「なんとなく怖い」から「新NISAもやってない」人へ。放っておくと損するかもしれない、50代からのお金のリアル | NewsCafe

「なんとなく怖い」から「新NISAもやってない」人へ。放っておくと損するかもしれない、50代からのお金のリアル

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「なんとなく怖い」から「新NISAもやってない」人へ。放っておくと損するかもしれない、50代からのお金のリアル

こんにちは、40代男性ライターの鵜飼慎太郎です。共働きの妻・小学生の子ども1人の3人家族、普段は美術や書評を中心に活動していますが、ここでは個人的に気になる「お金の話」を取材しています。

前回までで、千田さんから「資産寿命を伸ばすためには、ただ貯金して取り崩すだけではなく、運用しながら取り崩すのが有効」という話をうかがいました。実践的な内容を聞くほどに、「でもやっぱり投資はなんだか怖い……」という気持ちが拭えない人も多いと思うんです。今回は、そのあたりをもう少し深掘りしていきます。

【50歳からでも取り残されないお金の話】#4

見えていないリスク、「わからないこと」が「恐怖感」へとつながる

まず率直に「投資が怖い」という不安の正体って、どこにあるんでしょうか?

「はい。よくお客様からも『投資はリスクがあるから怖い』『大暴落が起きたらどうしよう』『元本割れしたら生活ができないんじゃないか』といったご不安を伺います。特に日本だと『投資=ギャンブル』と思い込んでいる方も少なくありません。怖いと思う理由は人それぞれですが、一つ言えるのは、『自分がよく知らない領域』だからこそ余計に恐怖心が増してしまう、という点です」

なるほど!「知らない世界に対する漠然とした不安」が投資への恐怖心につながっていると。

「そうですね。投資をしたことのない方にとっては、投資で「お金が増える」イメージよりも「お金が減る」イメージのほうが強い。しかも、それを“自分にはコントロールできないこと”と感じている。それが恐怖の正体だと言えます」

「車の運転」に例える投資の世界。危険はゼロではないけれど、原理を理解していれば無視していい

僕も含めて、どうしたら、その「よく知らない」という不安を軽減できますか?

「私がよく例えでお話しするのは、『投資は車の運転と同じですよ』ということなんです。どういうことかと言うと、車の運転って最初は誰でも怖いですよね? でも、今や車が生活インフラとして当たり前に使われています。皆さん教習所で学んで免許を取って、それから徐々に慣れていくわけです」

確かに、僕自身も教習所に通っていた頃は緊張の連続でした。高速教習とか本当に怖かった……。けれど、いまは車は身体の一部といえるほど生活に馴染んでいます。

「投資も全く同じで、まったく知らないままでは怖いけれど、少しずつ学んで『運転のコツ』をつかめば、必要な生活インフラの一つになり得ると思っています。車も危険はゼロではありませんが、安全運転を心がければ事故のリスクは防げますよね。投資もリスクはゼロにはなりませんが、『お金の置き場所』として上手にハンドルを握ることができれば、思ったよりも安全に運用することができます」

▶実は投資は「避けて通れない」。たとえば、身近なところで言えば国民年金も投資

実は投資は「避けて通れない」。たとえば、身近なところで言えば国民年金も投資

ところで、先ほど千田さんが「日本だと投資がギャンブルと思われがち」と言われましたが、実は私たちの身近にも「ちゃんと運用されている事例」があるんですよね?

「そうなんです。たとえば国民年金です。国民年金って、私たちが毎月支払っている保険料を単に貯めておいているわけではないんです。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という機関が、皆さんから預かったお金を運用して増やしているですよ」

GPIFってニュースで聞いたことがあります!そこが運用してるんですね!国民年金って、「納めた保険料を今の高齢者に払っている」という仕組みが中心かと思っていましたが、それとは別に積立金もあって、それを運用しているんですね。

「はい。GPIFは、世界最大級の資産運用機関とも呼ばれていて、運用成績は年平均4.4%(※2001年度~2024年度第3四半期)という実績があるんですよ。
それだけにとどまらず、海外の公的年金や大学の基金などにおいても、投資を通じて運用益を上げている例は少なくありません。こうした運用スタイルは、保有資産のうち現金の比率が高い傾向にある日本の大学とは大きく異なる点としてしばしば注目されています」

アメリカって投資に関してもすごいんですね!つまり「大事なお金を増やす」ための手段として、投資が当たり前に活用されている事例があるわけですね。

「年金って絶対に減っちゃダメですよね?」それはその通りなのですが、ひとつ考え方に前提があって

ところで年金って、人生の保証として絶対に減らしてはいけないものというイメージが強いじゃないですか。減ってはいけないものを「投資で増やす」って、なんだか矛盾しているようにも思えてしまうんですが……。どう考えたら良いです??

「鵜飼さん、良い質問です! だからこそ、GPIFの運用って『最も安全なやり方』を追求しているんですね。そもそも年金は多くの人にとって「終身保険」のような側面がありますよね。長生きリスクに対する公的保険として一生涯給付される。だからこそ、『絶対に減らしちゃいけない資金をどう運用するか』という視点で、長期的・分散的・低コスト、そして安定的な運用をしているわけです。

これは、よく『投資』と『投機(ギャンブル)』を混同しがちな方に知っていただきたい部分です。日々の値動きを見て短期で売買して大きなリターンを狙いに行く“投機的”な行為と、年金のように長期的な視点で分散しながらコツコツ運用する“投資”はまったく違うんですよ」

それとてもわかりやすいです!でも疑問もあります。「運用成績が悪くなる=バカなことをしている」という印象をニュースでもたまに聞くことがあるなぁという印象なんです。

「確かに、大きな市況変動などで運用がマイナスになった期に『日本の年金は失敗だ!』なんて煽る人がいますよね。でも、運用というのは長期的な評価が前提ですし、国内外の株式や債券、不動産など複数の資産に分散していますから、仮に一時的に下がったとしても、長期で見れば年平均4%前後のリターンを出している。その仕組みを知らないまま『年金運用=ギャンブル』と思ってしまうと、ニュースの一部だけを見て不安にかられてしまうわけです」

本編では、「投資が怖い」と感じるのは、“よく知らない”ことへの不安が原因。でも実は、国民年金をはじめ、身近なお金もすでに“投資で運用”されているという事実についてお届けしました。

続いての>>>「投資と投機は違う」と言うけれど、インフレで毎日の買い物すら苦しい今、本当に投資なんてして大丈夫?

では、「投資=ギャンブル」と思いがちだけれど、実は年金やiDeCoも“投資で運用”されている。インフレが進む今、投資をしないこと自体がリスクになる可能性についてお伝えします。

お話/千田愛さん

IFA・ファイナンシャルプランナー。製薬会社MR、広告会社営業を経て投資運用会社で運用の基礎を学ぶ。育児による専業主婦時代を経てふたたび金融の世界に戻り、FPとして主に女性のライフプラン設計に寄り添う。IFAの資格取得後は人生トータルでのお金の使い方を主眼に、貯めるだけでなく「お金をよりよく使って生きていく」人生設計に寄り添う。

(取材・文/ライター・鵜飼慎太郎)


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