
こんにちは、心理学者の内藤誼人です。働く女性の皆さんに、仕事、家庭、自分時間の3つの視点から、「知っておくと人生がスムーズに動き出す」心理学の知恵をお伝えしています。
さて、編集部に「働く女性の皆さんの悩みって何ですか?」と聞いてみました。ご自分の悩みとして「太りやすくなった」「疲れが取れない」などが挙がりましたが、ご家庭の悩みとしては「子どもが勉強(宿題)をしない」。私たちが育った昭和の時代から令和の現代まで、子どもといえば宿題をしない。これは変わらないのですね。
変わらないということは、そこに人間の本能的な気質があるということ。そして、心理学的にアプローチができるということでもあります。
【心理学者が教える「8割がんばらない」生き方】#4
「子どもが宿題をしない」その心理を分解すると「意味づけ」の重要さが見えてくる
子どもに宿題や勉強をさせたいのなら、まず何よりも「意味づけ」が重要です。私たちは、「意味がない」ことにはやる気を持つことができません。「宿題をやって、何か意味があるの?」と子どもが感じていたら、やる気が失われるのもしかたがないのです。
大人でもそうです。自分がやっている仕事にどういう意味があるのかと疑問に感じていたら、全力で仕事を頑張ろうという意欲も生まれません。
重い鉄骨を朝から晩までただただ運ぶだけの仕事と言われたらやる気にもなれませんが、自分がやっているのは「地図に残る仕事」(大成建設のキャッチコピー)なのだと意味づけたらどうなるでしょう。俄然やる気が出てくると思いませんか。
子どももそうなのです。自分がやっていることにはしっかりした意味がある、という気持ちになりたいのです。したがって、親としては「宿題をやりなさい」と命じるよりも前に、宿題をすることにどんな意味があるのかを教えてあげるようにしましょう。
子どもがその意味づけに納得し、「なるほど、そういう意味があるんだね」と得心してくれれば、親がいちいち口を出さなくとも子どもは机に向かってくれます。
意味づけだけで人間が思ったよりずいぶん動く「これだけの根拠」
「“意味づけ”をしてあげるだけで、本当にそんなに子どもの行動が変わるものなの?」と半信半疑の人がいるかもしれませんが、“意味づけ”が非常に重要であるということは、すでに科学的な研究でも実証されています。
米テキサス大学のデビッド・イーガーは、中学3年生に宿題をする将来的な理由について考えさせるという実験をしてみました。宿題に取りかかる前に、宿題をすることの意味づけをさせてみたのですね。
「宿題をちゃんとやっていれば、進学のときに困らない」
「学歴があれば、好きな仕事も選び放題」
「いい学校を卒業していれば、結婚もできそう」
こんな感じで、自分なりの意味づけをしてもらうと、生徒たちは宿題をきちんとこなし、科目の成績があがり、嫌いな科目もまじめにやるようになることがわかりました。意味づけは大成功だったのです。
意味づけは、いろいろなところで応用することができます。子どもに忘れ物が多いのなら、「忘れ物ばかりしていると、“こいつはダメ人間だな”って思われちゃって、クラスの子たちから嫌われるよ」とか「自分の評判が悪くなるのってイヤじゃない?」などと教えてあげれば、子どもも「なるほど、言われてみたらそうだ」と納得してくれるかもしれません。
もし子どもが親(自分)の言うことを聞いてくれないのなら、おそらくは“意味づけ”をしていないからです。あるいは、“意味づけ”が足りないのです。子どもがしっかりと意味を理解してくれるのなら、子どもは必ず言うことを聞いてくれます。だれだって、自分に利益があると思えば(あるいは不利益を避けることができると思えば)、やる気がムクムクと湧いてくるものなのです。
つづき>>>素朴な疑問。「ながら勉強」のほうがはかどるという話も聞くが、真実はどっち?マルチタスクをこなせる人のほうが賢い?




