2025年1月25日から30日にかけて、こども家庭庁は全国の15~18歳および19~59歳を対象に「こどもの自殺に関する意識調査」をインターネットで初めて実施し、2,324名から回答を得た。調査は、小中高生の自殺者数が過去最多の527人(暫定値)となり、喫緊の課題となる中で行われた。調査結果は、子供の自殺対策の推進に資する広報啓発活動の一環として、社会に広く周知されることを目的としている。 こども家庭庁は、子供が自ら命を絶つことのない社会の実現に向けて、2024年度から「こどもの自殺対策の推進に向けたデジタル広報啓発事業」を開始した。同事業では、子供・若者に届くような広報啓発活動を実施し、その効果を検証することで、今後の自殺対策の方針を検討している。今回の調査は、子供の自殺に関する認識や取組みの実態を把握し、メディアを通じて広く社会に周知することで、広報啓発の効果を検証することを目的としている。 調査は、全国の15~59歳の男女を対象に実施され、計2,324名が回答した。内訳は、大人(19~59歳)が1,600名、子供(15~18歳)が724名である。調査においては、回答者の心情に十分に配慮し、回答の途中でいつでも終了できるようにするとともに、相談窓口を提示するなどの対応が行われた。 調査結果によると、大人のうち「子供の自殺を社会課題として強く認識している」と答えたのは16.8%、「どちらかといえば認識している」が45.2%であった。また、子供の自殺に関する事柄で「知っていたものはない」と答えた人が47.8%であった一方、「日本はG7の中で10代の死因の1位が自殺となる唯一の国である」と知っていた人が19.7%みられた。 子供(15~18歳)の調査結果では、「自ら命を絶つ同年代がいることを社会課題として強く認識している」が37.4%、「どちらかといえば認識している」が46.3%であった。自ら命を絶つ同年代の存在を自分の周囲に起こりうる社会課題として認識しているかについては、「強く認識している」が34.7%、「どちらかといえば認識している」が43.0%であった。 調査結果を受けて、OVAの代表理事である伊藤次郎氏は、「周囲の大人が、悩みをもつ子供の変化に気付き、話を聞き、支援につなぐ役割を担うことが自殺対策の早期発見において重要である」とコメント。また、子供同士の気付きをどう支援につなげていくかが今後の課題であると指摘している。 こども家庭庁は、今回の調査結果をもとに、子供の自殺対策に関する広報啓発活動をさらに推進していく方針である。調査結果は、社会全体で子供の自殺問題に取り組むための重要な資料となるだろう。