「クサい! 近づかないで!」妻と、最愛の娘から拒絶されて。41歳夫が直面した“家庭内孤立”の現実 | NewsCafe

「クサい! 近づかないで!」妻と、最愛の娘から拒絶されて。41歳夫が直面した“家庭内孤立”の現実

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「クサい! 近づかないで!」妻と、最愛の娘から拒絶されて。41歳夫が直面した“家庭内孤立”の現実

日本では夫婦間のレスが深刻な社会問題のひとつです。夫婦生活の頻度が月1回未満(一般的にこれを「レス」と定義します)の夫婦は年々増加しており、リクルートが運営する『パートナーシップ調査2024』など、多くの調査で既婚カップルの5~6割が該当すると報告されています。

日本では、夫婦間のレス(夫婦生活の頻度が月1回未満と定義される状態)が年々増加傾向にあり、深刻な社会問題のひとつとなっています。リクルートが運営する『パートナーシップ調査2024』など複数の調査によると、既婚カップルの5〜6割がこの定義に当てはまると報告されています。

夫婦間の触れ合いがなくなると、心の距離も次第に広がり、パートナーへの愛情や自己肯定感に大きな影響を及ぼします。見過ごされがちですが、実は非常に深刻な悩みなのです。

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※写真はイメージです

「くさい」と言われ続けた日々

今回インタビューしたのは、41歳のハルミチさん(仮名)。愛知県で製造業に従事し、結婚10年目の奥さまと7歳の娘さんの3人で暮らしています。

家計を支えるために、日々遅くまで働いているハルミチさん。しかし帰宅すると、妻や娘の反応は冷たく、「おかえり」ではなく「くさいから近寄らないで」と言われることもあるそうです。

「仕事の後は汗もかきますし、加齢臭だってあるだろうと思います。でも妻や娘にそんなに嫌われるほど自分が臭うのかと、毎日ショックを受けています。洗面所で自分の体を嗅いでみても、正直よく分からないんです」

最初に「くさい」と言われたのは、娘さんが幼稚園に入った頃。帰宅後、思わず抱きしめようとした際に「パパ、くさい!」と拒まれ、驚いたそうです。その後も娘さんは冗談交じりに「パパはくさいからイヤ」と言うようになり、ハルミチさんも最初は笑って受け流していました。しかし次第に、子どもの正直さが胸に刺さるようになっていきました。

妻からの反応はさらに厳しく、「今日はソファで寝て」と告げられた日も。「ベッドが臭くなる」と言われ、夫婦の関係は徐々に冷え込み、この数年間、まったく夫婦生活がない状態が続いています。

ハルミチさんは「夫婦生活なんて夢のまた夢です」と嘆きます。「男としての自信がなくなり、家庭内で孤立しているように感じます」と声を詰まらせました。

においが生む「拒否」と「自尊心の喪失」

においの問題は、単なる不快感にとどまりません。相手からの“拒否”として受け取られ、深い自己否定感を引き起こすこともあるのです。

「自分の匂いを家族に否定されると、自分という存在そのものを否定された気持ちになるんです。家族のために毎日働いているつもりが、帰宅すれば鼻をつままれて避けられる。その積み重ねが、確実に僕の心に傷を残していきました」

近年、「スメハラ(スメル・ハラスメント)」という言葉が社会的にも浸透しつつあります。特に40代以降の男性は、加齢臭やミドル脂臭といった体臭が強くなりやすく、在宅時間の増加とともに家族間での「においトラブル」も表面化しやすくなっている背景があります。ハルミチさんのようなケースは、決して稀ではないのかもしれません。

妻の本音と子どもの感覚(ハルミチさんの後悔)

なぜ奥さまや娘はここまで自分のにおいに厳しかったのか……そう問われると、ハルミチさんは静かにうなずき、こう振り返りました。

「決して、家族が自分を嫌っているわけではないと頭では分かっていました。でも、口臭や体臭、服に染みついたにおいが混ざると、妻には耐えがたい瞬間があるんだと、今なら想像できます。特に汗を吸って時間が経った衣類のにおいは強烈だ、と何度も言われていたのに、どこかで “たいしたことないだろう” と軽く見ていました。でも娘は正直ですから、『パパくさい』とストレートに言います。あの言葉の痛さを、冗談として流そうとした自分がいました」

また、妻の嗅覚が変化したことにも思い至ります。

「そういえば、妻は出産後『においに敏感になった』と何度も言っていました。赤ちゃんのミルクやシャンプーのやわらかな香りに包まれた日常のなかで、男性の皮脂の匂いが強く感じられることもある、と。
子どもも、においには本当に正直です。遠慮なく言葉にする。そういう事情を“そういうものか”で片づけてしまって、きちんと受け止めなかったのは、自分の甘さでした」

そして妻からは、「歯医者に行って歯石を取って」「首の後ろもちゃんと洗って」と、具体的にケアのお願いをされていたにも関わらず……

「体は洗っていましたし、歯もちゃんと磨いていました。だから“そこまで臭くないだろう”って、どこかで仕事の疲れを言い訳にしていました。その小さな認識のズレが、じわじわと夫婦の間に溝を作っていったのだと思います。妻だって、やみくもに文句を言いたかったわけではない。僕を傷つけたくなくて、言葉を選んでいたはずです。

でも娘は遠慮がないぶん、真っすぐに言ってきて、そのたびに、僕はふてくされて黙り込み、家庭の空気を重くしてしまっていた。結果として、会話が減り、心の距離がどんどん広がっていったのです。
今ならはっきり分かります。最初の小さなサインを、ちゃんと受け止めて、すぐに行動に移さなかった自分の責任だったんです」

においの原因はどこにあるのか?

では、ハルミチさんのにおいの原因は、どこにあったのでしょうか。

たとえば、歯磨き後にフロスを使う習慣がないと、歯と歯の間に汚れがたまり、歯周病を引き起こして口臭が悪化することがあります。さらに「体をちゃんと洗っているつもり」でも実は洗い残しがあったり、汗をかいた後にそのままにしていると、体臭は強くなりがちです。

特に夏場は、こまめに汗を拭き取る習慣を身につけることが重要です。また、ズボンや上着などの衣類を毎日洗濯しないことも、においの原因になりえます。

嗅覚と感情のつながり

さらに忘れてはならないのが、嗅覚は記憶や感情と密接に結びついているという点です。

パートナーのにおいが心地よいものであれば、スキンシップや愛情表現の促進につながりますが、逆に「不快なにおい」が記憶に刻まれると、それだけで拒否感や嫌悪感が強くなることもあります。

においは、言葉以上に相手の印象や感情を左右する力を持っています。だからこそ、「清潔にしているつもり」では足りないのです。「相手にどう感じられているか」に意識を向けることが、夫婦関係においても重要なポイントとなります。

日本におけるセックスレス問題

ハルミチさんが語った「セックスなんて夢のまた夢」という言葉は、決して個人的な悩みにとどまりません。これは日本社会全体が抱える深刻な課題のひとつです。

一般社団法人日本家族計画協会の「ジャパン・セックス・サーベイ2020」によると、過去1年間のセックスの回数について、男性の41.1%、女性の49.5%が「1年以上していない」と回答しています。

この調査に基づくセックスレスの定義(性交渉のない状態)に当てはめると、男性の61.6%、女性の64.2%がセックスレスに該当し、年齢が上がるにつれてその割合は増加します。さらに「最後にセックスをしたのはいつか」という問いには、男性の平均が8.7年前、女性の平均が9.6年前という回答でした。

このデータから、日本におけるセックスレスがいかに根深く広がっているかがうかがえます。

「におい」が夫婦関係を冷やす一因に

セックスレスの主な原因としては、

・仕事や育児による疲労

・子ども中心の生活

・心身の不調

・パートナーへの嫌悪感・不快感

といった要素が挙げられています。

その中でも、においの問題は特にデリケートなテーマです。とくに女性がパートナーの体臭や口臭に嫌悪感を抱くと、ベッドを共にする気持ちが冷めやすい傾向にあります。

ハルミチさんのように、加齢臭や生活臭を自覚しきれずに放置してしまった結果、妻から拒絶され、娘からも「臭い」と言われる……これは、単なるにおいの問題ではなく、男性として・夫としての自信を根本から揺さぶられる経験でもあるのです。

ハルミチさんのケースは、まさに日本のセックスレス問題の縮図といえるでしょう。

本編では、「におい」をきっかけに妻と娘から距離を置かれ、長年セックスレスに悩んでいた41歳・ハルミチさんの苦悩をお届けしました。

▶▶「パパ、いいにおい!」娘の一言がすべてを変えた“スメハラ夫”が見つけた「やりなおしの処方箋」とは
では、ハルミチさんがどのように“におい”と向き合い、夫婦関係を再構築していったのか、その具体的なプロセスと心の変化を詳しくお伝えします。

《OTONA SALONE》

特集

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