不登校のわが子がじりじりとレールから外れていく恐怖に、私たちは耐えられないと思うけど【不登校ラジオ・ダイジェスト】 | NewsCafe

不登校のわが子がじりじりとレールから外れていく恐怖に、私たちは耐えられないと思うけど【不登校ラジオ・ダイジェスト】

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不登校のわが子がじりじりとレールから外れていく恐怖に、私たちは耐えられないと思うけど【不登校ラジオ・ダイジェスト】

オトナサローネでエッセイ『シングルファーザー小説家の子育てと社会日記』を連載中の作家・仙田学さんと、オトナサローネ編集部井一が、6月19日にインスタライブで「不登校ラジオ#1」を配信しました。そのダイジェストをお送りします。前編記事『「子どもっていうのはいつ命が消えるかも分からない」不登校とは単に学校に行く・行かないの話ではなく』に続く後編です。

「レール」から外れた子どもの将来をどう考えるか?とにかく不安しかない、手探りの状態だけど

井一: 日本には、良し悪しは別として、この段階でこうしておけばこういう感じで社会に出られる、という確たるレールがありますよね。たとえば頑張って勉強して進学校に入学すればよい大学に進学できて、よい企業に就職できる。そのレールから外れてしまうと、将来が見えなくて怖い。私もそれをすごく感じています。先生は、そのレールというものをどう考えますか?

仙田: レールに囚われてしまうと、そのレールから外れている部分にものすごく目が行ってしまって、なんとかレールに戻らないとっていう意識になってしまう。でも、完全にレールから外れて自分でレールを作るモードに入ってしまうと、結構それ自体忙しいし、楽しいことだと思うんですよね。実は1本大きなレールがあるように見えて、ほかにもたくさんレールってあるんですよ。それを自分で作っていけばいいんじゃないかと思いますね。

井一: その「自分でレールを作る」というのは、親が関与しないで、子ども自身が見つけるということでしょうか?

仙田:そう思いますね。選択肢を広げてあげるとか、提示してあげることはできると思うんですけど、やっぱり選ぶのは本人ですよね。背中を押すところまで行かないで、見せるところで止めるみたいな接し方。もちろんこれが正しいのかどうか分かりませんけど、僕が生きていく上で自分のレールを作っていった上で一番大事にしてきたのが「欲望」なんですよ。自分はこれやりたい、っていう強い気持ち。その欲望と「こうしなければならない」というものが対立したら、たとえ一般的に見たら欲望が間違ったものであっても、そこに身を委ねるべきだというふうに考えていたので、自分のレールをそうして作っていったんですよ。欲望っていうのは人から手を引っ張ってもらっても出てくるものじゃないですよ、自発的なものなので。だから、子どもからそうした自発的な欲望が出てくるまで、ひたすら待つという姿勢でいますね。

井一: 待つって、気の長い人じゃないとできないのでしょうか。先生もどちらかというとその欲望に敏感だから気長に待てているような気がするんですけれど。

仙田:コメントで「待つ」と書いてくれた方がいましたが、僕の感覚で言うと釣りの感覚に似ているんですよね。釣りって、かかるまでひたすら待つじゃないですか。気が長い人が待てるんじゃなくて、気が短い人のほうが釣りに向いているっていう意味だと思うんですよ。ずーっと集中して糸の先を見て、ちょっとでも動いたらシュッてやるわけですよね。常に「いつくるか、いつくるか」って。気が短い人のほうが待てるっていうのもあるかもしれない。

「子どもがずっと眠り続ける」、これは「不登校あるある」話? 起立性調節障害との向き合い方

井一: 連載の中で、お嬢さんがほぼ昏睡状態のように眠り続けていた時期のことが印象的でした。肩を叩いても名前を呼んでもまったく意識が戻ってこないような状態だったと。

仙田: 本当にそうで、ヤフーニュースのコメント欄を見ると同じようなお子さんが同じような状態だったという方がたくさんいて、こういう経験をしている子どもがほかにもいるんだなと思ったんですよね。ちょうど小6から中1ということで、思春期で心も体も大きく変化する時期ですし、まずは体から調べていって何か異常がないか知りたかったというのがありました。

井一: その後、起立性調節障害の診断に至るまでに小児科を何件もはしごされたんですよね。

仙田:本当に何件もはしごしましたけど、「分かりません」という反応でしたね。小児科って本当に大変でした。最終的に診断が出るまでが本当に苦労しました。

井一: 診断が出てから、睡眠表をつけたり、水分や塩分を多く取ったり、起き上がるときは足首から、1日1回は何かしら勉強をする、という生活改善を実践されたとのことでしたね。実際、効果はありましたか?

仙田: つけ始めた1年前はもうほぼ真っ黒で、白いところが1日5時間とかだったんですよね。ほぼ1日18時間くらい寝ているような状態でした。それが何か月か経つことでだんだん白いところが広がっていって、1年経った今ではほぼ夜11時か11時半くらいには寝て、昼の11時くらいに起きてくる。まあそれでも12時間くらい寝ているんですけど、昼間の時間はすっかり起きているようになって。効くみたいですね。

井一: 睡眠表をつけること自体が効くのですか、それとも他の何かと組み合わせることで効くのでしょうか?

仙田: 先生に言われたのは、生活改善はもちろんなんですけど、好きなことやりたいことが見つかったら——例えばそれが午前中にあれば、前の日早めに寝て朝起きるとか、自分なりの睡眠のリズムを把握して、好きなことがあったら起きられるという状態になればまあ次のステップに行けるよねという話で。実際に今は結構活動的になって、習い事を3つくらい始めたんですよ。その日はちゃんと起きていますね、8時に起きて用意してみたいな。体の水分を多く取るという生活リズムを作ることと、さっきお話しした欲望——これやりたい、これ好きだというものができること、そのセットかなと思いますね。

いちばんハラハラする!「勉強しなくなった」ことについては、どこまで待てばいい?

井一: 不登校になると、多くのお子さんが勉強もしなくなりますよね。先生ご自身はいかがでしたか?

仙田: 僕自身は不登校時代はまったく勉強していなかったですね。大検を取ったんですけど、当時は年に1回だけ8月に試験があって、その直前の2か月くらい勉強して取ったんです。だから高校に当たる3年間で勉強したのは2、3か月くらいでした。でも別になんとかなったので。勉強はあとからいくらでも取り返せるかなと思いますね。

井一: すごく勇気の出る言葉です! では、勉強しようという気持ちはどこから生まれたんでしょうか?

仙田: 学校に行っていないときに図書館に通って毎日本を読んでいて、映画が好きだったので映画館にも入り浸って。よく通っていた映画館でスタッフ募集というのがあって、そこで映画館のスタッフになったんですよ、16歳のときかな。そこで友達ができ始めて、全員大学生だったんですけど、その中に大阪芸術大学に行っている人がいて、話を聞いているうちに「あ、自分もその芸大行ってみたいな」って思って、大検を受けたっていう感じなんですよね。

井一: これはまさに「欲望」が先にあったということですね。やりたいことが先に生まれて、そのためにどうするかが後からついてきたということですね。

仙田: そうですね。自分の内側から「これがやりたい」という気持ちが湧いて初めて、それに向けて動けた。親に「勉強しなさい」と言われて動いたわけではなかったですね。

大抵みんな困ってる。「スマホ・SNS」「ゲーム」にどう折り合いをつけるか? フリースクールは行かせるべき?

井一: スマホの問題もすごく多くの親御さんの悩みだと思います。うちは夫が私に何の相談もなくいきなり買ってきて、無制限みたいな与え方をしてしまって……。先生はどうお考えですか?

仙田: スマホに関してはすごく悩みましたね、今も悩んでいます。ほっとくと本当に無限に見るじゃないですか、子どもって。ただ、スマホを使って調べ物をしたり、誰かとつながったりもする。うちの子どもはLINEのオープンチャットが好きみたいで、アニメが好きな人が集まるオープンチャットに入って会話して気を紛らわせていたり、友達とLINEしていたりとか。使い方によっては、オンラインゲームで誰かと一緒にゲームをするという経験がよく働く場合もあるし、すごく難しいですね。

井一: ゲームについて言うと、ゲームの課金がひどくなったり睡眠時間を削ってまでやり続けるような依存の兆候が出た場合は注意が必要ですが、そうではない場合のゲームは能動的な行為なので、ただひたすらショート動画を見続けるよりはメンタルに良いという研究もあったりしますよね。

仙田: ゲームが逃げ場所というか、現実から目をそらす場所としてある子もいるかもしれないですよね。

井一: フリースクールについては、先生のお嬢さんにはどのように取り入れていかれましたか?

仙田: 去年の8月、9月頃に、こういうところもあるよという感じで見せて、興味を持ったので見学に行ったら「行きたい」と言い出して、通い始めたんですけど、1か月くらいした時点で一回行かなくなったんですよね。本当につらそうな感じだったので一回諦めたんですけど、実はそこが結構大手の塾だったんですね。フリースクールってすごくいろんなタイプがあって、居場所型のところと、勉強をちゃんと見てくれるところと、子どもの元気度に応じていろんな段階があるんです。2か所行ってみて、「ちゃんと勉強を教えてくれるところがいい」と言ったので、そっちに行ったんですよ。そちらも1か月ほどで行かなくなったんですが、1か月くらい経った頃に塾の先生から電話がかかってきて、ほかの教室を試してみませんかという提案をされて。違う教室に行ったら雰囲気が合っていたみたいで、それが去年の11月くらいかな。そこから今までずっとそこで頑張っているんですよね。いろいろ試してみるといいかもしれないですね。

子どものことがとにかく不安でしょうけれども。親が自分を守ることも、子どもへの支援になる

井一: 不登校の支援って、どうしても子ども向けのものが多くて、親向けのサポートというのがほとんどないように感じています。いまコメントで、お子さんが4年間不登校、フリースクールにつなげたけれども、それがよかったのか迷っていらっしゃるという内容をいただいていますが。

仙田: 4年間不登校というのは本当に大変だったと思います。大変ですよね。その間にいろんなことがあって、それで背中を押してフリースクールにつなげたということだと思うので、その方にとってはそのタイミングだったんだと思います。息子さんにとっても。

井一: 親御さんが「やれることはできた、自分は子どものためにすべきことをできた」と自分を納得させられる何かを持つことって、すごく大事だと思うんですよね。お母さんやお父さん自身が心のバランスを保てていることが、結果的に子どもへのかかわり方にも影響してくるわけですし。行かせてみてうまくいかなかったとしても、「そのトライは終わった」と親が納得できることが、親のメンタルを守ることにもなる。私は、親が自分自身のことをケアすることも、子どもへの支援の一つだと思っています。

編集部イノイチより/「なんとかなる」を根拠のある言葉にするために、今私たちができることは何だろう

非常に乱暴に要約すると、仙田さんがおっしゃっているのは「子どもの魂を信じろ」ということだと思います。「行け」と言わない、欲望が湧くまでひたすら待つ、そして「1本の大きなレールから外れても、自分でレールを作ればいい」という確信。仙田さんは自身のご経験から「見えている」部分があるのだと思います。

「めんどくさい」という言葉の奥に、「つらい」というSOSが隠れているかもしれないということ。昼夜逆転して眠り続けるお嬢様の姿を見て、それでも「だから1日1日、命が続いていることをまず喜ぼう」と思えること。そして、欲望が湧き上がる日まで、釣り糸の先を見つめ続けるように待ち続けること。仙田さんの「なんとかなる」は、よくある見守り教の軽い楽観論ではなく、「必ず大丈夫になる、信じて動じず子どもの魂を受け止める」という、確たる行動指針なんですね。

なのですが、今日もごろごろ寝たまま学校の、しかも期末テストをさぼりおった娘を見ると、焦るし腹も立つし不安にもなり、いろいろな気持ちがごちゃっとします。こうした日々を毎日毎日かみしめながら、最長で高校3年生までは、もしかするとそのあとも、同じような気持ちの上下を私はくり返すのだろうな。そんな諦めに近い気持ちにもなります。

仙田学さんの連載「不登校の親として考えること」は、オトナサローネで毎月15日ごろに配信中です。また、この記事についてのご意見・ご感想、あるいは「うちはこうしています」というご経験をコメントでお寄せいただけると、同じ悩みを抱える方々の大きな力になります。あなたの声を、ぜひ聞かせてください。

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