物価はどんどん上がるのに、給料はちっとも上がらない…。「年金は頼りにならなさそうだし、老後はどうやって暮らしたらいいの!?」 お金の悩みはつきません。
テレビでも大活躍だった経済アナリスト・森永卓郎さんは、最後となった著書『日本人「総奴隷化」計画 アナタの財布を狙う「国家の野望」1985-2029』(徳間書店)で、「令和恐慌がやってくる」と警告しています。
今年1月に急逝された森永さんですが、著書の中で現在の「トランプ関税狂騒曲」や、日本の現政権の混乱ぶりを、既に予想していました。まるで「近未来予言」のようです。
「これからも生きる」私たちは何を覚悟し、何に備えるべきか。今回はその著書から森永さんの「ラストメッセージ」をご紹介したいと思います。
※この記事は『日本人「総奴隷化」計画 アナタの財布を狙う「国家の野望」1985-2029』(徳間書店)から一部を抜粋・編集してお届けします。
石破総理は世界と逆行、日本経済をも「ぶっ壊す」!? 「令和恐慌」が現実的に
石破内閣は増税路線で引き続き財政緊縮を標榜しています。その一方で、「日銀は財務省の子会社ではありません」とウソをついてまで日銀の独立性を強調。植田和男総裁の金利の引き上げを後押ししています。いわば財政と金融の引き締めに躍起になっています。
ところが、アメリカにしてもヨーロッパにしても景気は後退しつつあり、中国はデフレの真っ只中です。2025年は金融緩和に向けて舵を切っています。まったく世界の潮流とは逆の進路を進もうとしている。この先に待ち構えているのは「令和恐慌」です。
なぜなら日本は、世界的な景気後退を迎えつつある状況下で唯一、金融の引き締めをしています。日銀総裁の植田和男氏は、「金利のある世界」を標榜し、早ければ2025年春にも再利上げをしようと画策しています。
そうなれば、日本とアメリカの金利差は縮まり、円安から円高に進みます。日本の経済を牽引している輸出産業にとっては大きな痛手です。にもかかわらず財務省は緊縮財政によるプライマリーバランスの黒字化を目指しているのですから日本経済は、ますます失速します。
日本経済が墜落しようとしている時に、石破総理というパイロットはわざわざ逆噴射して地面に突っ込もうとしている。これこそ無謀の極みです。
石破総理は小泉元総理が連呼した「自民党をぶっ壊す」というフレーズを本当に実行している点では、歴史に残る総理大臣になるかもしれません。
「新NISA」に庶民の蓄えを奪われる!?「円高→株価ダウン」は避けられない
石破総理の後ろ盾である岸田前総理は「投資から貯蓄へ」と株価が最高値に近い位置で、新NISAに誘導し高値掴みで、国民の蓄えを奪おうとしています。
新NISAによる投資マネーの多くは、利回りの魅力や分散効果を狙って、米国の「オルカン」(オールカントリー)と呼ばれる全世界株式やアメリカの株価指数「S&P」を丸ごとパッケージにしたドル建ての投資信託を買っていることが明らかになっています。
ところが、米国の株式や投資信託は購入時より円高が進むと、資産価値が目減りします。2024年のIMF推定の購買力平価では1ドル91円が妥当とされていますから、米国発の株価の大暴落が起きれば、株価や指数の下落のみならず、円高による為替差損も覚悟しないといけません。
私は今後、日本発の「令和恐慌」により一気に円高が進むと想定しています。つまり、米国株が下がらなくてもドル円が75円まで円高になれば現在の150円から160円のボックス圏で購入した米国株や投資信託の価値は半減します。
当然、円高になれば株価も下がります。大暴落と円高のWショックが襲えば、私が主張している「9割の大暴落」はまったく不思議ではありません。
トランプ大統領再選が「2025年の強烈な円高ドル安をもたらす」理由とは?
決定打は、1月20日に誕生したドナルド・トランプ大統領の返り咲きです。「グローバル資本主義」を象徴するトランプの再登板で、世界は大混乱に陥ります。トランプ氏は自国優先の経済政策を掲げ、友好国と敵対国に分けて高関税を課すことを宣言しています。
今のところ、日本に中国並みの30%という高関税をかけることはなさそうですが、少なくとも10%程度の関税がかかることになるのは決定的でしょう。
それどころかトランプ氏はビジネスマンですから、自国貿易が不利だと判断すれば、豹変して追加関税を課してくることも想定しておかないといけません。そうなると、1985年のプラザ合意後に日本を襲った円高不況の再来が起きるのではないかと危惧しています。
財政についても結果的にトランプ氏は拡大路線を掲げていますが、むしろ緊縮財政に舵を切るのではと思っています。
というのも、トランプ大統領の「影の大統領」と呼ばれ、トランプ政権の歳出カットを主導する最側近のイーロン・マスク氏の動向が見逃せません。
マスク氏も経営者として、買収した旧ツイッター社(現X社)の従業員を8割削減したことからわかる通り、グローバル資本主義の信奉者です。イーロン・マスク氏は政府効率化省(DOGE)を主導し「小さき政府」作りにまい進すると言います。
トランプ氏が公約に掲げていた大型減税についても、庶民向けの減税はそれほどではないでしょう。むしろ富裕層や大企業向けの減税を引き続き手厚くすることで、インフレ対策にはマイナスと言われていますが、それほど大きな影響はないと見ています。
つまり、パウエルFRB議長も手を焼いている金利の上昇は起きにくくなります。そして何よりもトランプ氏によるドル安誘導のポジショントークの威力は絶大です。
為替取引の99.6%は、貿易などの実需ではなく、投機需要によって構成されています。そうなると、トランプ氏のドル安政策というポジショントークに乗らざるを得なくなります。日本への利上げ圧力とトランプのドル安誘導により、2025年は強烈な円高ドル安をもたらすと私は見ています。
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■著者略歴:森永卓郎(もりなが・たくろう)
1957年東京都生まれ。経済アナリスト。獨協大学経済学部教授。東京大学経済学部卒業後、日本専売公社(現JT)、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。テレビ・ラジオなどのコメンテーターとしても積極的に発信。常に庶民の目線で数々の経済書を執筆し、03年『年収300万円時代を生き抜く経済学』がベストセラーに。2023年11月、ステージ4のガン告知を受けたものの、以降も精力的に執筆。2025年1月28日逝去。著書に『ザイム真理教』『書いてはいけない』『がん闘病日記』『投資依存症』(いずれも三五館シンシャ)など多数。