認知症の方に「言ってはいけない」4つのNGワード。「不安が増大し、激怒するきっかけになります」 | NewsCafe

認知症の方に「言ってはいけない」4つのNGワード。「不安が増大し、激怒するきっかけになります」

社会 ニュース
認知症の方に「言ってはいけない」4つのNGワード。「不安が増大し、激怒するきっかけになります」

こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。

【アラフィフライターの介護体験記】#15

◀◀前のページ 突然、認知症の義母がキレた。「険しい顔でカバンを床に叩きつけ」さらに「突然ドンドンと壁を蹴り始めた」。きっかけを作った私が犯した最大のミスとは

▶そんな中、デイサービスのお迎えが

「何事もなかったかのように」デイサービスへ向かった義母

しかし、数分後には静かになったお義母さん。その様子が気になって見に行こうとしたところ、デイサービスの送迎車が到着し、インターホンが鳴りました。「さすがに、今日は行けないかもな……」と思っていると、ここで「人に迷惑をかけたくない」というお義母さんの性格がプラスに作用してくれます。

気が付けばお義母さんはベッドから起き上がり、「はいはい、今行きます~!」とインターホンに向かって叫び、「着替えたいからお願い」と私を呼び、何事もなかったかのように出かけてくれました。

その晩、夫と話し合い「その場をやり過ごすのも、そろそろ限界。このままでは同じことの繰り返し」という結論に。そこで、ゆっくり時間が取れる日に、夫が話を聞いてみることになりました。

きっかけは「どいてください!」の一言?

きっかけは「どいてください!」の一言。食堂で何があった?

認知症による「帰宅願望」。その根底にあるのは「不安」で、「今の環境に何かしらの『不安』があり、そこから抜け出したい気持ちが大きい」。叔母が言った通り、お義母さんは「不安」な気持ちを抱えていることが分かりました(ヘルパーさんにもヒアリング済み)。

それは、食堂での出来事。座席は自由なのですが、多くの方が毎回同じ席に座る傾向があり、お義母さんにも窓際にお気に入りの席がありました。ある日、いつものように席に着くと、「ここは私の席なの。どいてください!」と声をかけてきた人がいた。お義母さんは気分を害したのと同時に、「私は邪魔な存在なんだ」と思ったとか。

それが何度か続いたことで、「もうココにはいられない。田舎に帰ろう」という考えになった。「どいてください!」と言ったのは新しい入居者で、その方にも認知症の症状(妄想や激しい思い込み)があり、このような発言に至ったようです。

まさにこのとき、お義母さんにも「被害妄想」が強く出ており、夫からは「そもそも食堂の座席は自由だし、邪魔な存在なんて誰も思っていないのに、どう伝えてもネガティブな考えが消えない」と報告がありました。

▶認知症の義母に「言ってはいけない言葉」

つい、うっかり口にしがち。認知症の義母に「言ってはいけない言葉」

しかし抱えていた「不安」な気持ちを夫に吐き出せたことで、お義母さんは少しずつ落ち着きを取り戻し、次第に「田舎に帰りたい」という言葉を口にしなくなっていったのです。

数日後に地域ケアプラザを訪れた際、この話を社会福祉士の方にすると、「このまま楽しいことが続けば『不安』な気持ちは消え、『帰宅願望』は薄れてゆくでしょう。ただし別の『不安』が生じれば、また同じような状況になるかもしれない」とのこと。

続けて私がイライラしたことで、カバンを叩きつけたり壁を蹴ったりした様子も伝えると、「ご家族も大変だと思いますが……。認知症になると感情のコントロールが難しくなって、周りの様子にも敏感に反応するようになるんです。今回はお嫁さんの感情が伝わって、爆発してしまったのでしょう」と。

また、その前段階の適当な相槌やその場をやり過ごすような態度により、「会話をおろそかにされた」と思ってしまい、ストレスを与えることになるとか。それらを踏まえ、改めて以下のようなアドバイスがありました。

▶言ってはいけない4つのNGワード

【認知症の方に言ってはいけない言葉】

・それ、昨日も言ったよ

・また忘れたの?

・そんなこともできないの?

・早くして!(遅い)

このように否定したり、ペースを乱すような言葉はNG。不安な気持ちが大きくなり、自尊心を傷つける恐れがある。逆に「共感」「肯定」「感謝」(ポジティブな言葉)を意識しながら穏やかに会話をすると、安心感を与えられる。

うーん……。頭では分かっているけれど、今回のように自分自身も余裕がなくなると、ついついNGワードを言ったり語気が強まったりしてしまう。そして反省する、の繰り返し。さらに、適当な相槌など「その場をやり過ごす」といった対応が、ストレスを増大させていたなんて!

認知症のお義母さんの介護に関わり、2年半。一歩進んでは、二歩、三歩下がってしまうような日々ですが、ひとまず『帰宅願望』が落ち着いてホッとした夫と私。今回も“介護のプロ”に支えられ、かつ多くの学びを得た出来事でした。


《OTONA SALONE》

特集

page top