
閉経の前後5年を一般に更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は一般的には50歳といわれていますが、新しい研究での平均値は52.1歳とされています。となると、47~57歳の世代は更年期に当たる人が多くなります。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。
※ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです
※写真はイメージです
◆シノブさん 46歳
演奏家。約10年の間に子宮筋腫、アニサキスレルギー発症、大腸ポリープ、足裏の腫瘍などを一度に経験
大型ナプキンでもダメ…。パジャマにまで漏れ出す大量経血で夜も眠れない
音楽演奏家として国内外で活躍する、46歳のシノブさん。体が資本の仕事柄、健康には人一倍の気を使い、健康診断や人間ドックを定期的に受けていました。そんなシノブさんが体調に異変を感じたのは、34歳のときでした。これまでに経験したことがない量の経血があったのです。
「夜用の40cmのナプキンを使っても数時間で端まで真っ赤に染まり、下着やパジャマにまで漏れてしまいました。日中だけでなく就寝中も同じ量が出続けるので、夜中に何度も起きてしまい、生理中はぐっすり眠れませんでした」
もともと生理痛がひどく、学生時代は吐き気をともなうほどでしたが、これほどの経血は経験したことがなかったため、シノブさんは婦人科で診てもらうことにしました。検査の結果、子宮筋腫が複数あると分かりました。そのうちの2つは大きい部類に入り、内膜にある1つの影響で経血量が異常に増えていると伝えられました。幸い、急な摘出を要する状態ではないと言われたため、半年に一度の経過観察を行うことになりました。
「子宮に関しては20代の頃から2年おきにがん検査を受けていましたが、ずっと異常はありませんでした。経血も異常を感じる量ではなかったのに、どうして…… そう思いました」
41歳になり、大量の経血、腹痛、頭痛、めまいが頻発。医師に筋腫を取るよう勧められたが…
その後も経血量は変わらず、41歳になると、大きいサイズのタンポンでも1時間ともたなくなり、抜くたびに経血が滴るほどになっていました。加えて、腹痛、頭痛、めまいもひどくなったため、主治医に相談。すると、筋腫を取る手術を提案されました。
手術となれば、その間は仕事を休まなければいけません。コンサートのスケジュールは、数カ月先までびっしり入っています。自分の体調不良のために多くの人に迷惑をかけてしまうことを思うと、今の痛みはそれに値するほどひどくないと感じたシノブさん。考えた末、手術をせずに痛み止めの薬を飲んで様子を見ることにしました。
薬で痛みを抑えながらの日々が5年続いた46歳の冬。定期健診で、貧血が強く出ていると分かりました。その後もしばらく改善が見られないことから、子宮内膜症や筋腫の治療に用いられるホルモン剤、レルミナ錠を使った治療をすることになりました。
「主治医から『ホルモンを抑える薬を閉経まで服用し続ければ手術をしないで済むかもしれない』と言われて、少し気が楽になりました。薬で乗り切れるならそのほうがいい。そう思っていました」
46歳。別の医師から「手術したほうがいい」と勧められた。先生によって異なる見解に不安が倍増して…
レルミナの服用を開始した翌日。シノブさんはひどい倦怠感を覚え、頭痛が治まらず、食欲もない状態になり、1日中ベッドの中で過ごしました。このときシノブさんは、ホルモン剤が体に与える影響の大きさを痛感しました。とはいえ、止めればまた経血に悩まされることになります。不安を感じながらもレルミナを飲み続けると、数日後から不調が緩和されていきました。
そして、夏を迎えた7月のある日。
定期健診に行くと、その日の担当医から 「多発性筋腫の場合、レルミナの服用は子宮全摘手術が前提」と説明を受けました。これまでの「手術を避けるためにホルモン剤を飲んで閉経まで逃げ切る」という治療方針とは真逆の話に、シノブさんは混乱してしまいました。さらに「手術を選択肢に入れて考えてほしい」とも言われ、先生によって見解が違うことに不安を覚えました。
「私はこのとき初めて、もっと自分で子宮筋腫について学ばないといけなかったと反省し、情報を調べたり、筋腫摘出手術を受けた友人に話を聞いたりするようになりました。その結果、自分もいつかは手術しなければいけないのではないかと思うようになりました」
10年続けた定期検査で「問題ない」と言われてきた筋腫が、ここにきて「かなり危険」と宣告された。どうして!?
同年8月。シノブさんは手術を勧めた医師に、筋腫がどのような状態なのかを尋ねました。すると、「かなり危険な状態」との回答が。シノブさんはこれまで10年近く定期的にエコー検査を受けていましたが、いつも「大した変化はない」という診断でした。いったいなぜ……
その理由は、診察方法の違いにありました。これまでの先生は、筋腫1つひとつのサイズを診て「そこまで変化していない」と診断していましたが、今回の先生は、筋腫それぞれではなく子宮全体の大きさを調べていました。
「結果、『正常な子宮のサイズは鶏卵ほどですが、私の子宮の場合、横は骨盤内にぎりぎりはまるサイズ、上はへその位置を超えている』と説明を受けました」
自分の子宮が異常な大きさになっていることを、このとき初めて知ったシノブさん。先生から「薬での逃げ切り治療は現実的ではない」とも言われ、気持ちは手術の方向に傾き始めました。
本編では、34歳で大量の経血に悩まされて子宮筋腫が見つかり、その後も演奏活動を続けながら、痛みや貧血、ホルモン治療の副作用と向き合ってきたシノブさんの体験をお伝えしました。
▶▶46歳「長く仕事を続けたい。演奏活動に集中したい」その一心で、子宮の摘出手術を受け入れた結果は
では、「これからも演奏を続けたい」という思いから子宮全摘手術を決意したシノブさんが、手術への葛藤や術後の変化と、どのように向き合ったのかについてお届けします。




