
横浜・元町の女性医療クリニックLUNAグループが、26年4月10日に「アクティブシニアクリニックLUNA沖縄」を開院しました。
同グループ理事長・関口由紀先生は、女性泌尿器科医として医学会をリードする立場であると同時に、東洋医学・更年期医療など多方面での研鑽を積み、2018年にはそれまで診療科別だったLUNAグループ3つのクリニックを生殖世代と更年期世代、「女性のステージ別医療」に再編した先進的な医療の実践でも知られます。
今回オープンする「アクティブシニアクリニックLUNA沖縄」は、更年期世代以降の中でも「パートナーシップ専門クリニック」という前代未聞の診療科。なぜこの診療を始めるのか、なぜ沖縄に開くのか、その理由を聞いてみました。
【更年期を助けてくれる人たち名鑑】#4後編
EDは単なる性機能の問題ではなく、動脈硬化の予兆、重要な疾患です。ぜひ受診を
前編記事では初診自費のパートナーシップヘルスケア専門クリニックを沖縄にオープンした狙いを伺いました。二人で沖縄まで来ることが前提ですから、対象となるのは完全に壊れ切ってはいない、でもぎくしゃくする部分が増えているカップルです。どのようなトラブルが診察対象なのでしょうか?
「たとえば男性のモーニングエレクション低下も診察の対象です。これはEDの最初のサイン。じつはEDは動脈硬化のサインで、決して見逃してはならない疾病なのです。また、女性のGSM症状である腟の乾燥感、性交痛も更年期を迎えて最初に出てくるサインの一つ。ちょっと性交が痛いなと感じながらも無理をしてると、ますます痛くなるという悪循環に陥ります」
いずれも、少し違和感が生まれたなというときに来院してほしい、と関口先生。
「また、痛いときには男性の硬度が少し下がっていることもあります。女性型の問題もあれば、男性型の問題もあるのです。私たちは男性のメンタル、全身倦怠感も診察します。生殖年齢が終わってネクストステージにきた男女のトラブルを重くなる前に早くから診察したいのです」
とはいうものの、逆にパートナーシップがもうどうにもならない場合は離婚してもいいと思う、と関口先生。
「健康寿命を延ばすという点からも、年を取ってからのパートナーシップは性格の合わない夫を我慢するのではなく、気持ちの合う人と維持したほうがいいと考えます。無理に一緒に暮らす必要もないですし、離婚をせずにパートナーを変える方法もあると思います」
なるほど、しかし50代60代以降にパートナーを変えるだなんて、だいいちそう簡単に出会いがある気がしませんが……?
「日本の女性の2割はもう金輪際一生男性は結構となっていますが、逆に2割は死ぬまで性交したいと思っている。これは男性ホルモンの基礎値と過去のトラウマの経験で決まると考えられています。では残り6割はどうかというと、『いまはしなくていいけれど、いつかフォールインラブしたらしてもいい』と考えているんです。ですから8割の女性は、いつかフォールインラブしたときのために、更年期以降も第二の顔であるフェムゾーンを大事にしてほしいと思っています」
意外すぎる事実。男性には「脱落していく人」と「生涯楽しむ人」がいる
関口先生が興味深いお話を続けてくださいました。射精で終わる性交が大好きだった男性は、50歳くらいから少しずつ性交から脱落していのだそうです。いっぽう、生涯性交を楽しむ男性は実は射精を楽しんでいるのではなく、オーガズムを感じる女性に協調して脳でオーガズムを得るのだそう。そんな脳オーガズムという所業ができる鉄人のようなカップルが70歳をすぎても性を楽しんでいるのだとか。
「女性側としては、50歳以降は射精を楽しみたいタイプの男性をターゲットにしないほうがいい。これらは若い女性を捕まえたいタイプでもあるからです。いっぽう、ごく小数の鉄人は、とにかく少数です。もしかして1人の男性に複数の女性ということになるのかもしれません。しかし、最高のセックスは60歳からやってくるという言葉もあるほどで、生殖を目的としなくなった世代は、性交を波長が合うもの同士のセッションとして営めるのです」
そうしたタイプに分かれるということ自体考えもしなかったことで、驚きながら伺っていますが、なるほど。
「そんなパートナーシップは一朝一夕では完成しないので、波長のあうパートナーを見つけて細く長く付き合ったほうがいい。月に1回のお楽しみ、というのが理想的だと思います」
理解しました。先生のクリニックでは、そのためにどのようなフェムゾーン・メールゾーンのチェックが行われるのでしょうか……?
「腟ドッグでは、粘膜の状態、筋肉の状態、腟内のpHなど総合的に測定してカルテとしてお渡しします。膀胱、子宮、直腸をきちんと支えられているか、骨盤底筋の状態も診ますし、将来頻尿や尿漏れ、下腹部痛を起こさないような筋肉の使い方なども指導します」
尿漏れは最近、周囲がほぼ「あるある」と発言するようになりました。私個人はキレが悪くなってきています。骨盤底筋の状態をチェックすべしですね。
「その骨盤底筋の筋力の状態は5段階で評価し、粘膜の状態も確認します。若いときは女性の尿道口は縦に締まっていて、鏡で見ても位置がよくわかりません。しかし、更年期以降は丸く広がっていきます。クリトリスが剝きにくくなり、ある程度しっとりして大きかった小陰唇が小さくなり、腟の中がつるつるになり、黄色いおりものが出るようになります」
ええっ、もしかして膀胱炎にかかりやすくなったのは、尿道口の広がりと関係あるのでしょうか……とにかくいろいろなトラブルが出すぎます。
「解剖学的には、処女膜から小陰唇の色が変わっているところまでのハートラインが男性の長い尿道部分に相当し、それが外にむき出しになっているのが女性です。この部分に異常がたくさん出てくるのが更年期以降。これら腟前庭部の異常の所見を取っていきます。」
ピンピンと生きてコロリと死ぬ、最後まで自分らしく生きる第一歩が男女の更年期から始まる!
今回、フェムリバイブ注射という治療も沖縄で導入します。抗炎症作用やコラーゲン生成を促進する薬剤(PDRNなど)を腟粘膜に直接注入することで乾燥、性交痛、尿もれ、ゆるみを改善する最新の腟組織再生治療です。これは自費ですが、期待の持てる治療のひとつ。
「男性の前立腺ドッグは、前立腺肥大やがんがないかを診るほか、モーニングエレクションがなくなってくるのは骨盤内の血流が低下している兆候なので、陰茎や精巣のトラブルと併せて男性更年期も診察、こういう状況ですよとレポートを出します。男性の治療はテストステロン注射、内服、もうひとつ骨盤調整ヨガを行います。血液検査は血液検査は、まずは最低限の女性の場合で、E2とFSH。男性はテストステロンとLHの予定です」
こうした医療の手助けを借りて99歳まで楽しい日々を送り、自分の身の回りのことは自分でできて、月に1回は男性と遊び、あるとき1か月ほどで痛みもなく亡くなっていく、そんな「ピンコロ」を増やしたいというのが関口先生の理想です。
「私たちは必ず死にます。いまは5人に1人しかピンコロに近い死に方はできず、ラスト10年は辛い状態を送りますが、5人に3人がピンコロになれば世の中はハッピー。介護の量も減るし、本人も周囲も幸せです。今後人口が減っていくのですから、寝たきりになっても今のような手厚い介護はしてもらえません。健康習慣は更年期から始めないとつきません。努力をして、気合をもって日々を生きないと、楽しい人生が実現しないのです。だからこそ、楽しく暮らせる沖縄が第一歩になります」
つづき>>>>合理的すぎる「初診自費」が日本の更年期治療を変えるかもしれない。日本初の「パートナーシップヘルスケア専門クリニック」が沖縄に開院した納得の理由
アクティブシニアクリニックLUNA沖縄
https://luna-clinic-okinawa.jp/
お話/関口由紀先生
「女性医療クリニックLUNAグループ理事長」「中高年女性医療専門家」「女性泌尿器科専門医」
医学博士。神奈川県横浜市出身。横浜市立大学大学院医学部泌尿器科病態学修了。横浜市立大学附属病院助手等を経て2005年横浜元町女性医療クリニックLUNAを開設。2017年、生殖年齢にある女性の健康管理を担う女性医療クリニックLUNA横浜元町(婦人科・乳腺科)、更年期からの健康管理と抗加齢医療を行う女性医療クリニックLUNAネクストステージ(女性内科・女性泌尿器科・美容皮膚科)の2院からなる「女性医療クリニックLUNAグループ」理事長に就任。自ら99歳まで現役ではたらくことをめざし、人生100年時代の日本女性の骨盤底・血管・骨・筋肉の総合的な維持管理を提唱、生涯にわたるヘルスケアを啓発している。フェムゾーン(腟と外陰)の認知拡大への貢献でも知られる。




