「食べる量は抑えているはずなのに、何でやせないんだろう?」と思ったことはありませんか? そんな疑問に答えてくれたのが、日清オイリオグループの研究者で、MCTを含めたさまざまなオイルを熟知する渡邉愼二さんです。
渡邉さんは、ヘルシーオイル・プラス・コンソーシアムが開催した「今年の冬こそ知りたい!ヘルシーオイルの可能性」メディア勉強会に登壇。エビデンスに基づいた健康情報とMCTオイルの話を発表されていました。そこで、読者が特に気になっている肥満とMCTオイルについて、詳しく解説していただきます。
▶▶「摂取カロリーはダウン」してるのに「肥満者は増加」!?
摂取カロリーはダウンしてるのに肥満者は増加!この矛盾には理由があった
日本人の平均エネルギー摂取量は、2022年で1888kcalです。ピークであった1970年代の2210kcalに比べると300kcal以上減少しています。これは、健康意識から少しずつ食事量を制限した結果といえるでしょう。年間の体脂肪換算では、計算上で17kgの体脂肪減に相当します。
ところが、特に男性に見られるのですが、各年代を問わずエネルギー摂取量が減っているのに、肥満者が増加しているのです。皆さんのパートナーにも、心当たりはありませんか?
▶家事は家電に任せきり。その代償は…
家事は家電に任せきり。その代償は大きかった!
なぜ、このような矛盾が起こるのでしょうか。次のような理由が考えられます。
・身体活動の低下……座位への生活様式の変化、日常活動の減少など
・食の欧米化……高脂肪・高単純炭水化物といった西洋食の習慣化など
・不健康な食生活……不規則な食事のタイミング、栄養バランスの偏りなど
特に注目したいのが、「身体活動の低下」です。身体活動には、実は2種類あります。
「運動」と「NEAT(ニート・非運動性熱産生)」です。
ニートは聞き慣れない言葉かもしれませんが、運動以外で消費されるエネルギーのことを指します。
例えば、料理、掃除、通勤、散歩など日常生活場面での消費エネルギーです。
現代の生活は便利になるにつれ、家事の省力化で機械がやってくれる、移動は車でというように、体を動かす機会が減る生活様式が定着しています。それに慣れてしまい、生活の中での活動量の低下が指摘されているのです。
▶生きているだけで消費カロリーアップするコツは?
料理、掃除、通勤のちょっとした工夫で、消費カロリーがアップ!
海外の調査では、肥満者と普通体型者を比較すると、1日あたりの消費カロリーが350kcal違うことが分かっています。これは年間にすると、18の体脂肪に相当します。そんな肥満者に、「食事を減らせ」「運動しよう」というのは難しく、「分かってはいるけれど……」というのが本音のはず。スポーツジムなどはお金もかかるし、忙しい毎日の中では続きにくいものです。
それならば、運動ではなくニートに着目してエネルギー消費を増やしてみれば良いのです。拭き掃除を増やす、通勤で階段を使うなど、ちょっとした工夫でエネルギーはどんどん燃やせます。厚生労働省の調査結果でも、20歳以上の男性は食生活習慣改善の意識は低く、ニートに着目した方がやせやすいことが明らかになっています。
▶たった2gのMCTオイルが脂肪燃焼!?
臨床試験でも明らかに。毎日2gのMCTオイルを摂取すると、肥満予防につながる!
さらに提案したいのが、ニートとMCTオイルを組み合わせることです。
MCTオイルは中鎖脂肪酸で、ココナッツ、パームに含まれているのがよく知られています。そのほかにも、母乳、乳製品、ローヤルゼリーにも入っています。脂肪燃焼を促し、肥満の改善や予防に貢献することが期待されています。食べることはガマンできなくても、MCTオイルをプラスすることは難しくないでしょう。
私たちは「食生活にMCTオイルを取り入れれば、ニートを組み合わせて脂肪燃焼や肥満解消に役立つのでは」と考え、検証の研究を行いました。BMIが高めの健常男女28名を対象に、1日2gのMCTオイルを2週間摂取した人達がニートを再現した軽い運動を実践し、その際の糖質や脂質の代謝を解析。キャノーラ油を摂取した人達のグループと比較しました。結果、MCTオイルの方が、脂肪の燃焼を高めることが確認されたのです。
▶日清オイリオ研究員もMCTオイルで5やせた!
日清オイリオ研究員もMCTオイルで5やせた! 体内年齢は-11歳に
それだけではありません。実験を私自身で証明するために、軽い運動とMCTオイルを実践してみました。体重が気になるので、7月からヨーグルトにMCTオイルを2g入れて食べる習慣づけを開始。すると、4ヵ月で77から72になり、5やせたのです。
60歳から始めましたが、体組成計で測った体内年齢は60歳→52歳→49歳にまでジリジリと下がっています。体重は途中で減らなくなりましたが、筋肉量が増えて代謝が上がっています。あと2やせたらBMIも22で、ちょうどよいところをキープできそう。目に見える成果で、やめられなくなりました。
読者とパートナー世代は、メタボリックシンドロームが指摘される年代。MCTオイルをとることは、脂肪代謝がアップしメタボ予防効果もあるため、肥満率が上がっている現代社会に合っている健康法です。皆さんの年代なら、まだ元に戻る可能性があります。そのタイミングで、ニートとMCTオイルの組み合わせは、脂肪燃焼を高めて”やせやすい体”づくりの強力な武器になるでしょう。
▶▶募集開始! 【記事大反響につき、ワークショップ特別開催・無料】たったティースプーン1杯で日常生活が運動に変わる”MCTオイル”の取り入れ方。ワークショップで徹底解説【石原新菜先生が登壇】
【解説】
日清オイリオグループ株式会社
基礎研究所第1課
渡邉愼二さん
1989年東京理科大学大学修士号取得、2005年お茶の水女子大学博士号取得、客員研究員。1989年日清オイリオグループ株式会社入社。油糧種子のタンパク質、脂質の機能性研究、医療用食品の研究開発に従事し、現在は、MCTの様々な栄養生理機能の研究に従事。