【モデルプレス=2025/06/23】NHK連続テレビ小説「あんぱん」(毎週月~土あさ8時~ほか)に若松次郎役として出演する俳優の中島歩(なかじま・あゆむ/36)に、モデルプレスらがインタビュー。後編ではやNHK連続テレビ小説「花子とアン」(2011年度前期)でのトラウマについて語ってもらった。【写真】今田美桜&中島歩が寄り添う 夫婦役2ショット◆今田美桜ヒロイン連続テレビ小説「あんぱん」今作は、“アンパンマン”を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった2人が、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。「花子とアン」(2011年度前期)以来、11年ぶりの朝ドラ出演となる中島。今作では、ヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)の初めてのお見合い相手で、夫となった若松次郎を演じる。◆中島歩「花子とアン」で感じたトラウマ― 釜次役の吉田鋼太郎さんとは「花子とアン」以来11年ぶりの共演ですが、印象はいかがでしたか?中島:「釜じい」と呼ばれているのでおじいちゃんになっているのかと思ったのですが、エネルギーがみなぎっていて若々しいなと思いました(笑)。― 吉田さんとの再共演への思いや「花子とアン」の思い出をお聞かせください。中島:鋼太郎さんとお会いするのは「花子とアン」以来だったので、単純に再会が嬉しかったのですが、舞台の演出もされているので少し怖かったです(笑)。俳優として鋼太郎さんに認められたいという気持ちもあったかもしれません。また、「花子とアン」のときは自分自身がまだ駆け出しで全然上手くできなかったという思いもありましたし、視聴者からの評判も良くなかったので、それがトラウマになっていることに今作を通して気づきました。そのトラウマがあったので今回はすごく頑張って準備しました。― 吉田さんからなにか声を掛けられたり、ご自身で当時と比べて気づかれたことはあったのでしょうか?中島:鋼太郎さんがどう思っているのかはわかりませんが、15分の中でどんどん展開していく朝ドラの難しさを今回痛感しました。ドラマ上だとのぶと3回会っただけで結婚まで決まるので、心が通い合う瞬間がないと説得力がないと感じていて、難易度がすごく高いなと思いました。セリフも現代口語とは違うので、それを駆け出しでこなすのは難しいなと感じましたね。1つ動くにも昭和の、戦中の人の所作があるので、そういった制限の中でやるのは難しいですし、方言もあるので大変でした。― 成長を実感したシーンを教えてください。中島:撮影初日に撮ったのぶに改めて結婚を申し込むシーンでは、個人的にいい芝居になったなと思いました。今田さん演じるのぶも心を開いたような感じがして、それに対して僕自身も心が動いて、通じ合ったなという実感があったので、それが観ている方にも伝わってよかったです。◆中島歩、辛い経験をバネに向き合った2度目の朝ドラ― 11年を経て2度目の朝ドラ出演で、改めて感じたことはありますか?中島:すごくたくさんの人が観ていて怖いなと(笑)。いつも新宿武蔵野館にしかいないので、SNSのトレンドに入ったと言われると怖いですし、影響力の大きさに畏怖しています。― 反響を見ることはあるのでしょうか?中島:少し見ることもあります。嬉しいし怖いし、アンビバレンスな気持ちですね。― 次郎に好意的な声が多いと思います。中島:そうですね。今回は本当に心が震えていないと通用しない台本だったので、事前に準備をしたり、今田さんとしっかり向き合って芝居をしたり、できる限り頑張ったので、それが届いたのであればよかったです。この台本に愛着があり、中園さんの言葉に魂を宿らせねばという思いもありましたし、前の朝ドラがトラウマになっていたからこそこんなに頑張れたんだと思います。― そのトラウマは乗り越えられましたか?中島:いや、ずっと残ると思います。こんなにもネットの声に傷ついちゃうんだなと感じて、未だに反響を見るのも怖いです。一部の人しかやっていないSNSの声でドラマが動いちゃうこともあって、そういうことには懐疑的であるのに、影響されているという…アンビバレンスです。― そのトラウマが、ある種中島さんを奮起させる要素になっているのでしょうか?中島:そうですね。あのとき簡単に認められていたら、こんなに芝居の勉強をしなかったと思います。今は自分が想像していることを表現できるようになり、芝居をすることがすごく楽しいので、あの経験があったからこそ今があるのだと思います。― 次郎から影響を受けたことや、次郎という役が中島さんにとってどんなものになったかをお聞かせください。中島:自分の仕事や生活は戦争であっという間に壊れてしまう脆いものだなと感じました。あとは、やはりこうして朝ドラにまた出られたということは大きいですね。11年前に「花子とアン」に出演して、そこからバーンと売れるのかなと想像したのですが、なかなか仕事も来なくて。でも幸いなことに素敵な演出家や監督に出会えて、いい経験をたくさん積ませていただき、舞台や映画で育ててもらい、またこうして大舞台に戻ってこられたので、これまで出会った方々に感謝ですし、これからも謙虚に取り組んでいかなければいけないと思いました。◆中島歩「あんぱん」で見つけた新たな課題― ネット上の反響も大きいですが、実際にご家族や友人など、周りの方からの反響はいかがですか?中島:数人の友人から「観てるよ。頑張ってるね」と声を掛けてもらい、おばあちゃんからも「嬉しいわ」みたいな言葉をもらいました。NHKのドラマは“おばあちゃん孝行”みたいなところもあるので、喜んでもらえているなら嬉しいです。― ご自身で手応えを実感することはありましたか?中島:今回はトリッキーなことをする必要がなかったのですが、現代口語じゃなかったり制限がある中で心を振り絞った演技ができたのは、1つ手応えがあります。でも、課題も見えました。次郎の母・節子役の神野(三鈴)さんの外連味のあるお芝居を見てすごく感動したので、自分自身はこれまでリアリティのある芝居を追いかけてきたけれど、もっと見せていく芝居で、なおかつ心がこもっていて、1人の人間に見えるという表現にトライしたいなと思いました。新たな課題が見えたのは良かったです。― ありがとうございました。(modelpress編集部)◆中島歩(なかじま・あゆむ)プロフィール1988年10月7日生まれ、宮城県出身。大学在学中にモデル活動を始め、2013年に美輪明宏演出・主演の舞台「黒蜥蜴」のオーディションに合格し、俳優デビューを果たした。2014年「花子とアン」でテレビドラマ初レギュラー出演。最近ではNHK大河ドラマ「青天を衝け」(2021)、TBS系「不適切にもほどがある!」(2024)、フジテレビ系「海のはじまり」(2024)、映画「ラーゲリより愛を込めて」(2022)、「四月になれば彼女は」(2024)など、多くの話題作で活躍している。【Not Sponsored 記事】