
オトナサローネの不登校記事読者の皆様に「現状いかがでしょうか?」と等身大の声を聞くシリーズの2回目は、関西在住のお母様・さくらさんのお話です。
日頃からインタビューにご応募くださるのは「話す」ことに慣れた方が多いのですが、今回ZOOMの画像オフのままお話を伺ったさくらさんも、笑いながら快活に話しを続ける明るいお母様でした。なのですが、お話が進むうちに、ここまで悩み、迷いながら一歩一歩進んできた年月の重さも浮かび上がってきました。
さくらさん 51歳 大阪府在住。中2娘、高2息子と53歳夫の4人暮らし。娘さんは中学受験を経て兄と同じ私立の中高一貫校に進学、在籍中。
*プライバシーに配慮し一部を改変してお届けします。写真はイメージです。「私も話を聞かせてもいいよ」という方、ぜひ文末のリンクからお知らせください。
【不登校の親なう】#2
幼稚園時代に遊具から落ちた娘は「そのまま放置され」、声を出せなくなった
娘は現在中です。中1の夏休み明け、最初の3日は登校しましたが、4日めは制服を着たものの玄関で靴が履けず、5日めは制服を着てベッドに座ったところで動けなくなり、6日目はついに制服が着られなくなりました。それから約1年、1回も登校していません。
彼女の不登校の兆候はずっと昔、3歳までさかのぼります。幼稚園に入園した5月にお友達を追いかけて遊具から落ち、骨折してしまったのですが、運の悪いことに先生が手薄なタイミングで、しばらく放置されてしまいました。「どれだけ泣いても誰も助けてくれない」体験で心を閉ざしてしまい、それから公の場で喋れなくなったと、やっと最近になって本人は口にできるようになりました。
もともと人前で喋りにくい性質を持って生まれたのかもしれません。が、この9年ほとんど学校で喋っていないのは、特に大人に対して助けを求められない、信用できないという体験が根源だったそうです。それ以降、学校で先生とは1回も話したことがありません。
幼稚園からずっと一緒のお友達とは耳打ちのように小さな声で喋りますし、高学年でできた仲良し5人組とはよく喋るようになりましたが、たとえば国語の時間の音読は免除されていたようです。こうした配慮をいただいていたことは私は知らず、卒業間際になってはじめて聞きました。
「場面緘黙なのかな」と思ったこともあるが、学校側からは特に働きかけもなくそのまま過ごす
小学校時代、「場面緘黙かな?」と思うこともありましたが、幼稚園時代から現在まで学校からは特にそのような状態を疑う声かけはありませんでした。「知ってる人が少ない中学を受けて環境を変えたい」と中学受験をして、仲良し5人組のうちの1人と一緒に共学の中高一貫校へと進学しました。
小学校時代はマスクが外せなかったのですが、中学では外したい、生まれ変わりたいと祈りを込めるように進学し、声も小さいながらも出して、授業中指名されても頑張って答えていたようです。
もともと内気なおとなしい子ですが、誘われて入った剣道部で彼女は変わりました。スポーツをする子でもなかったのに毎日部活にも出て、とても楽しいと言っていました。よかった、人間ってこんなに変わるものなんだ、剣道って大きな声も出すのにすごいね、試合も出てえらいねと言っていたのですが、しかしそれも中1の夏休みがピークでした。
夏休み中は午前中に夏期講習があり、そのあとはクーラーもない道場で毎日夕方まで練習。あまりの湿度に眼鏡のつるが錆びる始末でした。そんな夏が終わり、さあ明日から学校だという日に娘が真顔で私に言うのです、「お母さん、夏休みいつから?」。この子は何を言うのだろうと戸惑いながら、「え??もう終わったよ??」と答えましたが、これも予兆でした。
前述のとおり、新学期の4日めは制服を着て玄関まで行ったけれど靴が履けず、そして6日目には完全に行けなくなりました。
不登校が始まった年はいろいろと「しんどさ」が重なるタイミングでもあった
不登校になるお子さんにはそれぞれ理由があると思うのですが、我が家の場合、娘の中1は重なるものが重なったタイミングでした。
3月に引っ越し、4月に兄が高校に進学。そして、5月には夫が10年ぶりに単身赴任から戻りました。そんな変化に加えて、夏にまだ2歳の愛猫が急死してしまったのです。私も娘もぽかりと胸に穴があいたような状態になりました。さらに部活と夏期講習で大変だった夏休みと、悲しいこと、我慢を強いられること、マイナスのことがいろいろ重なって、頑張りすぎて燃え尽きたのでしょうか。
中でもずっと単身赴任だった夫が帰ってきたのは大きな変化でした。夫は娘が3歳のときに海外赴任になり、めったに会うこともなく、子育ての経験もないままで突如として戻ってきて、それまでの家族3人の楽しい暮らしが一変、皆がストレスを抱えた生活が始まったのです。
もしも家族が明るく仲よく楽しかったら、娘もこんなことにはなってなかったかもしれないな、なんて考えてしまいます。
つづき>>>不登校の中2の娘は、いま立ち止まっているところだけれど。彼女の中に少しずつ起きていった変化とは




