こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
2024年は12月7日から20日が大雪でした。
1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
腎をサポートするのは「黒い食材」、ミネラルを含む目印です
暦が“大雪”の寒い時季に身体に摂りこむと腎の機能が喜ぶのは「黒い食材」です。腎の機能は、腎臓・膀胱・尿道・子宮・卵巣、男性で言えば精巣も含めた臓器とその働きを広く含んでいますが、腎臓の働きをとり上げると「尿中のたんぱく・ミネラルなどの体内に必要な物質を身体に戻す」という働きがあります。冬の寒さで身体が冷えてしまうと腎の機能にも冷えの影響が及んで、腎臓も十分な働きをすることが出来ず、結果としてたんぱく・ミネラルを尿と一緒に流し出してしまうことが起きます。こんな時は、体外へ漏れ出てしまったミネラルは補給することが先決です。寒さが身体に影響しはじめたなと思ったら、腎の機能に冷えの影響が及ばないように身体を温めながら、ミネラルの摂取を気にしてみてください。
ところが、スーパーで眺めてみても、ビタミンCなどはあちこちに書かれているのに、堂々とミネラル含有と書かれている食材はそうそうありません。スーパーに並んでいる食材の中からミネラルを手にしたいときは“黒い色”を目安にしてみてください。黒い色は一緒に含まれているポリフェノールなどの色でもありますが、少なからず黒い食材の中にはミネラルが含まれています。冬の寒さで身体が元気に動けていないなと思った時は、黒い食材を手に取って腎の機能への働きかけを行ってみてください。
わかめとこんぶの実際の見た目は濃い緑色ですが、乾燥状態は黒っぽく見えます。海藻類はミネラル豊富な海水の中で育つので、黒っぽい濃緑色ではありますがミネラルを含んでいます。
黒い食材をふんだんに使ったレシピで腎をフルサポートしましょう!
この時季に腎の機能の助けになるレシピのうち、1つ目は「れんこんとえりんぎの黒胡麻きんぴら」です。黒胡麻の効能は[帰経:肝腎][補腎・益精]で、腎精を補う働きをします。黒い食材なのでミネラルの摂取も期待でき、加熱した黒胡麻の良い香りも味わえます。クコは[滋補肝腎]で肝と腎を補ってくれます。赤色で見た目の華やかさを彩ってくれますが、腎にもしっかりと働きかけてくれます。
れんこんは3ミリ厚のいちょう切りに、えりんぎは縦に割いて、ごま油で炒めてしんなりしたらしょうゆ大さじ2、みりん大さじ3、酒大さじ1を加えて水分がなくなるまで炒めます。さらにクコも乗せました。仕上げに黒胡麻を絡ませます。クコは水にひたしてやわらかくして上から乗せても、炒め合わせても、どちらでも美味しいです。
もうひとつは「ムール貝といかの黒米杜仲茶パエリア」です。黒い食材の黒米の効能は[帰経:脾胃腎][滋陰・補腎]で腎精・腎陰を補います。ムール貝は[温性][帰経:肝腎][補腎・益精・助陽]で、腎を補いながら身体を温めてくれます。ムール貝は殻付きでなくても問題ありません。いかの効能は[帰経:肝腎][滋陰]で腎陰を補ってくれます。
フライパンにオリーブオイルをしき、輪切りにしたいかを焦げ目がつくまで炒めてから、みじん切りにした玉ねぎ、にんにく、なつめを炒め合わせます。白米1合、黒米0.5合を加え、杜仲茶500mlを注ぎ、ムール貝とカリフラワーを並べてチキンコンソメと塩で味を調えてひと煮立ちさせます。一旦、いか、ムール貝、カリフラワーを取り出し、蓋をして強火で5分、弱火で12分煮立てて、最後にいか、ムール貝、カリフラワーを飾るように並べます。
白米だけであれば硬さはまったく問題ないのですが、黒米を入れると少し歯ごたえを感じる方がいらっしゃるかもしれません。その場合は、白米と黒米を合せる前に、黒米だけ乾煎りしても良いです。フライパンに油をひかずに1分程加熱するだけです。黒米に火が入るとポップコーンのようにはじけます。1つはじけるのを目安に白米と合せても良いですし、半分くらいはじけさせてから白米と合せても良いです。乾煎りを1度入れてみるとかなり印象が変わると思います。
杜仲茶は腎精を補う働きが期待できます。パエリアでお米を炊く時のお水を杜仲茶に置換えることで、お湯すらも腎の機能に働きかけるアイテムにチェンジした全力応援レシピです。カリフラワーも腎精を補うことが期待できるので、フライパンの上にいるメンバー全員で腎の機能に働きかけることが期待できるレシピです。
次回は陰が極まる冬至です。ここからまた陽の世界に一歩ずつ踏み出します。
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