
首都圏の中学受験が過熱するなか、ネット上では「我が子に合った学校選び」に頭を悩ませる保護者の声があふれています。
神奈川県在住で、一般社団法人の役員秘書として働くえみりさん(仮名・49歳)は、中学1年生の長男と小学4年生の長女を育てる2児の母。精密機器メーカー勤務の夫・忍さん(仮名・50歳)とともに長男の中学受験を終え、現在は長女の受験に伴走中です。
長男のA君は現在、いわゆるボリュームゾーンの私立中学に通っています。母のえみりさんは、「正直、中学の偏差値なんてどうでもいい」とキッパリ言い切ります。それでも子供たちに中学受験をさせた理由について尋ねると、自身の経験と、わが子たちの性格が大きく関係していると話してくれました。
【どうする?小学校受験と中学校受験】
親に言われるまま中学受験をしたら「つまらなかった」
えみりさんの夫・忍さんは、高等専門学校を卒業後、精密機器メーカーで研究開発に携わっています。現在は開発チームを率いる立場で、多忙な日々を送っています。一方のえみりさんは、神奈川から東京の中高一貫共学校へ進学したものの、「肌に合わない」と感じて高校受験をし直し、県内有数の進学校である公立高校を経て、関西の美術大学へ進学しました。
「中学受験をしておきながら高校受験もして、大学は美大という、ちょっと珍しいルートです。それもこれも、母親が『ママの出身校はいい学校だから』と勧めてきた私立に、なんとなく入学したせいかもしれません。後に同じ学校へ入った妹は『のんびりしていていい学校』と気に入っていましたが、私からすると少し物足りなかったんです。みんな、部活や遊びを楽しんで、テスト前だけ勉強する感じで」
親に勧められるまま中学受験をした結果、「友達ともなんとなく合わないし、校風もぼんやりしているし、通学も遠いし、つまらない」と感じていたそうです。
「とくに男子が子供っぽくて、笑いを取ろうとして授業妨害するような雰囲気も苦手でした。それで親に『やっぱり高校受験をしたい』と言ったら驚いていましたが、受験したい高校が今より上のレベルだったので、『まあやってみれば』という感じになりました。中学受験の時は家庭教師でしたが、高校受験では志望校に特化した塾に通い、過去問中心に苦手をつぶしていったところ、合格できました」
高専卒の夫に文句を言った学歴至上主義の母親
そんなえみりさんは、大学卒業後、友人が主催する飲み会で忍さんと出会い、結婚します。
「母親は少し学歴至上主義なところがあって、『え? 高専って高卒なの?』と最初は文句を言っていたした。でも、社宅に住むような普通の社員から大手企業の役員にまでなった父は理系なので、『あそこの学校の卒業生は部下にもいるけど優秀だよ』と理解がありました。結局、両家の食事会をしてみると家庭環境も似ていて、母も夫をすっかり気に入ったみたいです」
実際に忍さんは、チームとして大きな成果を上げ、同業他社から引き抜きの話も絶えない研究者として活躍しています。
「年収も、同じく正社員で働いている私の倍以上あります。今では母も、気配りができて孫にも優しい婿が大好きです」
「化石好きの先生がいる学校に行きたい」と私立受験を希望した長男
そんな2人の長男・A君は、化石発掘とペットのカナヘビに夢中で、「地学部か生物部のある学校に行きたい」と話していたそうです。
「たぶん、近所の公立高校に楽しそうな地学部や生物部があれば、公立でもよかったと思うんです。でも、近隣にはなさそうでした。ちょうどその頃、私の父が倒れて要介護1になりました。父は膨大な化石コレクションを持っていて、海外まで発掘に行くほどの化石マニアなんです。『A君にあげたいな』と言うので、『マンションだから全部は無理だよ』と返したら、『学校に寄贈できないかな』と言い出して。それを聞いた本人も、『地学部に入りたい。化石好きの先生がいる私立に行きたい』とやる気になってしまったんです」
もともと中学受験を予定していなかったえみりさん夫妻は驚いたといいます。
「私はどちらでもいいと思っていました。長男は勉強が好きなタイプではなく、化石発掘や昆虫採集、サッカーなど外遊びが大好き。学校の勉強だけしっかりやって、のびのび育てようと思っていたので予想外でした」
つづく【関連記事】〔怒涛の中学受験〕偏差値より「セミの幼虫探し」ができる小学校生活を守った母の決断
では、A君と家族が選んだ志望校と受験までの生活についてお届けします。
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