がん治療と将来の出産への希望。37歳で悪性リンパ腫と診断されてから、43歳で母になるまで | NewsCafe

がん治療と将来の出産への希望。37歳で悪性リンパ腫と診断されてから、43歳で母になるまで

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がん治療と将来の出産への希望。37歳で悪性リンパ腫と診断されてから、43歳で母になるまで

いま、日本人の2人に1人が生涯でがんになると言われています。そして、がんに罹患した女性が将来的に出産を希望する場合、がんの治療による妊孕性(妊娠する能力)の低下は、ひとつの課題となっています。

将来的な妊娠の可能性を高めるため、卵子を凍結保存する治療が広がっていますが、いざ、がんの告知を受けると、「がん治療に集中すべきなのでは」と、相談をためらってしまうことも大いに考えられます。

もし自分が、そして娘や家族が、がんになって将来の妊娠・出産を望んでいた時、私たちにはなにができるのか。

37歳でステージ4の悪性リンパ腫を発症し、寛解後に39歳で卵子凍結。紆余曲折を経て、42歳の時に凍結保存していた卵子を使って顕微授精を行って妊娠し、43歳で出産した女性・宮子さん(仮名・46歳)のケースをご紹介します。

さらに、当時宮子さんが卵子凍結・不妊治療を行った、「ローズレディースクリニック」院長の石塚文平先生に、がんサバイバーの妊孕性温存について解説していただきました。

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37歳で未婚、ステージ4の悪性リンパ腫と診断されても諦めなかった「母になる夢」

宮子さん(仮名・46歳)は、3歳の男の子と夫との3人暮らし。現在は育児休業中ですが、170を超える長身を生かし、30年近く活躍してきたプロのファッションモデルでもあります。

転機が訪れたのは37歳のとき。仕事の現場でヘアメイクの女性に首のしこりを指摘されたことをきっかけに、順天堂大学病院を受診し、ステージ4の悪性リンパ腫が判明しました。およそ半年の治療の末、いったんは寛解に至りますが、41歳で再発を告げられます。

その時、がんは膀胱の近くにまで浸潤していました。宮子さんは強い痛みを伴う検査や入院を経て無事に治療に成功し、半年後、再び寛解を迎えました。

幼い頃から「ママになる」という夢を持っていた宮子さんですが、寛解と同時に婚活を開始。ほどなくして10歳年下の理系研究職の夫と出会い、スピード結婚に至りました。

宮子さんは、最初に罹患した悪性リンパ腫寛解直後、妊孕性温存のためにローズレディースクリニック(https://roseladiesclinic.jp/)で卵子凍結をしていました。

結婚当時、42歳だった彼女ですが、わずかな可能性にかけて、同クリニックに相談し、あらかじめ凍結していた卵子を使い顕微授精に挑戦。

奇跡的に1回の施術で妊娠し、43歳で元気な男の子を出産しました。

悪性リンパ腫寛解直後、主治医の紹介で「不妊治療に特化した病院」へ

時系列が前後しますが、宮子さんは最初の寛解直後、がんの治療にあたっていた順天堂大学病院の主治医に妊孕性温存のために卵子凍結をしたいと相談しました。年齢は38歳で、パートナーはいませんでした。

すると、まず同大学病院内の婦人科を紹介され、「数値を見る限り、妊娠の可能性は極めて難しい状況です」と告げられます。それでも「現在の状況に適した、特化した病院があります」と、東京都の『若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業』の指定医療機関であるローズレディースクリニックを紹介されました。

ローズレディースクリニックでの検査の結果、卵巣機能の著しい低下が判明。しかし主治医から告げられた「可能性は0%ではない」という言葉を支えに、38歳から39歳のおよそ2年の間に、7個の卵子を採取して凍結します。

42歳で結婚した宮子さんは、「可能性が1%でもあれば」と再び同クリニックの門を叩きます。

妊活に取り組むにあたっては、がん治療を受けた順天堂大学病院の血液内科と、ローズレディースクリニックが情報を共有。宮子さんは、二つの医療機関の医師の話に丁寧に耳を傾けながら、「主治医に委ねる」姿勢を大切にして妊活を行いました。

42歳、しかも2度の抗がん剤治療後という、決して容易ではない状況の中で挑んだ顕微授精でしたが、驚くべきことに1回目で妊娠が成立し、43歳で元気な男の子を出産。

現在も順天堂大学での定期検診を欠かさず、自身の体をいたわりながら、家族3人で穏やかな毎日をすごしています。

ローズレディースクリニックの「迅速対応」への取り組み

ここからは、宮子さんが不妊治療を行った「ローズレディースクリニック」院長の石塚文平先生にお話を伺います。

――がん治療前の妊孕性温存は、迅速対応が大切だと伺いました。そのために工夫していることがあれば教えて下さい。また、どのような流れで受診する方が多いのでしょうか?

がん治療が始まりますと、妊孕性温存が難しくなることもありますので、早めにご相談いただくことがとても大切になってきます。当院では迅速な対応を可能にするために、がん患者様の妊孕性温存専用の診療時間を確保しております。

そのため、お電話いただいた時に、当日もしくは翌日(原則、平日16時前後)の受診が、なるべく可能であるように、スケジュールを空けておくようにしています。

受診の流れといたしましては、まずはお電話で、「がん治療前の妊孕性(にんようせい)温存治療を希望」であることをお伝えいただきます。そこから極力スピーディに受診日時のご案内し、受診していただいてご相談をお受けします。

当日は内診、採血などを行い、丁寧に状況をお伺いするように心がけております。その後、治療に関してご説明をして、治療をご希望された場合は、速やかにスケジュールを組んでいきます。

仮に、卵巣刺激をして採卵をめざす場合は、おおむね10日から2週間程度の治療期間を見込みます。そういった時間的余裕があるかどうか、がんの主治医と情報共有しながら進めることも大切になってきます。

当院の受診にあたっては、まずはがんの主治医に相談し、紹介状をご持参いただくとその後の診療がよりスムーズですが、紹介状がなくとも最初のご相談をお受けしております。

また、宮子さんのケースのようにがん治療後の方も、妊孕性温存の相談・治療は可能ですが、その場合は、通常の診療予約をご案内させていただきます。

がんの告知を受けた直後は、多くの患者様が強い不安を抱かれます。また、時間的な余裕もないケースが多くあります。そんな中でのスピード勝負の治療となってきますので、当院では、なるべく初診でしっかりとお話を伺うようにしております。

患者様のお気持ちに寄り添いながら時間をかけてご要望をお聞きして、不安を少しでも和らげられるように心がけています。そのうえで、できるだけプレッシャーを感じさせない形で選択肢をご提案し、患者様のご希望を大切にしながら診察を進めてまいります。

本記事では、悪性リンパ腫と診断されてから43歳で母になった宮子さんのケースと、宮子さんが不妊治療を行ったローズレディースクリニックの取り組みをご紹介しました。

つづく関連記事では、がんサバイバーの妊孕性温存治療の最前線について、ローズレディースクリニックの石塚文平先生にお話を伺います。

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