広島大学は2026年11月26日の定例記者会見で、附属学校園の機能強化策について発表した。附属東雲小・中学校は、2029年度(令和11年度)に「附属東雲義務教育学校」へ改組するなど、附属校の役割を再整理し、初等・中等・高等教育を牽引する体制を整える。 広島大学の越智光夫学長は会見で、今回の附属学校園の機能強化策は、2027年度(令和9年度)以降に実施する取組みを再整理したものと説明。「広島大学附属学校園を、これまでの実績や伝統を継承しつつ、時代に応える教育研究拠点へ進化させる」と述べ、各地区の存在意義と特色を示した。 会見では、翠地区、東雲地区、三原地区の3地区の附属学校園における機能強化策ついての方針が打ち出された。このうち、東雲地区では、附属東雲小・中学校を2029年度(令和11年度)に「附属東雲義務教育学校」へ改組。小中一貫教育のほか、従来の複式学級研究を発展させた異年齢学級や特別支援学級を生かし、多様性を重視した教育研究の拠点とする方向性が示された。 翠地区(附属小・中・高)は、これまでSSH(スーパーサイエンス・ハイスクール)などで培った実績を踏まえ、附属学校園の先導的・実験的な教育研究拠点と位置づける。国際通用性の高い高度なカリキュラム開発など、先進的な教育研究を展開する。 三原地区(附属幼稚園〈三原園舎〉・附属三原小・中)は、幼稚園と小学校が同じ敷地にあり、三原市との人事交流が活発である特徴を踏まえ、幼小連携と公立学校のモデルを研究する拠点として整備する。さらに、公立学校の課題解決に向けて教育委員会や大学と協働する仕組みも創設する方針だ。 各附属校の学級定員は、公立学校の実態や地区ごとの役割に応じて、2027年度から幼稚園~中学校、2030年度(令和12年度)から高等学校で順次見直すとしている。 広島大学ではこれまでにも、附属学校園の機能強化策として2つの構想を示している。1つ目は、附属福山中・高校を2027年度から年次進行で「附属福山中等教育学校(仮称)」へ改組し、2032年度に完全移行する計画。2つ目は、附属幼稚園と附属三原幼稚園を統合し「附属幼稚園(東広島園舎・三原園舎)」とする方針である。