日々が飛ぶように過ぎていくなか、自分のあり方に漠然と迷う40代50代。まるでトンネルのように横たわる五里霧中ですが、そんななか「ほんのちょっとしたトライ」で自分のあり方を捉えなおすには、「最初の一歩」に何をしてみればいいのでしょうか。
ライター野添ちかこがオトナサローネ読者にインタビューを行い、リアルな女性の人生をお届けする本シリーズ。今回は、歯並びの悪さがコンプレックスだったシングルマザーのNokaさんが歯列矯正をスタートしたことで、心まで軽くなった話をご紹介します。
◾️Nokaさん
栃木県在住、42歳のシングルマザー。22歳の長男、高校2年の長女と3人暮らし。19歳で結婚・出産し、35歳で離婚
【私を変える小さなトライ】
30代前半、全身麻酔の大手術で奥歯を失って
Nokaさん(42歳・栃木県在住)は、22歳の長男と高校2年の長女を育てるシングルマザーです。
子どもの頃からあごが小さく、歯が二重に生えてしまうほどの歯並びの悪さがコンプレックスでした。
小学校低学年の頃に一度矯正を受けたものの、10代後半で奥歯が横向きに生えて、親知らずがその下にあるような状態に。さらに30代前半、虫歯が悪化して奥歯と親知らずを抜歯することになりました。
「歯並びが悪いと虫歯になりやすいのですが、息子のサッカーが忙しい時期に、歯磨きがおろそかになってしまって……」
大学病院の口腔外科で全身麻酔の大手術を受け、1週間の入院生活。術後は、唾を飲むことさえつらいほどの痛みがあったといいます。
生きていくので精一杯で「自分のためにお金が使えなかった」
奥歯を失ったことで、残された歯がどんどん傾いていきました。歯並びは悪くなる一方でしたが、当時のNokaさんは結婚生活に悩み、子育ても仕事も手いっぱいで、自分にかけられる余裕はゼロ。
「歯並びが気になる気持ちはあったけれど、どうすることもできなかったんです」
通っていた地元の歯科医院でも、「矯正は高額だし、お子さんにお金がかかる時期。現状維持でいいんじゃない?」とあっさり言われてしまい、ますます気持ちは閉じていったといいます。
「このままでは、いずれ総入れ歯になってしまうかも……」
そんな不安を抱えながらも、「我慢するしかない」と日々をやり過ごしていました。
35歳で離婚。そして、少しずつ訪れた“自分のための時間”
35歳で離婚。しばらくは精神的にも経済的にも追い詰められていて、歯のことを考える余裕もありませんでした。
「2人の子どもを悲しませないように」
と必死で働きながら、日々を乗り越えるだけで精一杯だったと言います。
それから数年。長男が社会人になり、娘も高校生になってアルバイトを始めるように。少しずつ、Nokaさん自身の時間とお金に、わずかな“ゆとり”が生まれ始めました。
「自分のためにお金を使ってもいいかな?」娘にそう聞いてみたら…
40歳を迎える頃、「歯並びを治したい」という思いが再び強くなりました。
「この先の人生を、もう少し笑顔で過ごしたい」。
そんな気持ちを、初めて口にしたのは娘さんに向けてでした。
「ママね、歯並びがずっとコンプレックスだったの。矯正はお金がかかるからあきらめてたけど、自分のために使ってもいいと思う?」
すると娘さんは、「もちろんだよ!」と迷いなく答えてくれたのです。その言葉に背中を押されて、Nokaさんはようやく、長年抱えてきた悩みに向き合う決意をしました。
本編では、歯並びの悪さをコンプレックスに感じていたNokaさんがシングルマザーとなり、経済的な事情から歯の治療をできなかったお話をお届けしました。
▶▶「月々2万円なら私でも払える!」このままじゃ、孫に笑われると思って始めた歯列矯正。ようやく“自分の人生”が動き出した
では、物理的にも精神的にもNokaさんを苦しめてきた「歯並び」を治すべく、歯列矯正をスタートしたお話について、お届けします。