このツアーは東京都と山田進太郎D&I財団が共催する企業ツアープログラム「Girls Meet STEM in TOKYO」の一貫として実施された。「Girls Meet STEM in TOKYO」は、東京都内在住・在学の女子中高生を対象として、STEM(科学・技術・工学・数学)分野で活躍する人々や働く人や現場に触れることで、自分がの興味や将来の目標を見つける機会を提供する取り組みだ。
今回は、20名の女子中高生がエヌビディアのオフィスを訪問した。そのようすをレポートする。
エヌビディアのオフィスツアーで未来の技術とキャリアに触れる
AIをはじめとする先端テクノロジーは現在、ロボットや自動運転、医療、ゲームなどの多岐にわたる分野へと展開しており、生成AIを日常的に利用する保護者や子供たちも増えている。
「エヌビディア」は特にGPU(Graphics Processing Unit)という画像処理や並列計算に特化したプロセッサのテクノロジーで世界をリードする企業の1つだ。このGPUはもともとゲームなどのグラフィックス描画のために開発されたが、現在ではAIや自動運転、金融などの幅広い分野で利用されている。今回のオフィスツアーでは、エンジニアからマーケティングなどさまざまな職種で活躍する女性社員の方々が、中学1年生から高校3年生までの女性20名と真摯に向き合う貴重な機会となった。
エヌビディア日本代表兼米国本社副社長 大崎真孝氏が開会の挨拶では、エヌビディアは自動運転やロボットなどのテクノロジーで未来を創る企業であると紹介。また同社の女性社員はエンジニア、営業、マーケティングなど多様な職種で活躍していると話した。「少しでも未来を感じていただき、将来に繋がることを考える時に思い出し、ITやAI、グラフィックスの分野で働く現場でお会いできたら私たちも幸せです」と参加者に呼びかけた。

AIデモツアーでは、エヌビディアのGPUがどのように利用されているのかを参加者が体験した。エヌビディアは創業当初からゲームに力を入れており、現在ノートパソコンでゲームが楽しめるのは、エヌビディアのGPUが搭載されているためともいえる。
まず2007年のゲーム『Portal』を例として、最新技術やAIの活用によって画質やfps(frames per second=1秒間に画面に表示される画像の枚数)が大幅に向上していることを、参加者が実際にプレイすることで体験していった。fpsの値が高くなるほど映像が滑らかになり、AIの未使用時には24fps程度でもプレイ可能だが、AIを使うことで最大190fpsまで向上し、より快適な環境のゲーム体験が実現する。近年ではAIのテクノロジーもゲームに積極的に応用されてきており、参加者は旧作・リマスター・AI強化版の違いを比較しながら、技術の進化を感じ取っていった。

「ask me anything」質疑応答で広がる中高生の未来視野
エヌビディアの女性社員4名(営業、広報、エンジニア)が参加者2グループを交互に回って自己紹介と質疑応答をしていく「ask me anything」では、中高生たちが今、抱えている悩みや迷いが吐露された。同時にエヌビディアでの入社経緯や働き方などへの関心の高さもうかがえる充実した時間となった。
「英語はどれほど重要なのか」「海外の出張は多いのか」といった英語に関する質問も数多くあったが、やはりグローバル企業なので、本社があるサンタクララや各地でのイベントなどで出張も多く、英語はやっておくことが望ましいという回答だった。同時に、英語があまり得意ではない場合でも伝える気持ちが大事だという意識も伝えられた。また、話すことも大事だが、それ以上に結果をきちんと出していける人が評価されるといった回答もあった。

このような多角的な体験や対話を通じて、参加者たちは自身の将来や進路についてより深く考える機会を得ていたようだ。特にエヌビディアの社員の方々による声やアドバイスは、学校や家庭ではなかなか得がたい現実的なヒントになったと考えられる。進学やキャリアを考え始めたばかりの中高生にとっては、未来への視野が開かれるきっかけになる可能性もある。
