スマートウォッチで「睡眠」を測定するとわかること。「深い眠りが多いほどいい」というわけでもなく?専門家に聞きました | NewsCafe

スマートウォッチで「睡眠」を測定するとわかること。「深い眠りが多いほどいい」というわけでもなく?専門家に聞きました

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スマートウォッチで「睡眠」を測定するとわかること。「深い眠りが多いほどいい」というわけでもなく?専門家に聞きました

「スマートウォッチを使うといろいろなことがわかるらしいけれど、私の生活のいったい何に役立つの?」。

睡眠データは比較的わかりやすいのですが、その他のバイタルデータは何をどう見ればいいのか、あまり解説も見当たらないためほぼ不明なのではないでしょうか。

この疑問に答えをくれるのが島村麗乃さん。ご自身のプロサッカー選手としての経験を基に、運動・栄養・睡眠を統合した独自メソッド「ウェルネス・トリプル・アプローチ」を確立、日本初の睡眠休息専門資格「アスリートスリープリカバリートレーナー(JATA-ASRT)」を創設しました。

Appleが開催した睡眠セミナー「Apple Watch Sleep Experience」で、Apple Watch でわかる健康管理について教えていただきました。

前編記事『「感染症のかかりはじめも予測できます」。スマートウォッチ、1日歩数も睡眠リズムも重要だけど、注目したい「心拍」って?睡眠と運動の専門家に聞く』に続く後編です。

もうひとつ気になるのが「睡眠」。でも「深い眠りが多いほどいい」と言い切れるわけでもなくて

さて、スマートウォッチを使い始めると、最初に誰もが気になるのが睡眠データ。Apple Watchでは睡眠スコアの画面、または「睡眠」の項目から見ることができます。ヘルスケアアプリで「睡眠」と検索すると出てきます。

睡眠の測定データ、月間表示

睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠に分かれます。

ノンレム睡眠
 段階1(浅い眠り)
 段階2(やや浅い眠り)
 段階3・4(深い眠り)
レム睡眠(夢を見る眠り)

これが約90分ワンセットとなり、一晩に4〜5回繰り返されます。これがグラフ化されているのが睡眠データの図です。

睡眠の測定データ、1日ごと。睡眠のはじめに深い眠り(N3,N4)が出ているのがわかる。

「よく『レム睡眠=浅い睡眠』と思われがちですが、実はレム睡眠中、脳は起きている時以上に活発に働いています。その代わり、抗重力筋をはじめとする身体の筋肉は完全にシャットアウト、弛緩されています。 猫で例えると分かりやすいのですが、猫がうずくまって寝ているノンレム睡眠のときは筋肉を使っていますが、ダランと横たわって倒れるように寝ている時はレム睡眠。つまり、レム睡眠とは体にとって非常に深い休息状態なのです」(島村さん)

一方で、周りの環境に反応しやすいのは睡眠ステージの1や2。睡眠は、また、眠り初めの前半は「深い睡眠」が多く出て体力を回復し、朝に近づくにつれて「浅い睡眠」や「レム睡眠」が増えてすっきり目覚める準備をします。

「特にステージ2の睡眠には見張り番のような機能がついているため、小さな揺れや周囲の声で目覚めやすくなります。人間は人の声を聞くと脳の言語処理機能が働いてしまうため、テレビをつけっぱなしにしたり、家族の声が聞こえる環境で寝たりすると睡眠が浅くなってしまいます。できるだけ人の声が聞こえない静かな環境で寝ることが大切です」(島村さん)

また、身体の修復や成長に欠かせない成長ホルモンは、寝始めの第一周期でそのほとんどが分泌され、後半の周期ではわずかしか出ません。だからこそ、寝始めに質の高い睡眠を得られるよう、就寝前のカフェインやお酒の摂取、直前の入浴や強い光を避けることが重要になります。

「レム睡眠が少ないという場合、レム睡眠は基本的に朝方にかけて多く出現する傾向があるので、単純に睡眠時間が短いとレム睡眠も短くなりがちです。逆に長く眠ればレム睡眠も多く出ます。レム睡眠は主に脳の感情処理に関わっているとされており、レム睡眠が十分に取れていると、日中の感情が安定しやすいとも言われています」(島村さん)

 スマートウォッチのデータの精度は?「実際に比較してみましたが、正確でした」

さて、「スマートウォッチのデータって本当に正確なの?」と思われる方も多いかもしれません。 島村さんは実際に専門機器で脳波や眼球運動、血中酸素濃度を測りながら、同時にApple Watchをつけてデータを比較検証したことがあるのだそう。

「本来、正確な睡眠段階は脳波や筋電図を測らないと分からないとされていましたが、結果を並べて見ると、スマートウォッチのデータは脳波データと驚くほど一致していました。 スマートウォッチは、ジャイロセンサーによる体の動きだけでなく、レム睡眠時に起きる自律神経の乱れ、体は動いていないのに心拍が激しく動く現象を捉えて、とても正確に睡眠ステージを推測していました」(島村さん)

ただし、ホテルなどの慣れない環境で寝ると、途中で目が覚める「覚醒」のデータが多くなります。人間の仕組みとして、新しい環境では防衛本能が働いて睡眠が浅くなるのが自然な反応だからです。また、ふかふかすぎる布団は熱がこもりやすく、寝返りが打ちにくいために睡眠が阻害される原因にもなります。

理想の寝具ってどういう条件? そして適正睡眠時間の調べ方とは?

参加者には睡眠をテーマにしたギフトバッグが提供された。

では、睡眠の質を上げるために、私たちができることには何があるのでしょうか。まず「寝具」について。

「現在の研究ベースでお話しすると、マットレスはやや硬め、枕は薄めが推奨されています。特にアスリートなど体熱が高い方は、熱がこもりにくい網状の素材のような通気性が良く、寝返りの打ちやすい寝具がおすすめです」(島村さん)

自分に合った適正睡眠時間を把握することも重要だそう。

「本当に必要な睡眠時間は年齢や個人によって異なります。自分に合った時間を知るには、アラームをかけずに起きる生活を4日〜1週間ほど試してみる方法が有効です。 最初の1〜3日目は日頃の睡眠負債、寝不足で長く寝てしまいますが、4日目あたりから周期が落ち着いてきます。この4日目以降の睡眠時間こそが、あなた本来の適正な睡眠時間です。私自身が試した時は6時間〜6時間半が適量でした」(島村さん)

入眠が遅くなったり早くなったりしがちで、自分の都合で調節できない生活ならば、睡眠の質を意識しましょう。具体的には、太陽が沈んだら部屋も同じように暗くしていくことや、カフェイン・お酒に気をつけること。すると自然と夜になるにつれて活動的でなくなり、うまく眠りにつけるようになります。

日頃の睡眠が足りているかどうかは、以下の3点を確認してみてください。

・朝起きた時のスッキリ感

・日中の強烈な眠気の有無(14時頃の生理的な眠気は除く)

・夜の入眠スピード

「ベッドに入って5分以内に即寝落ちできるという方は、一見健康そうに見えて実は極度の睡眠不足状態です。健康的な人の入眠時間は7分〜15分程度とされています。逆に20分以上眠れない状態が毎日続くと、脳が布団を眠れない場所と学習してしまうため、一度布団から出て部屋を暗くし、眠気がきてから戻るようにしてください」(島村さん)

朝すっきり起きるためには「2段階アラーム」を活用すべし!

最後に、朝の目覚まし方法についてです。朝、大音量のアラームで急激に起こされると、脳は「攻撃された」と錯覚してストレスホルモン、コルチゾールが無駄に出たり、起きた後も頭がぼーっとする「睡眠慣性」が強く残って気分が悪くなってしまうといいます。

そこでおすすめなのが「2段階アラーム」です。

1回目:ごく小さな音量でセットする

2回目:1回目の20分後に、通常の音量でセットする

「朝方になると睡眠の周期は短くなり、20分ほどで深い睡眠から浅い睡眠へと移行します。 1回目の小さな音で起きられれば、それはすでに浅い睡眠段階に来ていた証拠ですので、そのまま起きてしまいましょう。ここで二度寝すると再び深い睡眠に入ってしまいます。 たとえ1回目で起きられなくても、20分の猶予を作ることで2回目のアラームの時には自然と浅い段階へ移行しており、すっきりと楽に目覚めることができるようになります」(島村さん)

また、計測の結果「深い睡眠」が少ないと判明した場合は、体の回復力が弱くなっているということ。原因としては、カフェインやアルコールの摂取、夜遅くの運動、昼寝、就寝前の部屋の明るさ、入浴のタイミングが就寝直前すぎること、などが挙げられます。

バンドを交換すればさまざまなシーンに対応するApple Watch。

このように、仮に数値が「よくない」場合、多くの場合は何かしらの原因があります。これらを1項目ごとに改善しながら、HRVなど心拍データとも併せてトータルのコンディションを整えていく、その伴走役がApple Watchというわけですね。ぜひご自身のデータを確認しながら、日々のコンディショニングや睡眠環境の改善に役立ててみてください。

お話/一般社団法人ジャパンアスリートトレーナー協会 主宰代表理事 島村麗乃さん

元プロサッカー選手(スペイン3部→Jリーグ:FC琉球)、睡眠健康指導士・睡眠改善インストラクター、アスリートスリープリカバリートレーナー®︎、スリーププランナー。
睡眠、栄養、運動、データ活用などの科学的根拠に基づき、自身のメソッドである「ウェルネストリプルアプローチ」によって、プロアスリートから健康目的のクライアントまでを最善で最短で効率的に目標へと導く。国立大学や高校での講義、トレーナー育成などもしている。また睡眠・休息資格「アスリートスリープリカバリートレーナー:ASRT」の提供も行っている。

《OTONA SALONE》

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