投資信託の「最も合理的な運用方法」って?「オルカンの生みの親」が教える、長期投資で成果を上げるうえで欠かせない二つの運用タイプ | NewsCafe

投資信託の「最も合理的な運用方法」って?「オルカンの生みの親」が教える、長期投資で成果を上げるうえで欠かせない二つの運用タイプ

お金 OTONA_SALONE/MONEY
投資信託の「最も合理的な運用方法」って?「オルカンの生みの親」が教える、長期投資で成果を上げるうえで欠かせない二つの運用タイプ

投資をはじめるとき、多くの人が気になるのが「どうすれば成果が出るのか」という点ではないでしょうか。一方で、日本では今でも「投資=怖いもの」という印象が根強く、損失への不安から一歩を踏み出せない人も少なくありません。

こうした状況について、オルカンの生みの親である代田秀雄氏は「私たちは『リスクを取らないこと』こそが最大のリスクになりうる時代を生きている」と指摘します。

本記事では代田氏の著書から、長期投資で成果を目指すために理解しておきたい、「二つの運用タイプ」についてご紹介します。

※本記事は書籍『オルカン思考: 世界経済を味方につける「長期投資」の教科書』(代田秀雄:著/Gakken)から一部抜粋・編集したものです

リスクを理解し、長期投資で成果を上げる心構え

長期投資において、値動きの波をうまく読んで、「上昇局面だけ市場にいる」などということはほとんど不可能です。なぜなら、短期の相場変動は株価がランダムに動く「ランダムウォーク」であり、誰にも正確に予測できないからです。

だからこそ重要なのは、短期的な値動きに一喜一憂するのではなく、自分の感情をコントロールしながら、客観的リスクと体感的リスクの両者と上手に付き合っていくことです。

そのために有効なのが、「長期・積み立て・分散」という三つの行動原則です。

日本では今もなお、「投資=リスクがあって怖いもの」という印象が根強く残っています。確かに、投資には価格が上下する“客観的なリスク”が存在します。しかし、実際に私たちを投資から遠ざけているのは、数値で測れるリスクそのものではなく、「損をしたらどうしよう」という“体感的なリスク”――つまり心理的な不安のほうかもしれません。

ところが、預貯金だけに頼る時代はすでに過ぎ去りつつあります。公的年金は老後の土台として重要ですが、給付の見通しには経済・人口の影響も受けます。インフレが進めば現金の実質価値は目減りする。そうした現実を前に、私たちは「リスクを取らないこと」こそが最大のリスクになりうる時代を生きています。

大切なのは、リスクを怖がるのではなく、その意味を理解し、自分の許容範囲の中で上手に付き合っていくことです。投資はギャンブルではなく、時間と分散の力を味方につけることで、再現性の高い成果を積み重ねていける営みです。

価格の変動を恐れて立ち止まるのではなく、仕組みを理解したうえで淡々と続ける――この姿勢こそが、長期投資家としての成長の第一歩になります。

「パッシブ運用」と「アクティブ運用」

「長期・積み立て・分散」という投資の基本原則は、私たちが「市場の成長」を効率よく取り込むための土台となるものです。そして、その土台は、どのような運用手法を選ぶかによって成果が大きく変わります。リスクとリターンの構造、複利が働く仕組み、市場全体に広く投資することの意味――これらを理解すると、「市場の平均をどう捉えるか」が非常に重要であることが見えてきます。

そこで今回は、投資信託の基本となる二つの運用タイプ――パッシブ運用とアクティブ運用の違いについて整理しておきたいと思います。ここを理解することは、長期投資で成果を上げるうえで欠かせない“最後のピース”といえるでしょう。

投資信託は大きく「パッシブ運用」と「アクティブ運用」の2種類に分けられます。

パッシブ運用は、市場全体の動きに連動することを目指す運用方法で、日本株式ではTOPIX(東証株価指数)、米国株式ではS&P500、全世界株式ではMSCI ACWI(オール・カントリー)などが代表的な指数です。指数に連動するため値動きがわかりやすく、低コストで市場全体の成長を取り込むことができます。

一方、アクティブ運用は、ファンドマネジャーが独自に銘柄選定や資産配分を行い、市場平均を上回ることを目指す運用方法です。

ところでパッシブ運用とインデックスファンドとはどう違うのでしょうか。パッシブ運用とは、市場全体に投資し、市場を映す鏡のような運用手法です。そのパッシブ運用を実現するために活用するのがインデックス(=指数)になります。インデックスは、パッシブ運用を実現するための道具ということです。

ではインデックスを使って運用されるファンドはすべてパッシブ運用かというと、そうではありません。インデックスには市場全体の写し鏡のようなものもあれば、市場の一部を切り取ったものもあるからです。

インデックスは歴史的に、第1世代から第3世代まであります。第1世代は、日経225やNYダウといった指数です。この指数はもともと新聞社が、市場の動きを報道として伝えるためにできたものです。新聞の株式欄では銘柄ごとに株価が表示されていますが、読者に市場の状況をわかりやすく伝えるために代表銘柄の株価の値を単純に平均して出したものです。株価を平均するわけですから、株価が大きい株式の値動きの影響をより受けることになります。

第2世代は、TOPIX、S&P500、MSCI ACWIといった指数です。第1世代の指数のように株価を単純に平均するのではなく、各銘柄の株価に発行株数を加味した時価総額で加重平均しており、「時価総額」=「株価」×「発行済株式数」で算出されます。つまり第2世代の指数は、企業規模を考慮し時価総額に着目した、より市場の実態に近い指数ということになります。

さらに第3世代の株価指数は、市場から特定の基準に基づいて銘柄を抜き出した指数です。たとえば、株価の割安度に着目した指数、高配当の銘柄に着目した指数、構成銘柄すべての比率が均等になるように構成された(等ウェイトにした)指数などです。こういった第3世代の指数は、アクティブ運用と同じように、市場を上回るリターンを目指すものでスマートベータとも呼ばれています。

このように、インデックスには、株価を単純平均した第1世代の指数から市場を上回ることを目指した第3世代の指数までありますが、パッシブ運用の対象としては実際の市場規模を反映する第2世代の時価総額加重型指数が適しています。

パッシブ運用は最も合理的な運用方法

パッシブ運用とアクティブ運用を比べたときに、実際の成績はどちらが上回っているでしょうか。アクティブ運用は市場を上回るリターンを目指すものですから、パッシブ運用を上回る成績を上げるファンドも存在しています。問題は、数あるアクティブ運用のうち、どの程度のファンドが市場に勝つことができているのかです。

結論から申し上げると、パッシブ運用に勝てるアクティブ運用はごく少数です。そして、このことはさまざまなレポートで報告されています。また短期的に、パッシブ運用の成績を上回ることができたアクティブ運用も、運用期間が5年、10年、20年と長くなるにつれて、パッシブ運用に勝ち続けるファンドの数はどんどん減少していきます。

アクティブ運用がパッシブ運用になかなか勝てないというレポートの代表例が、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が公表している「SPIVA(スピーバ)スコアカード」です。この調査では、アクティブ運用ファンド(アクティブファンド)がベンチマークとするインデックス(指数)をどれだけ上回れたかを定期的に測定しています。

最新の結果では、米国株式ファンドのうち、過去10 年間でインデックスファンドを上回ったアクティブファンドはわずか10~15%にとどまり、残りの85~90%は市場平均を下回っていました。さらに、勝ち残った10~15%のファンドも、その後の10年間では市場平均を下回る傾向が見られます。

日本でも同様の傾向が確認されています。モーニングスターのデータによれば、過去10年において、日本株ではアクティブファンドの約8割は、パッシブ運用を下回っています。この背景には、ファンドマネジャーの力量だけでなく、アクティブ運用特有の構造的なコストの高さが大きく影響しています。

つまりアクティブ運用が短期的にパッシブ運用に勝つ年があっても、長期投資においては、平均的にパッシブ運用に負けるという厳しい現実が統計的に裏づけられているのです。このことは、低コストで市場全体の成長を取り込むパッシブ運用の合理性を示しています。

米国でインデックス革命が起き、個人投資家の資産運用におけるインデックスファンド比率(アクティブファンド残高とインデックスファンド残高の合計に占めるインデックスファンド残高)が10%を超えたのが2001年、30%を超えたのが2015年、そして2023年には50%を超えたといわれています。

日本でも10年遅れくらいのスピードでインデックスファンド比率が上昇しています。こういったインデックスファンド化の背景にあるものが、アクティブ運用がパッシブ運用になかなか勝てないという数々の実証分析やレポートなのです。

ここまでの記事では、長期投資の「二つの運用タイプ」についてご紹介しました。つづく関連記事では、「投資の世界におけるリスクの種類」について詳しくお伝えします。
つづき>>「損する前に売っちゃおう」…その考え、実はキケンかも⁉長期投資をするうえで重要な「リスク」の実態とは

■著者略歴:代田秀雄(しろた・ひでお)
三菱UFJアセットマネジメント前常務。シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズ代表。1985年に三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)に入社。支店にて個人財務相談や法人融資などを担当した後、年金資金や投資信託の運用業務に約30年にわたり携わる。三菱UFJ投信で商品企画部長などを歴任し、2019年より三菱UFJ国際投信常務取締役として商品・マーケティング部門等を所管。インデックス投資を通じて、資産形成やNISAの普及に貢献した。2025年4月、三菱UFJアセットマネジメント常務取締役を退任し、特別業務顧問に就任するとともに、シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズを設立。中央大学法学部兼任講師(国際金融論)。人気投資信託シリーズ「eMAXIS Slim」、なかでも「オルカン」の生みの親として、メディアでたびたび取り上げられている。本書が一般書としては初の書籍となる。


《OTONA SALONE》

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