2024年の大学卒業者の進路決定率が87.4%となり、3年連続で上昇したことが旺文社教育情報センターの調査で明らかになった。この調査は、2023年4月から2024年3月までの大学卒業者を対象に、2024年5月1日時点の進路状況を分析したもの。進路決定率は、進学者数と就職者数をあわせた数を卒業者数で割り、パーセンテージで示している。 進路決定率は、就職率だけでは把握しきれない卒業後の進路状況を数値化したものである。就職率は「就職者数÷就職希望者数」や「就職者数÷卒業者数」などさまざまな計算式があるが、同調査では大学院などへの進学も進路の1つと考え、進学者と就職者(臨床研修医含む)を進路決定者とし、卒業者に占める割合を進路決定率として算出した。 設置者別にみると、国立大学は進学者の割合が高く、34.5%が進学している。これは理系の学生が多く、進学する傾向が強いためである。公立大学は進路決定率が91.6%ともっとも高く、看護・医療系統の学生が多いことが背景にある。私立大学は就職者の割合が高く、79.1%が就職している。私立大学の学生は国公私全体の8割を占めており、その傾向が全体の数値に反映されている。 男女別では、進路決定率に大きな差はみられないが、男子は進学者の割合が高く、女子は就職者の割合が高い。学部系統別では、医学部や工学部の進路決定率が高く、医師国家試験の合格率や進学者の多さが影響している。 地域別では、北陸・東海の進路決定率が高く、富山県が94.3%で最高であった。地域産業の状況や大学の設置状況が影響していると考えられる。 全体として、進路決定率の上昇は就職者の増加によるものであり、人手不足の影響がうかがえる。進路決定率の上昇は、大学卒業者の進路選択の多様化を示しており、今後も注目される。