閉経の前後5年を一般に更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は一般的には50歳といわれていますが、新しい研究での平均値は52.1歳とされています。となると、47~57歳の世代は更年期に当たる人が多くなります。身体の不調に苦しみ「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)
写真はイメージです
◆Kiyoさん 55歳
三重県在住、飲食業を経て、現在は医療系の仕事に携わる。54歳の夫と2人暮らし。24歳の息子、大学4年の娘は独立
ある日突然、ホットフラッシュが襲ってきて…
50歳の頃、Kiyoさんは飲食店を経営していました。厨房で調理をしていると、突然、全身がのぼせるようなホットフラッシュの症状が頻繁に起こるようになったといいます。外気の暑さや厨房の高温といった外部要因は、まったく関係ありませんでした。
「理由もなく体が熱くなるので、恥ずかしくて……本当に恥ずかしくて仕方なかったんです」
当時は接客も担当していましたが、お客様と話している最中に滝のような汗が流れ落ちることもあって、次第に接客はスタッフに任せ、自らは裏方に回るようになりました。
この症状は昼間だけでなく、夜にも襲ってきました。
「おそらく、経営のストレスもあったのでしょう。夜は暑すぎると感じて、眠れなくなったんです」
夏場にエアコンを21に設定しても、それでも暑くて眠れなかったと当時を振り返ります。「一緒に寝ていた夫は、きっと寒かったと思いますよ。でも、黙って付き合ってくれました」と苦笑します。
こうした症状は4年間続きました。
舌がピリピリ、痛いのはどうして……?
同じ時期に、「舌がピリピリとしびれて痛む」という症状も現れました。
Kiyoさんは、スポーツに取り組む2人の子どものために、アスリートのパフォーマンス向上を目的とした「スポーツ栄養」の知識を持っていたことから、「これは亜鉛不足かもしれない」と考え、亜鉛のサプリメントを試してみました。しかし、症状に変化はありませんでした。
ホットフラッシュの件もあり、「もしかしたら更年期の影響かもしれない」と感じ、婦人科の受診も検討しましたが「できるだけ薬には頼らずに乗り切りたい」と思い、まずは食事の改善に取り組むことにしました。
その後、内科で血液検査を受けたところ、コレステロール値が異常に高いことが判明。男性医師からは「この数値なら薬を処方するレベルです」と告げられましたが、自分で調べてみると、更年期にはコレステロール値が上昇しやすい傾向があることが分かりました。
それならばと、野菜を中心に、たんぱく質を多めにとる食事を意識するように。さらに、女性の健康維持に役立つといわれる、納豆などの大豆食品も積極的に取り入れるようにしました。
夫の気遣いが支えになった
「もともと食事には気を配っていた」というKiyoさんは、大きな病気とは無縁の生活を送っていました。家族が風邪を引いても自分だけは元気で、インフルエンザにもコロナにも一度も罹患したことがありません。「でも、更年期の症状だけは避けられませんでした」と語ります。
突然襲ってくるホットフラッシュで、ひとり汗をダラダラとかきながら、扇子を取り出して仰ぐこともありました。更年期の症状について夫に説明すると、「へえ、そんなことがあるんだね」と理解を示してくれたそうです。車で移動中に「暑い」と伝えると、すぐにエアコンの風向きを調整してくれるなど、気遣いもありました。
また、「汗をかいていて恥ずかしい」とこぼすKiyoさんに対して、夫は「人はそんなにママのこと見ていないから、大丈夫だよ」と優しく励ましてくれました。
夫は出張が多く、Kiyoさんは家にひとりでいる時間も長いのだそうです。「つらいとき夫が気を遣ってくれるのはありがたいですが、ひとりで自由に過ごせたというのも、更年期を乗り越えられた理由のひとつかもしれません」と振り返ります。
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では、Kiyoさんに現れた新たな症状についてお届けします。