さんきゅう倉田です。東京大学経済学部金融学科の3年生になりました。
春休みは様々なプログラムに参加した。東大は大学内スタートアップ数日本一を目指していて、起業に関するプログラムやコミュニティが豊富だ。
サークルもあるし、研究室が主宰のグループもあるし、授業もある。そこではビジネスアイデアの考え方、プレゼンの構成、マーケティングなどが学べ、みな日々研鑽している。
ハッカソン(生成AIを使ったビジネスアイデアを考え、実際に製品を作ってプレゼンをする)に参加した。
順位の発表の前に、どうやら懇親会があるらしい。
大手企業が「美味しいご飯を食べていってください」みたいなことを言っていて、周囲の東大生は興奮していた。
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▶東大生を興奮させるオフィス見学
アメリカのシェアオフィス企業がデザイン!?東大生を興奮させるオフィス見学
懇親会の前にはオフィスの見学ツアーがあった。
3つの食堂、アメリカのシェアオフィス企業がデザインしたフリーアドレスのスペース、様々な個室ブース、自分の席まで商品を運んでくれるセブンイレブンのロボット、一日の労働時間を自由に調整できる制度、押印や電話対応を遠隔地で再現できるシステムなど、非常に魅力的な会社だと感じた。
初めて企業のオフィスを見学した友人たちは、自分の日常的な環境との差異に面食らったかもしれない。
その感動が続く中、懇親会は始まった。
懇親会の主な料理は大量のドミノピザであった。
▶日本語が下手すぎません?
大学生のパーティと同じじゃん!ピザへの不満が尽きない東大生。
大学生が自分たちで何かを催すとき、食事を用意しようと思ったら真っ先に思い浮かぶのはピザである。まず、ピザ屋が徒歩30分圏内にあるかどうかを確認する。配達ではなく、取りに行くことで非常に安い価格で手に入るからだ。
そして、ピザ屋が近くにあろうとなかろうと注文するのは絶対にピザである。
10人以上が参加する催しでは、一人あたりどのくらい食べるか分からないので安くそれなりの量を注文できるピザ一択となる。
ピザ屋があればピザ、ピザ屋がなくてもピザ。
ピザが大学生のパーティを支えている。
さて、シリコンバレーにも行かせてくれるし、オフィスのソファは快適で、いたるところに絵画や知的な本が配置されていて、うっとりするような空間を社員に提供するこの会社の社員が言う「美味しいご飯」はドミノピザであった。
ドミノピザは美味いけど、大人が「美味しいご飯」と言って学生に提供していいものだとは思わない。
友人は怒ってはいないが、悲しい表情を浮かべながらそう言った。
もっとよい日本語があったはずだ。例えば、「ささやかな食事をご用意してます」とか、はっきりと「みんなでピザを食べましょう」でも良い。「美味しいご飯」という魅惑の言葉で期待させハードルを上げる理由がない。
そういう発言はその人の仕事の能力や会社の風土に疑念を抱かせる。不信感が募る。
ぼくのチームは懇親会を早々に後にし、有楽町に移動して焼き鳥を食べることにした。焼き鳥を食べ、新橋に移動し、ガールズバーのお姉さんに声をかけられた後も話題はピザであった。
東大生の心に「美味しいご飯」=「ピザ」が深く刻み込まれていた。
先日、ぼくの誕生日会があったが、ぼく一人が用意した食事でもお弁当だ。sioの鳥羽さんのお弁当。これがもてなしの心である。この企業の社員にはぼくの誕生会に来てほしい。
▶見せられた瞬間、東大生はザワついた
東大生がザワついた!絶対に見せてはいけないグラフ
休憩時間に社員が自分のプロジェクトを紹介してくれた。このグラフが出た瞬間、場内がざわついた。
学生たちは、社員が話を続けていても構わずざわついている。このグラフは我々以外に見せて、注意を受けなかったのだろうか。誰も誤りを指摘してくれなかったのだろうか。
説明するまでもないが、念のため書いておくと、
何点満点なのか
点数が具体的に何を示しているのか
棒グラフの高さの差に合理性はあるのか
といった疑問が生まれる。
東大生たちの気持ちがグラフ一つで離れていくのを感じた。
学生を招く大人には油断せず、常にお手本であってほしいと願う。
『お金持ちがしない42のこと』さんきゅう倉田・著 990円(10%税込)/主婦の友社
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