少子高齢化と大都市への人口集中が進む中、日本財団は2024年秋に実施した第67回18歳意識調査で、全国47都道府県の17歳から19歳の若者4,700人を対象に、居住地に対する印象や進学意欲などを調査した。この調査は、地方消滅の可能性が指摘される中で、次代を担う若者の意識を把握し、地方再生の基礎資料として期待されている。 背景には、2024年4月に公表された人口戦略会議の予測がある。全国1,729自治体のうち、4割を超える744市町村が今後約30年間で消滅する可能性があるとされている。このような状況を受け、日本財団は若者の意識を調査し、地方の現状と課題を明らかにすることを目的としている。 調査結果によれば、大学進学予定者の割合は、3大都市圏中心部およびその周辺部で9割から8割にのぼる一方、地方圏やその周辺部では7割を下回っている。大学に進学しない理由としては、3大都市圏、地方圏ともに「学費が高い」「できるだけ早く自分で働いて生活したい」が上位を占めた。また、進学意欲を高める要因としては、地域にかかわらず「自分自身の興味・関心に合致する大学がある」がもっとも多い結果となった。 さらに、3大都市圏で暮らす若者ほど、居住地に対して「将来の選択肢が多い」「充実した暮らしができる」と評価する傾向が強いことがわかった。これに対し、地方圏ではその評価が低く、地方の魅力や可能性をどのように高めるかが課題として浮かびあがっている。 この調査は、民法改正により成人年齢が18歳に引き下げられたことを背景に、2018年から継続的に実施されている。18歳前後の若者の価値観や政治・選挙に対する態度、社会課題の理解などを調査し、次代を担う若者の意識を記録することの重要性が高まっている。 日本財団は、1962年の創立以来、子供や障害者、災害、海洋、人道支援など幅広い分野で活動を展開している。今回の調査結果は、地方再生に向けた政策立案や施策の基礎資料として活用されることが期待されている。調査の詳細な結果は、報告書に掲載されており、関心のある教育関係者や保護者はぜひ参照してほしい。