日々が飛ぶように過ぎていくなか、自分のあり方に漠然と迷う40代50代。まるでトンネルのように横たわる五里霧中ですが、そんななか「ほんのちょっとしたトライ」で自分のあり方を捉えなおすには、「最初の一歩」に何をしてみればいいのでしょうか。
ライター野添ちかこがオトナサローネ読者にインタビューを行い、「リアルな女性の人生」をお届けする本シリーズ。
今回は、子どもの頃からプールが嫌いだったサユリさんが、ひょんなことから53歳でスイミングスクールに入り、泳げるようになったお話をお届けします。
◾️サユリさん
大阪府在住の54歳。57歳の夫、22歳の長女、小6の次女と4人暮らし
※写真はイメージです
【私を変える小さなトライ】
「顔に水をつけるのが怖い」子どもの頃からプール嫌いだった私
小学校1年生のときに「水が怖い」と感じた経験を克服できず、それ以来ずっと「プールにはなるべく近づかなかった」というサユリさん。当然、スイミングスクールに通ったことはありません。せいぜい、学校のプールのテストで、何度も立ちながら25mを泳ぎ切る程度。水に対して苦手意識をもったまま大人になりました。
「運動不足だから、体を動かさなくちゃ」とジムに入会しても、やはりプールにはなるべく近づかない。アクアエクササイズや水中ウォーキングはできても、「泳ぐ」のは自分には絶対にできないことだと思っていました。
あまりの猛暑に「ちょっと涼みたい…」と思って
きっかけは、昨夏、小学生の娘さんと一緒に市民プールに出かけたことでした。
「ここ数年、夏がものすごく暑いでしょ。娘から『プールに行こうよ』と誘われて、『いいよ』と言ったのが、プールに足を運ぶようになったきっかけでした」
コロナ禍に家に籠るようになって、YouTubeを見るようになったサユリさん。「手芸」や「家庭菜園」のYouTube番組を見て、未知の世界の扉が開かれたような気分になったといいます。
そして、サユリさんは自分が一番苦手な「水泳」のYouTube番組も検索してみたのだそう。すると……。
「『息継ぎができない』という動画を見つけて、『私は、水の中の呼吸法を知らなかったんだなぁ』と気づきました。鼻で吐かなくちゃいけないのに、鼻で吸おうとしていたんです。そりゃ、息継ぎもできないですよね」
Youtubeで「誰でも簡単に泳げるようになります」というチャンネルを見ているうちに
「もしかしら、私にもできるかもしれない。生身の先生に教わって、泳げるようになりたい!」
ふつふつとそんな気持ちが湧き上がってきて、近所のスイミングスクールに入会しました。
「おばあちゃんたちが泳げるなら、私にもできるのでは」
そこは、家から歩いて行けるスイミングスクール。本気で泳ぎたいと思ったので泳法を教えてくれるクラスに入会しました。
サユリさんが入ったのは「初級クラス」。「初級」といっても、バタフライ、クロール、平泳ぎ、背泳ぎの4種目を泳ぎ、個人メドレーなどにも挑戦できるクラスでした。
「75歳を超えたおばあちゃんたちが、ビュンビュン泳いでいてすごいんです」
あのおばあちゃんたちができるんだったら、私にもできるんじゃないか……そんな気持ちになってきたといいます。
家でYouTube番組を見ては、スクールに通って実践する日々。ラッキーなことに、そのスイミングスクールは、「まったく泳げなかった近所のお母さんたちを集めてスタートした」という初心者に優しいスクールだったそう。そんなスイミングスクールなので、コーチも優しくて親切。
全く泳げない状態で入会したサユリさんも、気負わず続けることができたそうです。
▶▶54歳「顔に水をつけるのも怖かった私」がなんと泳げるように!仲間もできて世界が広がり、「もっとチャレンジしたい」と思った先にあったものは
では、泳げるようになったサユリさんがさらなる目標をもったお話をお届けします。