およそ10年に1度は訪れる「暴落」。必ずくるその恐怖の瞬間、覚えておくと「冷静になれること」とは | NewsCafe

およそ10年に1度は訪れる「暴落」。必ずくるその恐怖の瞬間、覚えておくと「冷静になれること」とは

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およそ10年に1度は訪れる「暴落」。必ずくるその恐怖の瞬間、覚えておくと「冷静になれること」とは

こんにちは、40代男性ライターの鵜飼慎太郎です。共働きの妻・小学生の子ども1人の3人家族、普段は美術や書評を中心に活動していますが、ここでは個人的に気になる「お金の話」を取材しています。

前回までで、千田さんから「資産寿命を伸ばすためには、ただ貯金して取り崩すだけではなく、運用しながら取り崩すのが有効」という話をうかがいました。実践的な内容を聞くほどに、「でもやっぱり投資はなんだか怖い……」という気持ちが拭えない人も多いと思うんです。今回は、そのあたりをもう少し深掘りしています。

【50歳からでも取り残されないお金の話】#6

大暴落時に一緒に耐える伴走相手が必要

「大暴落のときこそ『今、どうしたらいいですか?』という相談が殺到しますね。私が大事にしているのは『一緒に耐える』ということです。個々の状況を見ながらアドバイスをお伝えするんですが、結局は「心の支えになれるかどうか」が大きい。一人だと不安に駆られて投げ売りしてしまうかもしれないけど、IFAの立場から『大丈夫ですよ、ここを乗り越えれば回復していきます』と励まされると、冷静に判断ができる場合が多いんですよ!」

確かに、初心者にとっては「大暴落時こそチャンス」と言われても、実際その場面に遭遇したら怖くて逃げたくなるでしょうから……。伴走してくれる人がいるのは心強いですね!

「そうなんです。本来は売らなくてよかったのに、暴落時にパニック売りをして資産運用を辞めてしまうことこそ、もっとも機会損失なんです。そうならないためにも、私が精神的にもお客様をサポートできればと思うのです」

▶年間数%は取り崩すことが推奨される? 次ページ

取り崩しながら運用する考え方

前回の記事で学んだ「資産寿命を伸ばすための、取り崩しながら運用する方法」では、年間3〜4%程度の取り崩し率が一般的に推奨される、とお聞きしました。

「はい、いわゆる『4%ルール』などがありますが、日本の場合は物価上昇率やドル円相場なども考慮して、3%程度を一つの目安にする方が多いですね。これは、私が言う『投資のハンドルの握り方』に近いです。運転にたとえると、猛スピードで飛ばしていたら事故リスクが上がるのと同じで、高リターンを求めるほどリスクが大きくなる。一方、低速すぎる(貯金だけなど)と長い人生を走り切るだけの資産に届かない可能性がある。その中で『ちょうどいいスピード』が、年間3%程度を狙いつつ運用していくスタイルなんです」

わかりやすい!車の運転も投資も、安全性と効率のバランスが大事だというわけですね。

投資は「お金の置き所」と考える

これもずっと気になってたことなのですが。「そもそも投資ってどういう位置づけなの?」と聞かれたら、千田さんはどのように答えますか?

「私は『投資はお金の置き所の一つですよ』とお伝えしています。銀行に置いておくのか、株式や債券、投資信託に置いておくのか、それとも保険商品に置いておくのか。選択肢の中の一つとして『投資』という場所があり、それぞれの性格や特性を理解しながら組み合わせていく。その際の基準として『リスク許容度』『目的』『使用時期』を考えるというわけです」

なるほど。「投資する」というより「投資に置いておく」というイメージだと、ギャンブルとは違うんだなと実感しやすい気がしますね!あと、お客様の傾向として日頃から実感することはありますか?

「はい。最近、私のところにご相談いただくお客様は、もともと保険に加入されていた方が多いのですが、インフレが続いていく可能性を肌で感じはじめていて、『銀行預金に置きっぱなしでは資産が目減りするのではないか』と不安を抱く方が増えています。つまり『現金だけでなく運用も考えないと、将来的にお金の価値が下がってしまうのでは』という意識を持つようになったのです。そうした背景から、投資を含めた資産の置き場所について改めて相談してくださる方が、近ごろ多くなっていると感じています」

▶「変化を好まない人」こそ、一歩踏み出して

「変化を好まない人」にこそ、少しずつ学んでほしい

ここまで聞いていると、投資をしない選択肢ももちろんアリだと思いますが、私たちが生きる「人生100年時代」を考えると、やっぱり現実的に言えば「少なくとも投資について知っておく必要はある」という感じですね。

「そう思います。『なるべく変化したくない』『今まで通りがいい』というお気持ちはわかりますが、それで資産寿命を全うできるかどうかは、やはり試算してみないとわかりません。何も知らないままお金が足りなくなってからでは手遅れですから。まずは少額からでも運用を始めてみるなど、無理のない一歩を踏み出してみるのがおすすめです」

「欲が出てしまう人」も、ルールを守って運用を

逆に、投資をはじめてある程度調子がいいと「もっと大きなリターンが欲しい」と欲張ってしまう人もいますよね。僕はなんとなくそのタイプな気がしてます(笑)。

「投資をやってみて『儲かる』と思うと、つい大きなリスクを取りたくなる方もいらっしゃいます。ですが、これも車の運転にたとえると、スピードの出しすぎや信号無視は事故の元ですよね。いちばん怖いのは『相場がいいときにリスクを大きく取りすぎて、大暴落時に大損する』パターンです。ルールを決めて運用を続ける、自分なりのペースを守るのが大切ですね」

知らないから怖い。学べば生活インフラになる

今日は、投資への不安をどう克服するか、そして国民年金やGPIFの運用、iDeCoなど身近な事例を通じて「実は投資はギャンブルではない」というお話をうかがいました。最後に、これから投資をはじめたいけど怖いという方へ、千田さんからメッセージをいただけますか?

「やはり『知らないから怖い』という要素は大きいと思います。車の運転も、初めて教習所に行くときはドキドキしましたよね。でも一度免許を取って練習を積めば、自家用車は生活に欠かせないインフラになります。投資も同じで使い方次第で、長い人生を豊かにしてくれる道具になるはずです」

ありがとうございました!私も改めて正しい投資の“運転技術”を学びたいと思います!

「わからないときは、ぜひプロのアドバイスを仰いでください。大暴落のときに一人で悩むよりも、一緒に伴走してくれるパートナーがいると心強いですよ。ゆっくりと、でも一歩ずつ踏み出していきましょう」

おわりに

本記事では、前回までに学んだ「資産寿命を伸ばすための運用&取り崩し」の考え方に加え、「投資の恐怖心を取り払うために必要な知識と心構え」を中心にお伝えしました。知らないからこそ怖い「投資」という世界ですが、国民年金や企業年金でさえ運用されている事実、そして実際に世界中の大学や財団が投資益で資金を維持している現状を知ると、「投資=ギャンブル」ではないことが少しずつイメージできるのではないでしょうか。

次回以降も、千田さんから奥深い投資の世界を教えていただく予定です。どうぞお楽しみに!

お話/千田愛さん

IFA・ファイナンシャルプランナー。製薬会社MR、広告会社営業を経て投資運用会社で運用の基礎を学ぶ。育児による専業主婦時代を経てふたたび金融の世界に戻り、FPとして主に女性のライフプラン設計に寄り添う。IFAの資格取得後は人生トータルでのお金の使い方を主眼に、貯めるだけでなく「お金をよりよく使って生きていく」人生設計に寄り添う。

(取材・文/ライター・鵜飼慎太郎)


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