日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトは、暑さに慣れることの重要性を広めるため、暑熱順化のタイミングを示す「暑熱順化前線」を発表した。2025年の発表は今回が最後となる。 暑熱順化とは、軽い運動や湯船につかる入浴などで意識して汗をかくことで、体を暑さに慣れさせることを指す。暑熱順化は数日暑さから離れると効果が薄れるという。日本気象協会は、各地域で暑熱順化が必要なタイミングを繰り返し情報公開している。 2024年の梅雨明けは、沖縄・奄美地方では6月20日~22日ごろ、九州・四国・近畿・東海・関東甲信地方では7月16日~18日ごろ、中国地方は7月21日ごろ、その他の地域では7月31日~8月2日ごろとなった。総務省消防庁のデータによれば、梅雨明け後の週には熱中症による救急搬送者数が急増し、特に7月22日~28日の週は1万2,955人と2024年でもっとも多かった。 梅雨の晴れ間や梅雨明け後など、体が暑さに慣れていない状態で急な暑さを迎えるときは、熱中症に特に注意が必要である。暑熱順化ができていても、梅雨で気温が下がると効果が薄れるため、無理のない範囲で暑熱順化を続けることが大切だという。 日本気象協会は、暑熱順化開始の目安となるタイミングと具体的な方法を公式サイトやX(旧Twitter)の公式アカウントで随時発信している。 「熱中症ゼロへ」プロジェクトは、熱中症にかかる人を減らし、亡くなる人をゼロにすることを目指している。2013年の発足以来、気象情報の発信を核に、熱中症に関する正しい知識と対策を広める活動を展開してきた。2025年は「熱中症は未然に防げる気象災害」をテーマに、予防啓発活動を強化する。