「息子の呼吸が止まってる!」モラハラ夫が起こした、ある日の事件。在宅勤務になり分単位で監視される生活の中で、私と息子が生き残る方法はあるのか | NewsCafe

「息子の呼吸が止まってる!」モラハラ夫が起こした、ある日の事件。在宅勤務になり分単位で監視される生活の中で、私と息子が生き残る方法はあるのか

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
「息子の呼吸が止まってる!」モラハラ夫が起こした、ある日の事件。在宅勤務になり分単位で監視される生活の中で、私と息子が生き残る方法はあるのか

夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。
今回は、近年増えている「在宅ワーク」という環境が、モラハラをより深刻化させてしまったFさんのお話です。

Fさんの生活が一変したのは、夫が完全在宅ワークに切り替わってからでした。世間では「通勤時間が減り、家族の時間が増える」と利点が語られる在宅ワークですが、Fさんにとって自宅は、もはや安らげる場所ではなくなっていました。

分単位で刻まれる「支配のスケジュール」

夫は以前から自分ルールを押し付ける人でしたが、在宅が始まってからは、その傾向がさらに強まりました。朝食は7時、夕食は19時。1分の遅れも許されません。Fさんが買い物に出る際も、夫は必ず時計を確認します。

「スーパーに行くだけなら25分で戻れるはずだ」

そう決めつけ、少しでも帰宅が遅れれば「どこで油を売っていたんだ」「レシートの時刻とズレがある」と詰問が始まります。

パートに出ている時間だけが、Fさんにとって唯一ホッとできる時間でした。しかし仕事が終わる時刻から帰宅までの所要時間を逆算され、寄り道ひとつ許されません。夫は隙あらばリビングを覗き込み、Fさんや子どもの様子を確認します。家の中にいながら、常に監視カメラで見張られているような、息の詰まる毎日でした。

緊張感しかない家の中で、中学受験を控えた10歳の息子は、次第に夫のターゲットになっていきました。夫は息子を、自分と同じように中高一貫校から東大へ進学させ、同じ道を歩ませると決めていたのです。夫は塾の宿題を自分が見ると言い出しましたが、それは指導とは呼べない、ただの罵倒と支配でした。

「なぜこんな簡単な問題も解けないんだ!」
「お前の頭が悪いのは努力が足りないからだ。おい、F!お前の育て方も甘すぎる!母親の自覚はないのか!」

怒鳴り声が続き、息子は夫の足音や、部屋の前での咳払いが聞こえるだけで、ビクッと肩を揺らし、ペンを持つ手が小刻みに震えるようになりました。父親が近くにいるだけで思考が止まり、解けるはずの問題も解けなくなる。その姿を見て、夫は「わざとやっているのか」とさらに激昂する……そんな出口のない地獄が繰り返されていました。

さらに、息子が手を洗うときや歯磨きの際、ほんの数秒水を出しっぱなしにしただけで、夫は血相を変えて飛んできます。

「水道代は俺が働いた金で支払っているんだ。俺が稼いだ金を、ドブに捨てるような真似はするな」

光熱費、食費、塾の費用。そのすべてに「俺が稼いだ金」というラベルを貼り、家族を自分の所有物、あるいは居候のように扱う夫に、Fさんは嫌悪感しかありませんでした。それでもFさんは、「私が我慢すればいい」「子どもの受験が終われば何とかなる」と自分に言い聞かせ、必死に耐えていました。

しかし、この密室での支配は、やがて息子の心を取り返しのつかないところまで追い詰めていくことになります。

なぜ夫は、ここまで「管理」したがるのか

夫がFさんや息子の行動を分単位で把握し、時間・お金・生活のすべてを管理しようとする背景には、「心配」や「几帳面さ」といった性格の問題ではない、はっきりとした心理的特徴があります。それは、自分の不安を、相手を支配することでしか解消できないという歪んだ心の構造です。

モラハラ加害者は、表向きは自信満々で支配的に見えますが、内側には強い不安と劣等感を抱えています。

「自分は尊重されていないのではないか」
「家族が自分の思い通りにならなければ、見捨てられるのではないか」

そうした恐れを、自分で処理することができません。そこで彼らが選ぶ方法が、「相手を完全に管理すること」なのです。

そんな中……ある日、ついに事件が起こります。

息子の震える手、止まった呼吸

日々繰り返される、夫の「指導」という名の罵倒。10歳の息子の心は、すでに限界を超えていました。ある夜、いつものようにリビングで夫の怒号が飛び交っていたとき、ついに恐れていたことが起きたのです。

「何度言えばわかるんだ!やる気がないなら辞めてしまえ!」

その鋭い声が響いた瞬間、息子の肩が大きく上下し始めました。ヒッ、ヒッ、と喉の奥から苦しそうな音が漏れ、顔色は一気に土気色に変わります。過呼吸でした。

「どうしたの?しっかりして!」

駆け寄るFさんを横目に、夫は119番に電話をしました。しかし、その動揺は息子を心配してのものではなく、「自分の言葉で息子がおかしくなった」「虐待と取られたら困る」という世間体を気にするものでした。

病院では「精神的ストレスによる過呼吸」と診断されました。医師から「環境の変化や、強い不安はありませんでしたか?」と問われましたが、Fさんは夫の顔色をうかがい、本当のことは何も答えられませんでした。息子が命の危機を感じるほど苦しんだというのに、夫の口から出たのは労わりの言葉ではなく、信じられない一言だったのです。

「勉強が嫌で過呼吸になるなんて、俺の顔に泥を塗る気か。救急車を呼んだことで、恥ずかしくて外も歩けないじゃないか」

子どもがどれほど傷つき、追い詰められているかを考えることなく、どこまでも自分を最優先にする夫。自分が原因である可能性など、微塵も疑わない姿を見て、Fさんははっきりと理解しました。「この人は父親失格だ」と。

その日を境に、Fさんの心には大きな変化が生まれました。「自分が我慢すればいい」「夫がいなければ暮らしていけないから離婚はできない」。そう思い込んでいた考えが、「自分と子どもを守るために、夫の支配から抜け出さなければならない」という思いへと変わったのです。

とはいえ、世間体を何よりも気にする夫が、離婚に応じるとは思えません。だからまずは、夫から逃げること。それが最優先でした。

夫の監視は相変わらず分単位でした。Fさんのパートのシフト表は、前月のうちにすべて夫のカレンダーに同期されています。「何時に家を出て、何時にタイムカードを押し、何時に帰宅するのか」。夫はPCの前に座りながら、Fさんの行動を頭の中で完全にトレースし、支配できているという感覚に浸っていたのです。

しかしFさんは、シフト表を提出したあとで休日の変更をし、そのことを夫に報告しませんでした。夫の中では「仕事に行っているはずの時間」ですが、実際には、Fさんにとって自由に動ける数時間が生まれていたのです。

本編では、在宅ワークをきっかけに、夫の支配がエスカレートし、
Fさんと息子が分単位で管理・監視される生活に追い込まれていった経緯をお伝えしました。

▶▶「このままでは、子どもが壊れる」分単位の支配から逃げ切った母が選んだ決断。監視が消えた48時間、その先にあった未来

では、Fさんがどのようにして夫の監視下から抜け出し、自分と子どもの人生を守る選択をしたのか、その具体的な過程をお届けします。

※本人が特定されないよう、名前などを変えてあります

※写真はイメージです


《OTONA SALONE》

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