
*TOP画像/小一郎(仲野太賀) 藤吉郎(池松壮亮) 甚助(前原瑞樹) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』14話(4月12日放送)より(C)NHK
戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第14話が4月12日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
再び裏切られた信長 信長の心を救った藤吉郎
人は信じていた相手に裏切られると、その後の人生において誰も信じられなくなるほど、深く傷つくことがあります。裏切った側に事情があったにせよ、裏切られた側は暗闇の中を彷徨うように生きることもあるのです。織田信長(小栗旬)は共に笑い合っていた弟に謀反を企てられた悲しみを抱えながら生きていました。そうした中で、自らを犠牲にしてでも市(宮崎あおい)を守ろうとする浅井長政(中島歩)の姿、彼が自分を義理の兄として慕ってくれる姿を見て、彼を“きょうだい”として信じてみることにしたのです。
しかし、長政は父や重臣らにそそのかされ、信長を裏切りました。長政の謀反の報告を聞いた信長は「それは恐らく 我らに加勢するためであろう。フッ 長政め あれほど動くなと申したのに…。」と、彼を擁護し、疑うこともしません。そんな信長に現実を突きつけたのは、市から送られてきた両端がふさがれた小豆袋でした。市のメッセージに気付いたのは軍師・竹中半兵衛(菅田将暉)。「その小豆は 我らのことかもしれませぬ。前と後ろを塞がれ まさに 袋のネズミじゃ」と、解釈を述べていました。

信長(小栗旬) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』14話(4月12日放送)より(C)NHK
それでも、長政を信じようとする信長の心を動かしたのは、小一郎(仲野太賀)でした。小一郎は市が長政に宛てる文(手紙)の内容に悩んでいたことを思い出し、「この白い文は 何も書くことができぬ お市様の苦しみそのもの。浅井様謀反の証しにござりまする!」と、市の気持ちを説明。

市が信長に充てた手紙 大河ドラマ『豊臣兄弟!』14話(4月12日放送)より(C)NHK
信長は長政に裏切られた現実を、この一言によって直面することになりました。長政に裏切られたショックにより、怒り狂う信長。信長からは悲しみや絶望感が溢れ出ており、そんな姿に切ない気持ちになりました。実の弟に裏切られた深い悲しみを抱えたまま、勇気を出して義理の弟を信じたのに、また裏切られる……その悲しみはどれほど深いものだろうか。
信長は小谷城を攻め、長政の首をはね、朝倉・浅井を根絶しようと勢いづく中、佐久間信盛(菅原大吉)や和田惟政(玉置孝匡)らは、敵から身を護るには一度退くしかないと冷静な判断をします。しかし、絶望の真っただ中にいる信長には重臣らの声は届きません。そうした中で、藤吉郎は想像を絶する行動に出ました。なんと、自らの足を剣で突き刺したのです。そして、「このサル うっかり傷を負ってしまいました!これでは足手まといじゃ。[中略]わしが ここに残りまする!」と、しんがりを務めることを声高に宣言しました。
藤吉郎の自分へのあたたかな思いが、深く傷ついた心にじんわりと染み渡ったのか、信長は彼の思いを受けとめ、京に戻ることを決意しました。信長の「二刻たったら すぐに わしの後を追ってこい」「朝倉の者どもが どれほど まぬけ面であったか 面白おかしく わしに話して聞かせよ」という言葉は、藤吉郎を信じる思い、彼に生きて戻ってきてほしいという切なる願いが込められているように感じました。
半兵衛の頭脳的な戦略で長政らに立ち向かう
長政の裏切りは、信長だけではなく小一郎や藤吉郎にとっても想定外でしたが、半兵衛だけは違いました。彼は自分たちが置かれている状況を“想定内”とし、はやくからこの事態に備えていたのです。

半兵衛(菅田将暉) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』14話(4月12日放送)より(C)NHK
半兵衛は「力の差がある敵に 一丸となって戦っても まとめて討たれるだけ」と考え、「時を稼ぎたいのであれば 兵を数段に分けて 代わる代わる防ぎつつ 退いていくしかありませぬ」と、戦略案を小一郎らに共有。さらに、兵たちが何かすがるものがなければ悪いことを考えるのではないかと察し、兵をかたどった人形を置くことを提案しました。半兵衛がしんがりの中のしんがりに選んだのは、小一郎。小一郎は危険な役割を任されることを半兵衛に言われずとも察しており、兄の無茶な判断でこうした事態にあるからと、弟として役目を受け入れました。
人間の心理を利用した半兵衛の巧みな策略により、織田軍は優勢に立ち、朝倉・浅井軍を次々に撃破していきました。織田軍に勝利の兆しが見えてきたところで、姿を現したのは長政でした。長政の後ろには銃をかまえる兵が控えています。藤吉郎が「なぜ 裏切ったのじゃ~!」と叫び、小一郎は「今なら まだ間に合いまする!我が殿に訳を話して 和陸してくださりませ!」と声を大にします。しかし、長政は表情一つ変えることも、戸惑うこともなく、銃撃隊に「放て~!」と命じました。
この絶体絶命の危機を救った人物が、明智光秀(要潤)でした。光秀らも長政らを押しとどめるために、しんがりを任せられていたのです。

明智光秀(要潤) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』14話(4月12日放送)より(C)NHK

小一郎(仲野太賀) 藤吉郎(池松壮亮) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』14話(4月12日放送)より(C)NHK
京に到着すると、小一郎と藤吉郎は約束通り宴で迎え入れられました。さらに、信長は京都中から名医と薬師を集めており、藤吉郎の怪我の治療にも備えていたのです。
本放送回では、長政の裏切り、徳川家康(松下洸平)の藤吉郎に対するふざけた態度(偽薬渡し)、そして足利義昭(尾上右近)の信長への隠れた恨みが描かれていました。人間は表裏がある生きものだからこそ、誰かを信じるのが怖くなってしまう……。しかし、藤吉郎が信長に寄せる深い愛情と、そんなあたたかな思いを受け入れる信長の心も丁寧に描かれていました。この世界には誠の愛は存在し、裏切られた者の悲しみを癒すのは、誰かの心なのかもしれません。
本編では、信じていた相手に再び裏切られた信長と、小一郎、藤吉郎をはじめとする信長の家臣たちの行動についてお伝えしました。
▶▶『豊臣兄弟!』で解き放たれる坂井真紀の俳優としての魅力。「あんたは きっと 私たちにええことを運んでくれる 弁天様なんじゃわ」。なかが慶に伝えた言葉があらわすこと
では、藤吉郎と小一郎の母、なかの人物像と、なかを演じる坂井真紀の俳優としての魅力をお届けします。




