代表理事 島村麗乃さん




