文部科学省は2024年12月25日、2023年度「子供の学習費調査」の結果を公表した。幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額は、すべて公立に通った場合が596万円、すべて私立に通った場合が1,976万円と、公立と私立で大きな差があることが明らかになった。 この調査は、全国の公立および私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校(全日制)に通う子供の保護者を対象に、1年間に支出した学習費を調査したものである。調査対象は全国5万3,025人(1,603校)で、有効回答数は2万1,768人であった。調査項目には、学校教育費、学校給食費、学校外活動費、世帯の年間収入などが含まれている。調査は、子供の教育にかかる費用の実態を把握し、家庭の経済事情に左右されることなく、質の高い教育を受けられるようにするための基礎資料として活用される。文部科学省は、1994年度から隔年でこの調査を実施しており、今回の結果は、今後の教育施策の検討・立案に役立てられるという。 調査結果によると、各学校種別の学習費総額は、公立幼稚園18万4,646円、私立幼稚園34万7,338円、公立小学校33万6,265円、私立小学校182万8,112円、公立中学校54万2,475円、私立中学校156万359円、公立高等学校(全日制)59万7,752円、私立高等学校(全日制)103万283円であった。 前回調査と比較すると、私立学校の学習費が全体的に増加している。特に、私立小学校の学習費は182万8,112円と、前回の166万6,949円から15万8,163円増と大幅に増加している。私立中学校も同様に、143万6,353円から156万359円へと12万4,006円増加している。一方で、公立小学校の学習費は、前回の35万2,566円から33万6,265円へと減少している。 学習費の内訳を見ると、私立幼稚園では「授業料」の支出がもっとも多く、私立小学校では「授業料」が全体の50.8%を占めている。公立学校では、幼稚園で「通学関係費」、小学校で「図書・学用品・実習材料費等」がもっとも多く支出されている。 また、学校外活動費については、公立・私立ともに「補助学習費」がもっとも多く、特に私立幼稚園では「スポーツ・レクリエーション活動」に対する支出が目立っている。 幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額は、すべて公立に通った場合が596万円、幼稚園は私立、小学校・中学校・高等学校は公立に通った場合が647万円、幼稚園・高等学校は私立、小学校・中学校は公立に通った場合が776万円、すべて私立に通った場合が1,976万円にのぼる。 この調査結果は、家庭の経済事情が子供の教育に与える影響を示しており、今後の教育政策において重要な指針となる。文部科学省は、調査結果をもとに、誰もが希望する質の高い教育を受けられるよう、教育に関する国の諸施策を検討していく方針である。