元TBSアナが『プラダを着た悪魔2』を鑑賞。テレビ局で働き、体調を崩して仕事から離れたこともあった私に「この仕事が好きでたまらない」が刺さりすぎた理由とは | NewsCafe

元TBSアナが『プラダを着た悪魔2』を鑑賞。テレビ局で働き、体調を崩して仕事から離れたこともあった私に「この仕事が好きでたまらない」が刺さりすぎた理由とは

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
元TBSアナが『プラダを着た悪魔2』を鑑賞。テレビ局で働き、体調を崩して仕事から離れたこともあった私に「この仕事が好きでたまらない」が刺さりすぎた理由とは

元TBSアナウンサーのアンヌ遙香がニッチな眼差しで映画と女の生き様をああだこうだ考え、“今思うこと”を綴る連載です。ほんのりマニアックな視点と語りをどうぞお楽しみに!

【アンヌ遙香、「映画と女」を語る #18】

あの大ヒット名画の20年ぶりの続編に賛否両論!?

『プラダを着た悪魔2』大ヒット公開中 (C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

さあ、少し前になりますが『プラダを着た悪魔2』、観てまいりました。このシリーズがお好きな方、本当に多いのでは。前作は多くの女性にとっても特別な映画ですよね。2006年公開、アン・ハサウェイの出世作であり、「働く女性のバイブル」なんて言われ方もされ、何年たっても色あせない洗練された美しい画面はいつ観ても最高。女性のキャリアを描いているので、仕事をしている女性にとっては刺さるところもあるし、逆に家庭に生きる女性であってもまた異なる見方ができる魔法のような映画。

そして今回は、20年ぶりの続編。ゴリゴリの新人だったアンディ(アン・ハサウェイ)が、20年という時間を経て、立派なジャーナリストになっているところから物語は始まります。

表彰式に出席しているアンディ。良質な記事を執筆した記者として大きな会場で表彰されているのです。けれど…その最中、スマートフォンが鳴ります。そこに届いたのは――解雇通知。20年前にはまだそこまで浸透していなかったスマホが、今や人生を左右する連絡まで運んでくる。しかもたった一通の通知で。かつ、ジャーナリストが悉く解雇されているという現状も、いまやアメリカの深刻な社会現象となっています。


新聞も雑誌も苦しい時代です。アメリカでも有力なメディアがコスト削減を進めざるを得ない状態になっており、利益が見えにくいもの、時間をかけて育てるものがどんどん切り捨てられていく現状があります。ジャーナリズムも例外ではないのです。

今回の『プラダを着た悪魔2』は、「ファッション映画」とは言えないかも。だからこそ(私の印象ですが)賛否両論といいますか、前のような「ワクワク感」が足りない!という声もちらほら聴きますが、「キラキラさせていない」のは今回あえてそうしているのでは?なんて感じました。

アンディだけじゃなく、ミランダ(メリル・ストリープ)が率いる雑誌『ランウェイ』も苦境に立たされています。雑誌不況に加えて、ファッション業界そのものへの社会的な目線も厳しくなっており、掲載された記事が炎上したことで危機に陥った編集部に、アンディが特集編集者としてカムバック。そこで再び手を組むことになります。

(L-R) Anne Hathaway as Andy Sachs, Meryl Streep as Miranda Priestly and Stanley Tucci as Nigel Kipling in 20th Century Studios’ THE DEVIL WEARS PRADA 2. Photo by Macall Polay. © 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.『プラダを着た悪魔2』大ヒット公開中 (C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ここからが本題。今回は、この映画の見どころをわたしなりに3つに絞ってお話ししてまいります。

「いいものは、ちゃんと残っていく」ということ。

今回印象的だったのが、第一作へのあるオマージュ。覚えている方もいるでしょう。一作目でアンディが最初に会社へ着て行った、あのブルーのセーター。おそらく大量生産の既製品。アンディは何の気なしに身に着けていたわけですが。


ミランダに「あなたは流行なんて自分には関係ないと思っているかもしれないけれど、その服も誰かが決めた流れの中で選ばれている」と諭される、あの名シーン。今回、そのセーターが違う形で帰ってきているようなのです。

アンディがニットベストを着ている場面があります。それを見た瞬間、「もしかして、あの時のセーターの袖をなくして形を変えて着ている?」とピンときた私。ニットって、一度ほどけばまた糸にもどりますよね。形を変えて、何度でも生まれ変われる素材ともいえます。

昨今はファストファッションはもはや当たり前の存在。新しいものを買って、手持ちの服が少しでも「なんか違う」と思えば手放すことができる流れがあります。それでも、好きだったものを大切に着続ける。古いものを新しい形に変える。それもまたファッションなわけです。

私自身、祖母が残してくれた古いニットやカーディガンを着ることがあります。数十年前のニットは驚くほど丈夫で、暖かくて、色も美しい。本当にいいものって、時間を超えるんですよね。それをこの映画はすごく静かに伝えてくれていた気がするのです。


ジャーナリズムも、芸術も、文学も、「本当に良いものは絶対に残っていく!」という宣言のような。そう考えると、とっても社会派なのです。

「この仕事が好きでたまらない」

(L-R): Miranda Priestly (Meryl Streep) and Andie Sachs (Anne Hathaway) in 20th Century Studios’ THE DEVIL WEARS PRADA 2. Photo by Macall Polay. © 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.『プラダを着た悪魔2』大ヒット公開中 (C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

これはミランダのあるセリフです。少しネタバレになりますが、危機を乗り越えた後、ミランダがアンディに以下のような趣旨のことをつぶやきます。


「これまでの人生、とにかく働いて働いて、いろんなことを犠牲にしてきた。誰かに恨まれるようなことも沢山あったと思う。離婚もした。子どもの成長も見られなかった。でも、私はこの仕事が好きでたまらないの。」


うーん、よい!!!!これ、すごく響きました。私も共感しました。もちろん、仕事だけが人生じゃない。でも、仕事がない人生は今の私には考えづらいかも。

以前テレビ局で働いていた頃、とにかく毎日がめまぐるしく、今じゃほとんど記憶が薄れている部分も。体調を崩してしまい、手術のため泣く泣く仕事から離れた時期もありました。でも、ふるさと北海道に戻って久しぶりに道内のテレビ局でマイクを付けた瞬間、「あっ帰ってきた」と思ったのです。私はやっぱり仕事が好きなんだって。

テレビも、ラジオも、文章を書くことも好き。働いている自分が好きなんです。女性って、いろんな事情があります。体調もあるし、年齢による変化もある。一生ホルモンに支配されている生き物だから一筋縄ではいかないことも沢山。でも、自分が純粋に好きだと思える場所を持てるって結構幸せなことだと思うんですよね。

働いているお母さんたちは、ときおりその板挟みで悩むこともあるでしょう。でも、仕事を好きでいることに、あまり罪悪感を覚えなくてもいいんじゃないか、そんなメッセージを私はミランダから受け取りました。好きなものは好き。それでいいじゃないですか。

大人だからこそ、友情が大事

女の人生において、年齢を重ねるほど友情というものの存在が尊くなるということ。今回はエミリー・ブラント演じる、あのエミリーも、なんと莫大な広告予算を持つトップクライアント、ラグジュアリーブランド「ディオール」の幹部として登場します。

前作ではなんか意地悪なんだけど憎めない存在で、ファンも多いのでは?そんな彼女とアンディが、大人になった距離感で再び向き合うのです。ここが本当に良かった!

私自身、北海道に帰ってきてから大親友ができました。まったく一から仲良くなった友人はもちろんのこと、学生時代からの友人と年齢を重ねたことで付き合い方が変化し、とても濃密な関係性を築けるようになった、というケースもあるのです。

若い頃は、自分の弱さを見せるのが苦手でした。でも、何でも話せる友達がいることの価値が大人になりわかるようになりました。もちろん家族も大切。仕事も大切。でも、何かあった時に「飲もうか」「話そうか」って言える相手がいることって、すごく大きくないですか。

最近はAIに悩み相談する人も増えていますが、やっぱり生身の人間同士のなんでもない会話って特別だなと思います。毎日一緒にいる必要はない。でも、いざとなったら集まれる。その距離感が大人の友情でしょう。だから今回、アンディとエミリーの関係を見ていて、「ああ、この年齢だからわかる友情ってあるよね」と深く頷いた私。


前作も素晴らしかった。でも20年経って、今の自分が観る『プラダを着た悪魔2』は若い頃には見えなかったものが見える、といえるでしょう。仕事、価値観、友情、そして時間。全部ひっくるめて自分の人生を振り返り、「今の自分が一番良いよね?」と確認作業ができる作品。

あなたならどこがツボにはまるでしょうか?ぜひ劇場でご覧ください!


《OTONA SALONE》

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