跡見学園女子大学は2026年4月、文京キャンパスに「情報科学芸術センター」を新設する。AI（人工知能）やデータサイエンスとアート・デザインが融合する新しい産業・文化が世界的に台頭する中、時代的要請に応える文理融合型の研究・教育拠点として誕生する形となる。 同センターは通称「AISAC（アイザック）」と呼ばれ、Atomi Information Science and Arts Centerの略称。跡見学園女子大学文京キャンパス1号館内（東京都文京区）に開設する。 跡見学園女子大学がこれまで構想してきた新学部の理念と研究方針は、同センターに継承。AI・データサイエンス（情報科学）およびメディアアート（情報芸術）分野で先進的な活動を展開する人材を研究員として迎え、研究・教育体制を強化する。 設立の背景・目的の1つに、生成AIやLLM（大規模言語モデル）の発展によって、知のあり方が急速に変容していることがあげられる。AI、ロボティクス、アート、デザインの融合が次世代産業や文化の核となりつつある現在、アートと情報科学の交差点に立ち、「生命・知性・未来社会」に向けた新しいアプローチを創出する研究・教育拠点として設立する。 AIやテクノロジーを「単なる道具」ではなく「思考と創造のメディア」と捉え、人間・AI・自然の関係性を再構築する「知のアトリエ」として機能することを目指す。従来の学問領域を横断し、「問いそのものを設計する（Engineering of Questions）」という新しい学問様式を実践していくという。 2026年度内には、センター教員の専門性やネットワークを生かしたAI、データサイエンス、メディアアートをテーマとする公開講座、体験プログラムを実施。学生・生徒のみならず一般の人にも参加可能な企画を展開する予定。 また、大学では既存の学部科目と連携する形でAI・メディアアート関連授業を共同開講し、跡見学園中学校高等学校の生徒にも最先端のAI・アート教育に触れる機会を提供するとしている。 センター長には、池上高志氏（現・東京大学大学院総合文化研究科教授）を迎える。池上氏は人工生命と複雑系研究をとおして「生命とは何か」を探究し、アンドロイド「Alter」シリーズやLLMと身体性を組みあわせた新領域研究を推進してきた。おもな著書に『人間と機械のあいだ』（講談社）、『作って動かすALife』（オライリー）などがある。 なお、跡見学園女子大学は、1875（明治8）年に創設した「跡見学校」を起源とし、日本人が設立した国内初の私立女子教育学校で、2025年に学園創立150周年、女子大学設立60周年を迎えた。「自律し自立した女性の育成」を教育方針に掲げ、文学部、マネジメント学部、観光コミュニティ学部、心理学部の4学部と、人文科学研究科、マネジメント研究科の大学院に約2,600名が学ぶ。学部学科再編に加え、埼玉県新座市と東京都文京区にあるキャンパスを、2029（令和11）年度をめどに文京キャンパスへ一元化するなどの改革を進めている。
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