東京家政学院大学は、2026年度の入学者選抜試験において、全学科で男子限定の定員を設ける「男子枠」を導入することを発表した。この新たな入試制度は、総合型選抜および学校推薦型選抜I期の一部に設定される。家政学・生活科学がジェンダーフリーな学問であることを広く社会に認知させることを目的としている。 家政学・生活科学は、衣・食・住・子供など生活に関わる幅広い分野を研究対象とする学問である。しかし、日本では料理や掃除、洗濯、裁縫といった家政学に関連する活動が「主婦」の役割とされてきた歴史があり、家政学は女性向けの実用学として位置づけられてきた。このため、家政学に関連するキーワードで検索すると、多くの女子大学がヒットする現状がある。東京家政学院大学も、これまで女子大学として100年の歴史を歩んできた。 この歴史を生かし、東京家政学院大学は、男女平等で自らの能力を生かして自由に行動・生活できる社会を目指すため、家政学・生活科学が男子生徒にも学べる学問であることを広く認知させることが必要であると考えた。そこで、全学で共学となるタイミングで男子枠を設定することにした。 男子枠の設定により、学生の多様性の促進や学部の活性化、優秀な男子学生の獲得、家政学におけるジェンダーバランスの促進が期待されている。男子枠は、総合型選抜および学校推薦型選抜の指定校に設定されるが、公平性・公正性の観点から、それぞれの選抜において別の選抜名称をつけて実施される予定である。具体的には、総合型選抜は「家政・生活科学系男子アサーティブ入試I期(仮称)」、学校推薦型選抜は「家政・生活科学系男子指定校推薦特別枠(仮称)」として実施される。 男子枠の定員は、各学科の合計人員の1割にあたる52名程度とされている。東京家政学院大学は、これにより家政学のジェンダーフリー化を進め、より多様な学生が集う学びの場を提供することを目指している。