「投資と投機は違う」と言うけれど、インフレで毎日の買い物すら苦しい今、本当に投資なんてして大丈夫? | NewsCafe

「投資と投機は違う」と言うけれど、インフレで毎日の買い物すら苦しい今、本当に投資なんてして大丈夫?

お金 OTONA_SALONE/MONEY
「投資と投機は違う」と言うけれど、インフレで毎日の買い物すら苦しい今、本当に投資なんてして大丈夫?

こんにちは、40代男性ライターの鵜飼慎太郎です。共働きの妻・小学生の子ども1人の3人家族、普段は美術や書評を中心に活動していますが、ここでは個人的に気になる「お金の話」を取材しています。

前回までで、千田さんから「資産寿命を伸ばすためには、ただ貯金して取り崩すだけではなく、運用しながら取り崩すのが有効」という話をうかがいました。実践的な内容を聞くほどに、「でもやっぱり投資はなんだか怖い……」という気持ちが拭えない人も多いと思うんです。今回は、そのあたりをもう少し深掘りしています。

【50歳からでも取り残されないお金の話】#5

新NISAだけでなく、「確定拠出年金」「iDeCo」も同じ仕組み

僕もまんまと不安になってる側でした!やっぱり投資についてもある程度の知識や仕組みを学んでおくことが本当に重要ってことですよね。あと年金でもう一つ聞きたいのが、会社員の方なら「企業型確定拠出年金(企業型DC)」や、自営業や専業主婦の方も加入できる「個人型確定拠出年金(iDeCo)」なんかも、結局は同じように投資で増やそうという仕組みですよね?

「はい。同じです。拠出された掛金が運用商品に投資されることで、将来受け取れる年金額を増やそうという仕組みですね。ただここでも『よくわからないから全部預金型にしてる』とか、『商品選択とか難しそうだから加入してない』という方も少なくない。その結果、せっかくの税制優遇を活かしきれずにいるわけです」

僕もiDeCoは自分で商品を選ばなくちゃいけないから、ちょっとハードルが高い、と感じてしまうんです。

「正しい知識を持って運用すれば、決して怖い仕組みではないんですよ。だって、私たちが払っている年金がもしもギャンブルだとしたら、それこそ日本に住む全員がリスクに晒されてしまいます。しっかりと私たちの生活を下支えするために年金は運用されている、その事実を知ると、鵜飼さんにとっての投資がもっと身近に感じられませんか?」

「投資」と「投機(ギャンブル)」は違うと言うけれど、その理由は?

身近です!年金って支払わされてるイメージが強くて、しっかりと運用されているとは考えたことがなかったです。そう捉えると「投資」って、思っていたよりも身近なところで、しかもごく普通にやられているんですね。国民年金、企業年金、iDeCoなど、あらためて「投資」と「投機(ギャンブル)」の違いを簡単に整理すると、どんなポイントがあるんでしょうか?

「大きく言えば、「時間軸」と「目的」です。投資は、長期的な視点を持ちながら投資をすることで資産を増やそうとする。資金の目的や使用時期を考えつつ、リスク許容度の範囲内で取り組むものです。投機やギャンブルは、短い期間で大きな利益を得ようとする行為で、いわゆる『一発逆転』を狙う面が特徴です。高いリターンを期待できる分、同時に大きな損失のリスクもあるため、日々の結果に大きく左右されることになります。そうしたスタイルは、長期的に資産を育てようとする投資とは性質が異なります」

頭ではわかったけど、やっぱり不安……そんな人が「考える基準」は

ここまでお話を伺って、「なるほど、投資ってギャンブルじゃないんだ」と頭では理解しても、やはり「100年時代」と呼ばれる長い人生を考えると、資産を減らさないためにできるだけリスクは取りたくない、という気持ちは残りそうです。

「そうですね。『頭ではわかっても感情がついていかない』ということはよくあります。私のお客様にも『投資しておけばいいんだろうな』というところを理解して、『もうちょっと欲を出してアクティブにやりたい』と思う方がいる一方、『とにかく変化が怖いからできるだけリスクは嫌』という方もいる。投資は個人の性格や価値観が強く反映されますから、そこに合わせた提案をするのが私の仕事でもあります」

千田さんご自身、お客様を見ていて「こういうタイプの人が多いな」という傾向ってありますか?

「私のところは、もともと保険の見直しから始まるケースも多いので、『今まで通りのやり方を大きく変えたくない』方が割と多いです。そこから丁寧に説明を続けることで、お客様は『納得できたらやってみよう』というパターンが多い印象です」

なんだかんだいっても、1人で投資をする不安が拭えない気がするんですよね。もちろんお金は重要ですし、もっと欲しいです。その一方で、あんまり投資のことを考えずに生きていきたいというわがままな欲求もあります。

「鵜飼さん、お気持ちはよくわかります。何も考えずにお金がインフレにも打ち勝ち、どんどんたまっていけば最高ですよね。お金は人生においてとても大切なものだと思います。ですからご自身で理解して納得し選択する、それが何よりも大事なのです。そしてそのお手伝いをするのもIFAの仕事だと思っています」

▶物価が上がり続ける中、「やっておかないとならないこと」とは

これだけ物価が上がり続ける中、「やっておかないとならないこと」とは

今、千田さんから「インフレ」というフレーズが出てきました。最近物価が上がって「生活費が増えた」という声をよく耳にします。その辺をお聞きしたいです。

「投資をすると、資産が目減りしたり元本割れが起こるかもしれないと思うと、不安になることはあるかもしれません。でも、そこでぜひ意識しておきたいのが『インフレ』という現象です。たとえば30年前と比べると、学費やテーマパークのチケット代はずいぶん高くなりましたよね。最近では、スーパーでの買い物が前より高く感じられるという方も多いのではないでしょうか」

それはものすごく実感しています!

「このくらいなら5,000円で足りるだろう」と思ってレジに行ったら、思わぬ会計額に驚いた……という経験がある方もいるでしょう。これは『モノの価格が上がり、お金の価値が下がってしまう』インフレの影響です。通帳の残高そのものは減っていないのに、同じお金で買える量が少なくなるわけですから、実質的に“持っているお金が減っている”のと同じことになってしまうのです」

そう言うことなんですね。そこまで意識していませんでした!

「こうした背景を踏まえると、『お金が減るのが怖いから投資をしない』という考え方は、一見リスクを避けているようでいて、実はインフレのリスクを背負ってしまうことにもなりかねません。『投資=元本割れの怖さ』だけではなく、『インフレ=お金の価値が下がる怖さ』もあると知っておくと、長い目で見た資産づくりを考えやすくなると思います。もちろん投資にはリスクがありますが、『投資をしないこともリスクになりうる』と考えられるようになると、インフレ時代でも自分のお金を上手に守るための選択肢が増えていくはずです」

いやあ、こうしてインフレについて詳しく伺うと、「投資をしないこと自体がリスク」というのも納得できますね。物価が上がって、お金の価値が下がってしまうという視点は、実際に生活費が増える今だからこそ実感しやすいです。

でも一方で、投資にはリーマン・ショックやコロナ・ショックのような大暴落の可能性もあるわけですよね。そんなとき、やっぱり不安になってしまう気がするんですが……実際に暴落が起きたら、千田さんはどんな風にサポートされているんでしょうか?

本編では、「投資=ギャンブル」と思いがちだけれど、実は年金やiDeCoも“投資で運用”されており、インフレが進む今、投資をしないこと自体がリスクになる可能性があるということついてお伝えしました。

続いての>>>およそ10年に1度は訪れる「暴落」。必ずくるその恐怖の瞬間、覚えておくと「冷静になれること」とは

では、投資の恐怖心を取り払うために必要な知識と心構えについて深堀りします。

お話/千田愛さん

IFA・ファイナンシャルプランナー。製薬会社MR、広告会社営業を経て投資運用会社で運用の基礎を学ぶ。育児による専業主婦時代を経てふたたび金融の世界に戻り、FPとして主に女性のライフプラン設計に寄り添う。IFAの資格取得後は人生トータルでのお金の使い方を主眼に、貯めるだけでなく「お金をよりよく使って生きていく」人生設計に寄り添う。

(取材・文/ライター・鵜飼慎太郎)


《OTONA SALONE》

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