アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞し、世界中で大きな話題を呼んでいる本作。ウクライナ侵攻後からロシアの教育現場で行われている愛国教育の全貌を暴き出した。
解禁された本編映像が捉えるのは、ロシア・ウラル山脈の麓の小さな田舎町にあるカラバシュ初等・中等学校の撮影担当教員だったパヴェル・タランキンが自ら撮影した、ロシアの学校現場で行われている余りにもショッキングな光景だ。
最初に映されるのは、学校の上級生を対象とした手榴弾投げコンテストの様子。校庭の端には、そんな先輩たちを真似る下級生の子どもたちの姿もある。続いて映されるのは、軍人により行われる射撃の体験授業だ。旧ソ連時代の"大祖国戦争"(旧ソ連が第二次大戦中に行った対ドイツ戦を指す、ロシアで使われている呼称)時に使われた様々な武器が並べられ、使い方を教わった幼い生徒たちはそれを興味津々に手にし、無邪気にパヴェル・タランキンの方に銃口を向ける者もいる。
プーチン大統領は、学校でこのような愛国教育を進める意図について「国が転換点を迎える時、教師の役割こそがカギを握る。勝利に導くのは指揮官ではなく教師たちだ」とインタビューで語っている。
本作が捉えていく学校の様子は、パヴェル・タランキンに加えて共同監督のひとりであるデヴィッド・ボレンスタインが手配した撮影クルーによっても撮影されている。しかし、実際に本編に採用された映像はパヴェル・タランキンによるものが多くなったという。その理由について、ボレンスタイン監督は「私たちの撮影チームの方が良いカメラを使っていますし、画質も画面構成も、映像の単純なクオリティという意味では高いと言えるでしょう。でも、映画に使いたくなるのはいつもパーシャ(タランキン)の映像でした。なぜかというと、彼だけの個性があるからです」と語る。
さらに、「パーシャは何年も学校に勤め、子どもたちと楽しい時間を過ごしてきました。彼がその場にいることやカメラを回していることがごく自然で、子どもたちは彼の前でありのままのリラックスした姿を見せているんですよね。彼が作り上げた“パーシャの教室”は愛と自由に溢れていて、あの温かい空気感は彼にしか捉えることができません」と明かしている。
デヴィッド・ボレンスタイン監督の言う通り、本作を通じてパヴェル・タランキンが子ども達の成長をサポートできる自分の職業を心から愛していることがありありと伝わってくる。そんな彼は、このシーンのように愛国教育を受け続ける子どもたちの姿をすぐそばで見続ける中で、一体何を思うのだろうか…。「愛国教育」の実態が捉えられた本作の一端が垣間見える本編映像となっている。
『プーチンの愛国教室』は10月3日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。







