40代が「更年期障害を予防するためにしておいたほうがいいこと」は何ですか?専門医が解説 | NewsCafe

40代が「更年期障害を予防するためにしておいたほうがいいこと」は何ですか?専門医が解説

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40代が「更年期障害を予防するためにしておいたほうがいいこと」は何ですか?専門医が解説

「お会いするだけで更年期の沈んだ気持ちが前を向く」「楽しくお話して、気づいたら心にわだかまっていた重いものが消えていました」とファンも多数の産婦人科医・小川真里子先生。昨今は女性誌でもその丁寧な解説を目にする機会が増え、嬉しいばかり。

現在は福島県立医科大学での診察と併せて、週に一度、東京・JR五反田駅のアヴァンセレディースクリニックで更年期外来もお持ちです。

長年に渡って女性特有のトラブルに向き合ってきた小川先生に、更年期時期の女性へのメッセージをいただきます。今回は「どの段階で病院を受診するべき?その判断基準は?」。

【女性の身体、思春期から更年期までby小川真里子先生】

更年期かなと思ったら早めに病院に行ったほうがいい? 定期的に通院したほうがいい?

ここ数年で更年期という言葉のタブー感が減り、いろいろな体験談がネットメディアに流れるようになりました。最近では「40歳になったらすぐ更年期対策をすべきなの?」と、関心層の低年齢化が始まっているようです。実際、「更年期の検査や受診」は早めにスタートするほど後がラクになるのでしょうか?

「予防意識の高まりはいいことなのですが、そろそろかなと感じた段階で早めに病院にかかればその先の経過が軽くなる、ということは『ない』かもしれないですね」

ちょっと意外です。受診、治療については先手を打ってもさほど意味がないのですね。よく女性誌には「定期的にホルモンを計って」などとも書かれていますが、この点はどうなのでしょう。

「医師が更年期症状かどうかを考える際には、まず月経の変化を確認します。ホルモンは案外と変動が大きいのでピンポイントで計ってもさほど参考にならないのです。ですから、受診を急ぐより、半年ほど自分の月経を量、日数、ピークなど詳しめに記録し、自分に起きている変化から現在の立ち位置を知ってもらうほうがいいかもしれません。というのも、診察時に『前回の月経はいつでしたか?』と聞くと意外に答えられない人が多いのです」

更年期症状は仕事や家庭のストレス、たとえば介護中、受験中、夫婦不仲などの環境や、もともとの気にしやすい性格など、その人の状況が複合して引き起こされるため、ホルモン値だけでは判断しにくいという側面もあるそうです。

「いっぽう、更年期対策として早くからやっておくといいこともあります。食事の見直しと、運動習慣を作ること。定期的に運動している人のほうがホットフラッシュは軽いのです」

なるほど、更年期症状の中でもホットフラッシュは比較的最初のほうから起きがちですから、運動習慣を作ることについては早めの対策が有利そうです。

「食事ではちゃんと豆類を摂り、また閉経後の骨粗鬆症を考えてカルシウムも摂れるといいですね。もうひとつ、欧米のデータでは肥満があるほうがホットフラッシュが強いため、適正体重を保つことも有効です。ただし、あまりにやせてしまうと骨密度が低下して骨粗鬆症リスクが上がります。やせも太りもしない適正体重を保てるといいな、と思います」

閉経を遅くする方法ってありますか?何を「やめれば」いいの?

小川先生の外来にも更年期を考えて40歳くらいから来院、「閉経を遅らせる方法はありますか?」と前向きに質問を投げかける患者さんがいらっしゃるそうです。実際に閉経を遅らせることはできるのでしょうか?

「月経って、早く終わってほしい人はなかなか終わらないのに、終わってほしくない人ほど早く終わってしまうものだなと……と日々思います。『何を食べればいいですか?』ともよく聞かれますが、閉経時期はその人の卵巣の状態によって決まるので、例えば毎日納豆を食べれば遅くなるというものでもないのです。栄養状態はいいほうがいいとは言えますが、がんばる必要もありません」

栄養状態の向上で初潮は早くなりましたが、閉経は今も昔も50歳そこそこですから、何かしらの病気やその治療の影響がある場合を別として、あとは生まれ持った卵巣の寿命だということですね。

「閉経に抗う方法は残念ながらないので、まずは受け入れつつ、更年期とそれ以降を健やかに過ごす方法を考えることでしょうね。でもね、やっぱり皆さん気になりますよね、どうすれば女性ホルモンが上がるのか、どうすれば更年期障害にならないのか」

はい、月経が終わるとラクだろうなという気持ちと、終わってしまう寂しさが半分ずつ。そして、更年期症状は出ないにこしたことはありません!

「確かに、更年期症状が軽いうちからホルモン補充療法(HRT)を始めれば重い更年期障害を経験せずに済むかもしれません。が、もしかしてその人はHRTをしなくても症状が出なかったかもしれません。骨粗鬆症予防のために早めにHRTを開始するのはいいと思いますが、更年期症状の予防につながったかは誰にもわからないのです」

ここまでの記事では更年期障害を「起こさない方法」について伺いました。続く【関連】記事では「どのくらいの症状ならば受診してよいのか」などよく寄せられる疑問について伺います。

お話/小川真里子先生

福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 医学部産科婦人科学講座 特任教授

1995年福島県立医科大学医学部卒業。慶應義塾大学病院での研修を経て、医学博士取得。2007年より東京歯科大学市川総合病院産婦人科勤務、2015年より同准教授。2022年より福島県立医科大学 特任教授。日本女性医学学会ヘルスケア専門医、指導医、幹事。日本女性心身医学会 認定医師・幹事長・評議員。日本心身医学会 心身医療専門医・代議員。2024年4月から福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 特任教授。東京・JR五反田駅のアヴァンセレディースクリニックで、毎週金曜午前に完全予約制の更年期・PMS外来もお持ちです。


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