厚生労働省の検討会は、2027年度(令和9年度)からの医学部定員の配分について、離島や豪雪地帯といった地理的要素を考慮する方向で検討を開始した。医師の流出入や医師定着の取組状況も踏まえる。 全国の医師数は、臨時的に医学部定員を増員することで、毎年3,500人~4,000人程度増加しており、中長期的な医療ニーズや医師の働き方改革を織り込んだ医師の需給推計を踏まえると、2029年ごろに需給が均衡する。その後人口減少にともない、将来的には医師需要が減少局面になるため、今後の医師の増加のペースについては見直しが必要となっている。 厚生労働省「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」では、医学部の臨時定員の在り方などについて議論を行い、医師の地域偏在や診療科偏在を解消するための具体的な対策を検討している。 2025年度の医学部臨時定員は、全体として2019年の医学部総定員9,420人を超えない範囲で臨時定員増員の申請を認可。2026年度については、2024年度の医学部総定員9,403人を上限とし、臨時増員の枠組みを維持することとしている。 2027年度の医学部定員については、地域における医師確保への大きな影響が生じない範囲で適正化。定員の配分にあたっては、人口密度、医療機関へのアクセス、離島や豪雪地帯といった地理的な要素を設定する方向で検討を開始した。 8月6日に行われた第11回会議では、各自治体内でも大きな差がある地理的要素について、「都道府県単位で設置する臨時定員地域枠の配分でどのように配慮するのか」といった意見もあがった。具体的な検討は、医師の流出入や医師定着の取組状況も踏まえ、引き続き行われる。