IT人材の採用動向を調査した「レバテックIT人材白書2025」によると、新卒エンジニアの初任給平均は上昇傾向にあり、2025年卒の新卒エンジニアの初任給は「400万円~450万円未満(26.1%)」がもっとも回答者が多かったことがわかった。 同調査は、IT人材を採用する企業の担当者1,000名を対象に実施された。調査では、企業の業態や従業員数、採用目標の達成度、採用人数の変動状況、採用ターゲット、採用ポジション、採用方法などが分析されている。特に、エンジニア採用においては、コミュニケーション能力がもっとも重視されており、キャリアビジョンや転職理由が続く。これは、企業が特定の経験や技術力だけでなく、将来に向けたビジョンや志向性を重視する傾向が強まっていることを示している。 調査の結果、新卒採用を実施する企業の63.5%が、選考要素に「プログラミングスキルを含む」と回答した。学生に求めるプログラミングスキルのレベルも上昇しており、「直近2~3年で高くなった(53.0%)」と回答した企業が半数を超える結果となった。 新卒エンジニアの初任給平均は上昇傾向にあり、2025年卒の新卒エンジニアの初任給は「400万円~450万円未満(26.1%)」がもっとも回答者が多かった。昨年度から初任給を引き上げた企業は7割を超え、新卒の待遇を改善する企業が増加している。新卒採用においても依然として売り手市場が続く中、新卒エンジニアの給与を引き上げることで採用力強化を図っている企業も多いとみられる。 採用ターゲットの多様化も進んでおり、新卒採用が38.5%、ミドルシニア層(45歳~64歳)の経験者採用が35.9%と高い割合を占めている。一方で、未経験者採用は6.0%、外国籍人材の採用は4.5%、シニア層(65歳以上)経験者採用は4.2%と、幅広い層へのアプローチが進んでいることがわかる。 採用ポジションにおいては、リーダークラスが38.0%でもっとも注力されており、ついでメンバークラスが36.1%、ハイクラス・管理職が20.5%となっている。特にSIerではリーダークラスの採用に注力しており、自社開発企業ではハイクラス・管理職の採用に力を入れている。 採用チャネルについては、掲載型の求人媒体が48.7%でもっとも利用されており、転職エージェントが47.4%、スカウト型の求人媒体が37.6%と続く。新たに採用チャネルを増やした企業は35.7%で、特にスカウト型の求人媒体の増加が目立つ。企業側から積極的に人材を確保する「攻めの採用」が増加している。 エンジニア未経験者の採用状況では、20代後半が34.8%、20代前半が28.7%と、20代の若手採用が中心となっている。企業規模別では、10,000人以上の企業で46.2%が未経験者を採用しており、企業規模が大きくなるにつれて未経験者採用に積極的な傾向がみられる。 このように、IT人材の採用市場は多様化が進んでおり、企業はさまざまな層へのアプローチを強化している。特に、コミュニケーション能力やキャリアビジョンといったソフトスキルが重視される傾向が強まっており、企業は自社のニーズに合った人材を確保するための戦略を模索している。