ヨーロッパ企画代表・上田誠が初めてメガホンをとった本作。
公開日の6月19日(金)に、TOHOシネマズ日比谷、スクリーン12にて初日舞台挨拶が行われ、W主演の伊藤万理華、井之脇海をはじめ、共演の藤谷理子、金丸慎太郎、そして上田誠監督が登壇。本編で刑事役を務めたお笑いコンビ「ザ・ギース」がMCを担当し、終始和やかな雰囲気の中でトークセッションが行われた。
公開初週3日間の観客動員数は7042人、興行収入は1149万2700円を記録。TOHOシネマズ日比谷 最大キャパのスクリーン12が満席となったほか、東京・京都の舞台挨拶回は全回満席となった。ロケ地である下北沢トリウッドは早くも"聖地化"しており、パンフレットの売上は前作『リバー、流れないでよ』を超える大盛況。リピート鑑賞を目的に来場する観客も目立ち、絶賛コメントも多数寄せられている。
初監督作着想のきっかけと黄色い衣装の秘密上田誠監督は初監督作の着想について、企画立ち上げからわずか4か月後に撮影というスケジュールだったことを告白。「東京で撮影するなら、(ロケ地は)過去2作で組んだ映画館"トリウッド"さんが良さそうだぞ、と。トリウッドの椅子の黄色も決め手になりました」と語った。
W主演の2人については、舞台「リプリー、あいにくの宇宙ね」で共演していた伊藤と井之脇に運命を感じてオファーしたと明かした。
上田監督の“発明”とも言うべき脚本の印象とは?
緻密な構成で知られる上田監督の脚本について、伊藤は「台本の1ページ目に図解付きでルール説明が書かれていて」とその独特な脚本に驚きつつも、「文字を読むだけで面白く、台本で読んだ時の新鮮な笑いをスクリーンで表現できるか不安もありながら楽しく撮影できました」と述懐。
井之脇も「意外とさらっとは読めるんですが『ん?どういうことだっけ?』と疑問点が多く、現場でやりながら見えてくるワクワク感がありましたね」とふり返った。
劇団員シホ役の藤谷は、「上田さんの脚本は理解することを一回放棄しないと読めなくて(笑)」と冗談交じりに話しつつ、当て書きされた自身の役柄を通して「上田さん、私に対してこう思っているのか、と思いました(笑)」と一抹の不安を覚えたと苦笑い。バンドマン・ミコシバ役の金丸は、「一発では分かりづらいほど構造がややこしく、撮影現場でも混乱しました。クリストファー・ノーランも腰を抜かすだろうな(笑)」と笑いを誘った。下北沢への思い入れと感動エピソード
劇中の舞台である下北沢について、伊藤は個人的にも古着屋やカフェを巡り、トリウッドにも足を運んだこともあったため、今回の企画に感慨深さを感じている様子。藤谷は「東京に出てきて、初めての舞台が劇中にも登場する駅前劇場だったんです。なので下北沢での撮影にはやっぱり特別な思い入れがあります」と語った。
井之脇は「歩いている人がスマートフォンを見るのではなくお店を眺めるなど、顔を上げている人が多く活力を感じる街」、金丸は「老若男女を受け入れてくれる街」とそれぞれの街へのイメージを語った。上田監督は「音楽と演劇の街、というイメージですね。喫茶店や居酒屋に行ったら楽器を持っている人が多い。演劇のことは自分の活動分野で分かるので、準備期間はひたすらバンドマンのルポやドキュメンタリーを調べていました。なのに、出来上がった映画は気づいたらカズマもミコシバも楽器を持ってなくて(笑)」と笑いながら明かした。
「自分の人生も、もしかしたら物語や映画になるかもしれない」というメッセージも感じる本作。そこで、"この瞬間が映画になったらいいな"というトークテーマでは、井之脇が引っ越し準備中に長年見つからなかった亡き母からの時計が偶然出てきたエピソードを披露。「見つけた時、思わず泣いちゃいまして。母がつなげてくれた時計。その瞬間は映画とかで残せたら」と感動的な場面もあった。
伊藤は幼少期に住んでいた大阪のマンションを一人で訪れたエピソードを語り、「何か目的があったわけではないんですが、過去の自分を回収するような旅になって、それこそ泣けてきてしまって」としみじみ。
藤谷は、本作の打ち上げで伊藤から「同じ学校だったら親友になれたかな」と言われたことを明かし、「私はもうすっかり、まりっかちゃんと親友の気持ちだったんだけどな…」と自虐を交えつつ、「ここから親友になっていく映画の1ページですね」と語り、登壇者同士の仲の良さをうかがわせた。それを聞いていた上田監督は、井之脇の映画には『マザー・トケイ・ブルース』、伊藤の映画には『大阪サルベージ』、藤谷の映画には『万理華、泣かさないでよ』と即興で映画タイトルを命名。会場は爆笑の渦に包まれた。
最後に登壇者を代表して伊藤、井之脇、上田監督が挨拶。伊藤は「映画が完成しスクリーンで観た時に、今の状況が映画になるかもしれないというワクワク感をくれる作品」、井之脇は「この作品は映画を愛する人のための映画であり、人間讃歌のような作品。映画館で観なきゃだめな作品なので、ぜひ広めてください」、上田監督は「撮影中は、誰も登ったことのない山をみんなで登るような楽しさがあった。キャストも、ギミックを我がものにしながら、エモーショナルの深いところまで表現してくださった。まさにスーパープレイの連続の映画。ぜひ応援してください」とそれぞれ呼びかけ、舞台挨拶は盛況のうちに幕を閉じた。
スイスで開催の第25回ヌーシャテル映画祭「Asian Competition」、韓国で開催の第30回プチョン国際ファンタスティック映画祭「Fanta-space」へのそれぞれ正式出品が決定。台湾での劇場公開も8月に予定されており、『リバー、流れないでよ』に続く快進撃がスタートした。『君は映画』は全国にて公開中。












